街歩き・サロン

第28回照明探偵団街歩き 探偵団 日本橋川・神田川に挑む!!

街歩き2006:探偵団日本橋川・神田川に挑む!!

2006年3月20日

今回照明探偵団は26名の団員と共に、東京の急速に進む開発とともに閉ざされていった日本橋川、 神田川を一隻の船に乗り込み調査に入った。明るさが蔓延する東京の中にあって、今尚闇が残された場所。団員達は高 まる好奇心を抑え、闇に潜入したのであった・・・

人工の闇

街歩き2006:探偵団日本橋川・神田川に挑む!!
江戸橋ジャンクション

街歩き2006:探偵団日本橋川・神田川に挑む!!
日本橋付近の”人工の闇”

街歩き2006:探偵団日本橋川・神田川に挑む!!
聖橋近く、三様の競演者が織り成すハーモニー

街歩き2006:探偵団日本橋川・神田川に挑む!!
伝統を伝える光とジャンクな光が重なる秋葉原周辺

新宿、渋谷、銀座‥‥今まで東京の夜といえば、漠然と明るいなあというイメージしか 持っていなかった。どこに行ってもモノが溢れ、それの数だけ光もある。まるでおばさんたちの井戸端会議の様にワイワイ、ガヤガヤとう るさい光が溢れている。しかし、今回日本橋川と神田川を調査したことで、東京夜景のイメージが変わった。たくさんの“闇”の存在の発見だ。 “闇”といっても単なる暗闇ではなく、橋や首都高、ジャンクションなど、人間の手によって造り上げられた“人工の闇”だ。とくに船で橋桁を くぐり抜けるときは本当に真っ暗だった。東京にもこんなに暗い場所が残っていたということを実感した。闇という言葉にあまりいい印象は無い ものだが、今回の闇の体験は刺激になった。日頃、夜になっても明るい場所で過ごすことが多い分、むしろ暗い場所を無意識に求めているのかも しれない。今回こうした“闇”に出会えたからこそ、東京の夜がどれほど明るいものなのかを改めて感じることができた。自分自身が照明デザイ ナーという、光で空間をつくり上げることを仕事にしているので、光で溢れる東京を変えていきたいという想いを新たにした。

闇の中に光アリ

当たり前と言えば当たり前なのだが、暗いところほど光の効果は出やすい、ということを再発見する。湘南工作所さんからお借りしたキセノンラ ンプで、船の上からいたるところを照らし上げてみたが、実に面白かった。水面を照らせば川縁に波紋が写り込み、橋桁を照らせば一直線に伸び る光があたかもスパイ探しでもしているかのようだ。
4本の高速道路が合流する江戸橋ジャンクションでは闇と光が交錯して見物だった。車両の光が曲がりくねったジャンクションの高架下に映り込み、 きらめいていた。普段とは違う視点から街を見ると、見たことの無い光と出会うことができる。 (窪田 照彦)

三様の競演者

日本橋を掻い潜って神田川に出ると、そこには高く聳え立つお堀がある。お堀というと、圧迫感があって光が差し込まない暗いイメージがあるが 、ここは違う。むしろ、このお堀こそが神田川に心地良い闇をもたらしている。とくに闇がその力を発揮している場所が聖橋周辺だ。神田川を下 っていき、ふと上を見上げると電車が流れ星であるかのように走り、私たちが乗った船を導いていく。誘われるように進んで行ったその先には、 間接照明による上品で高貴な光の衣を纏った聖橋が、心地良く私たちを迎え入れてくれた。これは私の目の錯覚ではなく、周囲を優しく包み込む 闇の存在がそういった雰囲気を醸し出していた。ここにはmoving light , elegant light, soft darkness。この三様の競演者達のハーモニー が確かに存在していた。

やっぱりアキバ

暗い川を下って来た後に出会う秋葉原の光に驚かされる。交通博物館には明治時代に建てられたレンガ造りの壁面があり、ライトアップされた レンガの色合いが時代の深みを感じさせてくれる。そう思って反対側に目を遣ると、今度は秋葉原電気街のジャンクな欲の固まりのような光が、 これでもかこれでもかと主張してくる。この光は川から見ても強烈な眩しさを感じるほどだ。このような新旧の建物が入り混じる街が増えていく中で、 たくさんの種類の光をどうやって調和させるかも、今後の大きな課題になっていくだろう。

別世界

今回の街歩きで、日常ではできない非常に面白い体験ができた。川から見る景色は、地上より低い位置から見上げるものが多くあって、 普段見ている景色とは別世界だった。とくに驚いたのは、普段街を歩いている時には眩しく、時に暴力的に感じる光が、嘘のように静か だったことだ。川から見上げるとそこには光がうごめいているかのようだったが、強い光が直接川に差し込むことはほとんどない。川面に いながらまるで水面下のように穏やかで心地の良い闇を感じることができた。 (永津 努)

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