探偵ノート

vol.02 陰湿な地下の魅力 ~京成電鉄・博物館動物園駅~

Update:

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ひんやりとした空気が淀んでいて何となくカビ臭さも感じる。しばらくホームに佇んでいると電車が何本か通過していった。時刻表を覗くと、昼の時間帯には1時間に1本しか停車しないことが判る。しかも4両編成の普通電車だけに限られている。昭和*年に完成したこの京成電鉄・博物館動物園駅は、見事に私を本物の地下空間に誘ってくれた。

乗降客のほとんどいないホームで独りぼんやりしていると、妙な気分になってくる。太陽が燦々と降り注ぐ地上で今起きていることが、何やら胡散臭く思えてくる。人の言葉に合わせてニコニコと相づちを打っている自分さえ、道化のように見えてくる。そうだ地下にこそ、本物の自分に出会える時空間がある。

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地下空間は地獄の恐怖を払拭するために地上のように明るくしたくなるらしい。特に日本の地下はぴかぴかだ。人工照明による光の量だけは世界一。「さあ、地下にいることなんか忘れて下さい」と言わんばかりのホスピタリティと見た。私は大いに迷惑している。地下は地下らしく時にひんやり、時に暖かい表情が欲しい。その意味でここは地下空間の光のお手本となる。今時の地下鉄ホームの床面照度が400~500ルクスもあるのに、ここは100ルクス以下と言う薄暗さ。地下は地上の喧噪を忘れて、しっとりと薄暗い方がいい。パリには今でも「カタフィル」と呼ばれる地下愛好家たちがいるらしいが、地下はレジスタンスのすみか、自由への架け橋だ。この駅、一日の利用客が490人という少なさ。今年の4月1日より営業休止になるとのこと。閉じる前に必見の価値ありと思う。


面 出 探偵A 探偵B 探偵C
あかりの味/雰囲気や気配のよさ 5 5 3 5
あかりの量/適光適所・明るさ感 5 4 3 3
あかりの値段/照明設備のコストパフォーマンス 5 5 4 4
あかりの個性/照明デザインの新しさ 1 3 2 1
あかりのサービス/保守や光のオペレーション 3 3 3 3
合 計 19 20 15 16
総合評価 ★★★
(17.50点)

1項目5点が最高、合計25点満点。★は5つが満点


あかりのミシュランは、雑誌「室内」に連載されました。
面出 薫+照明探偵団/文  淺川 敏/写真

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