探偵ノート

vol.14 見る楽しさと見られる嬉しさ ~代官山・カフェ・ミケランジェロ~

Update:

vol.14_01

せっせと山歩きをして峠の茶屋でひと休み。熱いお茶か冷たいビールを片手に、遠くの山並みや空の雲、近くに流れる川の流れや鳥の声を聞く。ああ、何という心洗われる瞬間。なるほど、これが現代人の休息だ。毎日のように切れかかった気持ちにむち打って、都会の戦士がズタズタの心を癒すのには、豊かな自然に囲まれるのが一番、と言うわけだ。

しかし、そんな恵まれた自然なんて、この喧噪を見渡してみてもあるはずもない。ふっと目に留まったのは、今流行のオープンカフェで足を組み煙を吐いているお嬢さん。けっこうリラックスしていて、気分良さそうにしている。彼女たちの視線は深山の緑でなく、目の前を通り過ぎる犬や人や車に向けられ、路上で起きるノンフィクションを楽しむ風情だ。歩道にはみ出た椅子とテーブル。ここは身近な街角ギャラリーという役割を持っている。思い返せば、この流行の元祖パリのカフェでも、暇そうなお嬢さんや中年男性が、虚ろで無言なノンビリとした時間を過ごしていたではないか。都会人は今や豊かな自然鑑賞を放棄して、至近距離での無言のアイコンタクトを望むかのようである。

vol.14_02

ここ代官山に登場したカフェ・ミケランジェロも、常にお洒落な若者に占領されていると聞いてやってきた。大木に包まれた店構えはミラノかパリの街角を彷彿とさせる。初冬の陽射しの恋しい昼間には、カフェの中から明るい外が映えている。しかし夜ともなるとその視線は逆転し、観察の眼は外を行き交う人から中でくつろぐ人たちへ。カフェの最前列に陣取ったお嬢さんたちは、ショウウインドーの中のお飾りに変身する。数回前の本誌に紹介した電照菊のビニールハウスに似ている。昼間のサンルームが夜の飾り窓に化ける様子が面白い。あかりは昼は外、夜は内を照らすもの。インテリアとエクステリアがここでぶつかり、オープンカフェが相互に視線の行き交う楽しさを教えてくれている。

都市がショーウインドか、カフェの中がショーウインドか・・・。よく観察すると、客の中には見るよりも見られる方が好きな人もいるようだ。ほらほらあそこのお嬢さん、視線を感じて、しきりに顔を作っているでしょ。自意識過剰だね。


面 出 探偵A 探偵B 探偵C
あかりの味/雰囲気や気配のよさ 4 5 5 4
あかりの量/適光適所・明るさ感 4 5 4 4
あかりの値段/照明設備のコストパフォーマンス 4 4 3 4
あかりの個性/照明デザインの新しさ 3 3 3 3
あかりのサービス/保守や光のオペレーション 4 3 3 4
合 計 19 20 18 19
総合評価 ★★★
(19.00点)

1項目5点が最高、合計25点満点。★は5つが満点


あかりのミシュランは、雑誌「室内」に連載されました。
面出 薫+照明探偵団/文  淺川 敏/写真

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