探偵ノート

第019号 – ピカピカ好きなドイツ人

Update:

永く続いたハノーバーの工業見本市から照明分野がフランクフルト・メッセに移った。今年2000年はその初年で[Light+Building]という見本市が、4/19~23の期間で開催され、大変な盛況に見舞われた様子だ。これからは2年に1度の開催、ということもあって、たくさんの人が押し寄せたそうだが、さすがフランクフルトはハノーバーより都会で交通要所とあって、より国際的な見本市に様変わりした感じがする。私も幾つかの会合もあって2日間に渡って会場に足を運んだが、たくさんの知人と握手を繰り返し、ビールを飲んでいるうちに、大したものを見ないまま時間が過ぎてしまった。

それはよしとして、幾たびもドイツに訪れるたびに「この国の人は何てピカピカ輝くものが好きなんだろう」と驚かされる。ドイツに到着して第一歩、フランクフルトの空港の天井照明からして、鏡面の反射鏡天井が一面にはられている。天井一面の反射鏡に向けて、天井つり下げ型の暑苦しい投光器から光が照射されるシステムになっている。もう、ずいぶん前に出来上がったものだが、これがドイツの建築照明のほとんどの印象を作っている。

ドイツのジーメンスという大会社が、照明設計家のクリスチャン・バーテンバッハと提携してアルミの鏡面材料を建築部材として大胆に使う方式を提案したのをきっかけにして、このピカピカ材料はどんどんドイツの公共建築に採用されていく。

今年のフランクフルト・メッセの会場でも、街路灯のデザインや巨大な吹き抜け空間用のリフレクション・システムの提案に、このピカピカ材料が使われている。各種の反射鏡を空間意匠に合わせてデザインし、その反射鏡めがけて、適当な場所から投光器の光が向けられる。そうそう、思い返して見ると私たちLPAのデザインにも、6~7年前に、この「ミラー返し」の技が使われていた。松下電気産業東京情報通信センターのプロジェクト。104枚の小型のミラーがアトリウムのトップライト近くに取り付いて大活躍している。これも当時、私がドイツの流行に心惹かれたせいかもしれませ~ん。このピカピカ現象はイギリスの建築家ノーマンフォスターによって大輪の花を咲かせている。香港上海銀行の敵討ちとばかりに、ベルリンに出現した最新話題のプロジェクト、ドイツ連邦議会場のトップライト・デザインだ。天空光を十分取り入れた議場との触れ込みだが、さて真価のほどは如何なものか…?

このピカピカは容易に日本人に受け入れられないと見た。かの倉俣史郎もサンドブラストの反射鏡までは許したが鏡面は絶対だめ。槇文彦さんに至っても白塗装がセミ・スペキュラー仕上げまで…。谷崎潤一郎が存命なら激怒するに違いない。「ピカピカは日本人の敵」これが定説。さてどうしたものか。

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