探偵ノート

第021号 – 見本市への期待感と倦怠感

Update:

3月末にFrankfurt Fairがあって、5月初めにNY Fairが開催された。その中間、4月初めにMilano Fairもあったが、これには出張が重なっていて参加できなかったが、この時期に限って、まあ色々な照明関係の見本市や会議が開かれるものだ。毎年毎年それほど話題が更新されるものでもないのだが…。

Milanoへ行った人の話では「色々な人に会えて面白かった」などと言うものが多くて、[EuroLuce]という照明見本市自体の新しい価値はあまりよく聞かされていない。それと同様に、NYで開かれた[Light Fair 2000]も、私にとっては新鮮な刺激に欠けたものだった。出展社の数も多くて、それなりに盛況に見えた会場だが、何処の会社も展示にも、それほどの意気込みを感じられない。案の定、NYの老舗Edison Price社なども出展を見合わせていて、独自で別のPRキャンペーンをするそうな。この見本市では特に、ドイツのERCO社が初めて出展したことと、カラーキネティック社の展示にたくさんの人が集まっていたのが印象的だ。

それに比べるとFrankfurtの見本市[light and building 2000]は前評判より好評で、LED関係のスポットやダウンライト、モジュール進化したシステム器具、T5やCDMを活かした超間接照明器具、建築照明化した光学反射鏡材料、そしてコンピュータ設計ソフトや展示ディスプレイにも面白いものがポロポロと見られた。まあ、そんな印象は見る人によって随分ちがって来るのも事実だけれど、私にとってはフランクフルトの勝ち、ニューヨークの負け、ミラノは解らない、という判断だ。

この類の見本市は毎年ではなくて、2年に1度で十分ではないのかと思われる。展示ばかりに頼らずに、照明技術やデザイン、照明文化や生活ソフトについてのフォーラムや展示を増やしたほうが役に立つ。その意味ではNYの見本市が北米照明学会と国際照明デザイナー協会とに支えられて、様々なレクチャーやイベントが組まれているのは評価に値する。照明分野も「物の世界+心の世界」が上手く重ならないと面白くない。新しい展開を望むべくもない。照明業界が照明業界だけのためのイベントを打っている時代は早く終わるべきだと思われる。

さて、わが日本にも[LIGHT FAIR]なる見本市が2年に1度行われていて、来年がその年だそうだから、くれぐれも内容の濃いイベントが期待される。そのためには照明器具業界も照明学会も、こぞって殻を脱皮した企画をしていただきたい。照明器具の売買に直接関係しない人たちにも十分興味のもてるイベント、どうせやるなら社会全般に対して話題性の高いフェアーになれば良いと、誰もが念じているに違いない。学会誌や業界新聞にだけしか取り上げられない見本市ではなくて、一般テレビや週刊雑誌などにも目を向けられるような価値を仕組めないものだろうか。

他人事ではないのだけれど、照明関係の国際見本市に参加して、私の中で倦怠感と期待感が激しく喧嘩している。

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