探偵ノート

第032号 – NYCでの講演会

Update:

NYCでの講演会/あまり評判が良くなかったみたいだけど…

昨年の9月にNYCのParsonsで学生向け特別講義をしたときに、照明探偵団の活動がとても話題を呼んだことがあったのです。世界の夜景調査のスライドや、各種講演会の開催、ライトアップゲリラなどの活動が面白そうに目に映った様子です。そこに参加していた先生方の要望もあり、毎年1回開催されている Light Fair International に招待され、1時間半ほどのスピーチをする事になりました。テーマは “The Lighting Detectives”。これまでに行われた照明探偵団活動を分かりやすく世界中に説明してくれ・・・というものでした。それまでに私は何回か海外で照明デザインの実例を伴うレクチャーをしたことはあるのですが、仕事の話し抜きに探偵団だけの講演は初めてです。どうなる事かと思いましたが、私をアシストしてくれる優秀なLPAの社員は完璧に準備されたパワーポイントを作成してくれたのです。私はその内容の濃さにびっくり。あまりにパワーポイントの内容が充実していた為に、私の講演内容は概要紹介的なものになってしまったみたいです。

実は一昨日にNYから参加者のコメントをまとめたアンケートが私に届いたのですが、その内容を見ると、「突っ込みがたりない」「総論的でつまらない」「それで何が言いたいのだ」「英語の冗談がつまらない」などと、さすがアメリカ人、歯に布着せない辛辣なものも多く帰ってきました。一瞬私は泣きそうになりました。まあ、受講者も30~40ドルも払っているのですから、期待したものが得られなければ、クレームも無理ないところです。私などは1時間半もぶっとうしで英語でまくし立てるだけで疲れてしまったのですが、一般大衆の受けを狙って分かりやすく説明したつもりが、(照明デザイナーの面出が話すということで)同業プロの面々が集まっていた様子でした。私にとっては予想以下の評価表が届いたので、30分ほど一人で落胆したものです。今は立ち直って、反省もし、良い評価もたくさんあったし・・・、と気持ちを入れ替えています。聴衆を見誤ると失敗します。しかしきちんと他人から厳しい評価をいただく事は自分を育てる為に必要な事だと痛感しました。最近は適当に人前で英語を話すことが多くなってきた為に、スピーチにいたる事前の戦略や準備ができていなかったかもしれません。照明デザインの仕事の紹介であれば、少々説明が整わなくても「なるほどこれはすごい照明デザインだ」と感心してもらえるのですが、探偵団の紹介はそれと違うのです。「何故それが意味を持つのか?」「どのような興味でそれが支えられているのか?」「その活動の最終ゴールは何処にあるのか?」などという論理をきちんと整理して説明しなければなりません。アメリカは批判の多い国です。勉強になります。

講演の中身は実に豊富でした。探偵団の成り立ちから、6種類の活動内容、世界の夜景スライドから出版書籍の紹介、行ってきたイベント内容、そしてトランスナショナル探偵団の誕生まで、何がどのように行われたのかを総論的に理解するには、それだけの項目が必要だったのです。しかし言いたい事がたくさんあればあるほど、注意しなければならないことは、並列的に並べてしまうと全てが印象に薄くなってしまうのです。一箇所でもいいから極端に深くサンプルを紹介すべきでした。「デザインとは、たくさんの思いや可能性を切り捨てていくことだ」などと私は常に格好つけて学生に言っているのですが、私が今回は多くの思いを切り捨てる事ができなかったのでしょう。たくさん具の入った日本風の幕の内弁当がNYCでは受けが良くなかったという反省です。この次にはきちんとやりますよ。何歳になっても学習です。

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