探偵ノート

第034号 – リゾートのあかりを真剣に語ろうか

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ここのところ滅茶苦茶いそがしく動き回っていながら、「今回は何処へ出張に行っていらしたのですか・・・」などと聞かれて、「いや実はタイのプーケットまで・・・」、と答える口にとっさに手をやる。会社の仲間3人と一緒に、プーケット島への立派な出張なのだが、ハワイ、バリ、モリジブ、プーケット、などという甘い匂いのする地に身をゆだねるということが、人目をはばかることのように(半ば罪悪のようにさえ)感じている様子だ。自分の状況を「様子」、などと遠巻きに見るのはおかしいが、最近はよくよく自分自身を観察しないと、面出薫という小動物の習性や脳細胞の中身がよく理解できないことがある。お前は本当に働き者なのか? 怠け者を恐れているだけなのか? 遊びと仕事の見境がないのか? 何とも情けない始末。 ともかく先週はLPAの葛西さん、謙太郎さん、菅又さんと一緒にプーケットのビーチに寝転んでいたことは事実なのだ。しかも仕事で。

最近は、どういう風の吹き回しか「リゾートホテルの照明デザイン」を依頼されるようになった。やっと楽しくなりそうだが、実は私たちLPAはホテルの仕事に多くの実績がない。ましてやリゾートホテルの仕事などは初めてのチャンスなのだ。だから、そのような仕事が依頼されて初めて、少し焦りながら、「おい君たち、リゾートホテルに泊まりに行った方がいいんじゃない」という出張命令を出したのが去年のことだ。いそいそと男性社員が2名、ゲイと間違われること覚悟で、アマンやフォーシーズンズの高級リゾートに調査体験出張にでた。彼らは当然、けなげに部屋の中をスケッチしたり、光の状態を細かく写真に撮ったりするので、100%リゾートを楽しむ客の心持ちに近づくことはないのだが、他の客のしている仕草を少し真似して、プールサイドで寝転んでみたり、夕暮れにダイニングで海に沈む太陽を眺めてカクテルを飲んだり・・・ぐらいはしていたのだろう。帰ってくると、彼らの表情が少し緩んで見えた。本当にデザイナーというのは、サービス業であって、サービスされることになれていないところがあるものだ。カメラもスケッチブックも持たずに、無防備にリゾート地で時間を楽しむことが少ない。実に因果な職業といわざるをえない。

しかし私自身は小さいながらデザイン事務所を営む社長でもあるので、これまでに虚勢を張って多くの都市型高級ホテルやリゾート施設に身をゆだねている。照明デザイナーは自分の目で見たものを信じるしかない職業だから、フットワーク軽く、世界中の異なった光に触れに行く。といっても、一つのリゾートホテルに滞在するのはもっぱら長くて2~3泊。数週間も棲家のようにして南国の太陽を浴び、トロピカルな料理に埋まった事はない。そして常に冷静に、高級ホテルが成り立つ理由をデザインの戦略や方法論から探っている。

先週プーケットに行った時には、幾つかの異なるグレードのリゾートホテルを比較しながら視察した。同じビーチを共有するロケーションにあっても、大きく分けて3種類ほどの格の違いがある。アマンプリ、バンヤンツリー、デュジット、チェディ、シェラトン、アラマンダ、・・・・・。格の違いは一般的には宿泊料金の違いに置き換えられる。そして、まさしく格の違いは光の品質=照明デザインの違いに表れている。安いホテルは光も安い。高いホテルでは断然、光の扱いに気が利いている。それは照明器具の値段の違いではなく、光のもてなしかたやグレードの相違、つまり心地よいリゾートの光の秘訣を知っているかどうかだ。

さあここで私からの出題。リゾートのあかりの五原則とは・・・なんでしょう? それに潔く答えるのがプロの照明デザイナーというものだ。私は私なりにプーケットのブルーモーメントを眺めながら、探偵団B6カードにしっかりそれをメモしてきたが、それを易々とここに公言するほど楽観的でない。LPAのクライアントのみがこの答えを知る優先権を持っているのだ。はっはっは。答えはそれぞれご自分で考えて・・・。

「面出さん、五原則でなく三原則程度のほうが説得力あるのではないですか?」という仲間の質問。まったくその通り。七原則より五原則、そして三原則あたりが最もわかりやすい。大体3つ以上のものは誰もが忘れやすい。しかし大切なことは、何についても原則論を常に考えること。都市照明の7原則、病院照明の5つの原則、美術館照明の3つのゲート、などなど・ .・。私もこれまで、ずいぶん勝手な原則論を言い散らかしてきたものだ。しかしそのようにして照明デザイナーの年輪は刻まれても行くもの。何が何の原則だか解らなくなってきたころに、一人前の職人になっているものだ。

さてそろそろ、本格的に21世紀のリゾートのあかりを解明し、新説を唱えてみましょうか。

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