探偵ノート

第051号 – 新最高裁判所、そして新国立図書館の光

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裁判所と図書館・・・といっても日本のものではありません。シンガポールに昨年竣工した国立施設です。私たちLPAの姉妹会社をシンガポールに設立して6年目。その成果として色々なプロジェクトが今出現し、その成果に一喜一憂しています。ご覧の写真はかの有名なノーマン・フォスター事務所(英国)設計によるものですが、金がないだとかなんだとか、施工監理の過程で様々な妥協を強いられたので、正直なところフォスター自身も出来栄えに今一歩満足していない様子。巨大な円盤が降り立ったような建築頂部のデザインも、地元シンガポール市民にはあまり評判も良くないと聞く。アジアのどこの国も「外タレ」起用が盛んだが、そのタレントを存分に開花させるのは容易なことではない。私たち照明デザイナーも、このプロジェクトに果敢に起用されただけの成果が残せたかどうか・・・未だ大声で威張れない状況が続く。う~う~悔しいかな・・・。

しかし、とはいえ、天下のフォスター事務所設計によるンガポール政府の新国立最高裁判所だから、照明デザイナーにとってこの仕事は名誉なことに違いない。4年間ほどの東京事務所とシンガポール事務所との連携で、巨大なフォスター空間の照明計画は完成した。外観には光を透過して柔らかく発光するトラバーティンが使われた。煌々とではなくぼんやりと夜間に発光する。内部は外光が入る巨大な吹き抜け空間。両壁面にはグレアレスのウォールウォッシャーをストイックに掛けて、それは大成功。悔しい妥協を強いられたのは23室ある大小さまざまな裁判室の照明だ。フォスター事務所とともに様々な光の性能論を積み上げ実験もしたのに、なんと言うことはない「私は蛍光ランプのダウンライトでないとイヤ・・・」という年寄り裁判官の一声で、私たちのロジックはこともなげに無視された部屋もある。「まあ、光の性能はわかるけど、施工のコストにも限度があるので・・・」という施工者の立派な理由で安物に変えられたこともある。このような小さな屈辱に立ち向かうにはどうすればよいか、それが課題だ。デザイン途上国という範囲にSingaporeもTokyoも未だそっくり入ってしまうのか?

そうそう、一番最後の写真を見てください。私たちの照明計画による新国立図書館です。このプロジェクトでは最高裁判所以上に悔しい思いが残るのです。何がって・ ・・? 語りたくもない。一銭の価値もないデザイナーの女々しい言い訳ばかりです。

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