探偵ノート

第064号 – ザハ

Update:

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「ザハ」という名前はなんとも強烈で印象的だ。女性の固有名詞と聞いてもなんとなくぴんと来ない。「カオル」という私の名前の方がよっぽど優しく女性的な響きを持っている。

ザハとは著名なイラク・バグダッド出身のイギリスの建築家Ms.Zaha Hadidの略称だ。

縁があって私は20数年前に彼女と東京で数回お会いしている。麻布辺りにできるはずの彼女が設計したブティックの照明計画を手伝った時のことだったが、残念なことにその建築は建たずじまいだった。たまたまザハに聞いてみると私と同じ年の生まれ(1950年寅年)だとわかって親近感を抱いたが、小さな私より倍近く大柄な体格をしているので迫力負けしていた。その後も、照明器具のデザイン依頼をしたことや、Singaporeでの都市計画の仕事を手伝ったこともあって、何かいつも勝手にザハの存在を近く感じていた。

そのザハがとんでもなく美しい照明器具をデザインした。今大流行のLEDを使ってキラキラ輝くLEDの輝度をひた隠しにしながら、有機的なシャンデリアに仕上げている。天井からアームが伸びているので、吊るされているというより天井から下方に植物が成長したような奇妙な形態だ。もしかすると構造的には多少難があるかもしれないと思ったが、そんなことより、滑らかな曲線に沿って伸びる光のラインが優しくて、緩やかに色が変化するその速度ともあいまって、私は完全に魅せられてしまった。

ザハのデザインは建築でも都市計画でも照明器具でも、一見してザハだとわかる。これほどまでに自分流の線や形を持つことに躊躇ないのがアーティストといわれる所以なのだろうか。たくさんの事象にすぐ心奪われる浮気な私などには真似できるはずもない。

日本にいつの日か彼女の名建築が出現することを心待ちにしている。

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