探偵ノート

第072号 – LEDは蝋燭の親友です

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私は最近、色々な場面で蝋燭のあかりを使う。
リゾートホテルや飲食空間などの照明デザインに大切な光源の一つとして起用するのだが、光量が不足したり安全性を問われたりして苦境にたつような時にLEDの競演によって助けられることがある。だからLEDは蝋燭の親友なのかな…、という気がしてくる。

蝋燭は大昔より使われているローテック光源。それに引き換えLEDは近未来を革新するハイテク光源。その二つの光源が喧嘩もせずに仲良く協力し合う様子に、私はかなり満足しているし、更なる期待もしている。

ここに紹介する写真は、数ヶ月前にプロジェクトの現場視察のために行ったプーケットのレストラン。夕暮れ時に絶妙な雰囲気を放つ海辺の店だ。すぐ真下が岩場の波打ち際で、夜にも海辺を美しく見せようと外の景色に対して投光照明を施している。海辺の夜景を楽しむためにはレストランの中の照明も明るすぎないように配慮しているのだが、蝋燭一つだけではいかにも暗すぎてメニューの文字も読めなかった。

そこに救世主、気が付くと小さなLEDのテーブルスタンドが置いてあった。蝋燭スタンドより一回り大きいぐらいの可愛い奴で、ピカピカと明るすぎもせずに、「蝋燭さん、お手伝いしますよ」と言わんばかりの控えめなデザインなので、私はすっかり気に入ってしまった。白いテーブルクロスに蝋燭とLEDの光と影=小宇宙ができた。写真ではどうしても青っぽく撮れてしまうが実際はもっと白い光だ。私は白色でなくこの写真ほどに一寸青っぽいのもいいかなと思うが、薄暮の時間帯(ブルーモーメント)に家々の明かりがポッポッと灯るような雰囲気だ。

灯火は時代を超えてこれから先21世紀にも十分活躍していくべき光源だと思う。太陽の光と同様に人間の生活に不可欠な要素であるからだ。家庭のなかでもレストランでも、もちろん神社や寺院などの宗教空間でも欠かせないのが灯火。しかしそれだからこそ蝋燭は新時代に期待されるLEDなどの新光源と仲良くすべきなのではないか。新旧の光源がデザインという技術の中で上手く溶け合うようになるとスマートだとは思いませんか。

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