探偵ノート

第076号 – 少しばかり暗すぎはしないか…

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久しぶりに夫婦一緒の小旅行を楽しんだ。

Bangkokに仕事でいく機会があったので、その打ち合わせのついでに奥様を誘ってタイ北部の街チェンマイを訪れた。チェンマイには私たちが照明デザインを担当したリゾートホテル、Chedi Chaingmai があるのでそこに泊まることにした。私の奥様にもそのホテルの出来栄えの感想を聞きたいと思ったのだ。

Chedi Chaingmaiは建築家Kerry Hill との初めての仕事で、お互いの主義主張を手探りの中で進めていった。初めての設計者との仕事は容易でない。明るさの程度や陰影の強さの好みや、機能的な照明についての重要性などは千差万別。その辺を間違いなく進めていくためには、最終的には原寸大のモックアップ・テストに頼らねばならない。

このホテルの照明で特徴的なことは、天井にはほとんど照明器具が取りついていないことだ。ケリーの好みでもあるし、私たち照明デザイナーにとっても挑戦的なテーマである。

通路についても天井照明はなく床と壁の見切りにニッチを設計してそこに灯りを仕込んでいる。レセプション・ロビーについても天井からの照明でなく低い位置までペンダントを下げてしまった。低い位置の照明は広い範囲を照らすことに
は向いていない。つまり、このホテルはたくさんの陰影を楽しむことを強いられる。それが強い意図でもあった。

しかし、私が年を取ったせいだろうか、ホテルにチェックインした初日の夜に私が「暗い」と思った。土砂降りの雨が来たので外での食事を断念してホテルのダイニングに座った時のことだ。テーブルの上のキャンドルだけではメニューが読みづらいので、ウエイトレスはLEDライト付のメニューを開いて見せた。私の奥様の評としては「普通では許される暗さではないけれど…」「だんだん慣れてきたわ」「雰囲気悪くない」、だそうだ。

そうなのだ、初日の夜には天井照明のない客室でさえ「う~ん、暗すぎるのかな?」と思った私も、二日目には全く問題なくこのリゾート感覚に馴染んでいた。

問題ない。怖がっちゃいけない。すべては慣れだよ、慣れが解決する。もしかして、日常の都市生活でさえ、Chedi Chaingmai に倣って「多少不便な暗さの体験」をよしとすると、毎日リゾート気分に浸れるかも知れない。

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