探偵ノート

第80号 – 新事務所に独りぼっち

Update:

このコラムを書き始めたのは今から22年ほど前らしい。1998年8月9日に探偵ノート予告編を000号として出発している。以降全く投稿しないような時期もあり今回が080号になる。

今までの79回をつまみ食いして読み返してみると、この20年ばかりの私のドタバタ喜劇が垣間見られる。それぞれの喜劇に個性的な光と影がまとわりついている。包み隠さない表現が自分ながらに面白い。旺盛なコロナウイルスのお陰で、このひと月ばかりは何十年も前に読んだ難解な本を引っ張り出して再読したり、自分の書いた軽口なエッセイに目を通したりしている。私も昔の方が気取らない文章を気楽に書いていたようだ。齢を重ねるごとに人目を気にした文章になる。これは面白くないし美味くもない。

私はこの6月で古希を迎えるので、この際もう一度人目を気にしない言葉を発してみようと思っている。幸か不幸か2月に竣工した広々とした新事務所には、今日も私が一人きりの出社をしている。他の社員は自宅勤務が原則で、体操を含むZOOM朝礼だけで毎日声を掛け合っている。しかし一人きりの仕事も思ったより快適だ。大きな窓から差し込む様々な季節の光が心地いい。

少し前まで桜のピンクに染まっていた窓の外の景色は、今やむせ返るような新緑の緑に覆われている。銀座方面から差し込む強烈な夕陽にも、当初LPAのスタッフは一様に迷惑そうな顔をしていたが、慣れてくると厄介なお友達のように感じているのではないか。タフな仕事場にいながらも、たっぷりの緑や隅田川の川面が望める環境に、皆が少しずつ馴染んできた様子だった。

ああ、早くコロナ騒ぎが収まってスタッフが事務所に戻ってこないかなあ…。

あっ、一人きりのオフィスが最高に心地いい、なんて言っておきながら何か矛盾しているね。

2020年5月4日

おすすめの投稿