探偵ノート

第011号 – 乙女の魂に磨きをかけるには…

Update:

コーヒーブレーク: 面出さんと私
Interviewer: 藤井 美沙

~面出さんからのお手紙~

美沙さんへ

私は、美沙さんはとてもバイタリティがあって素晴らしい照明デザイナーだと思っています。 「自由に発想してみてください…」と言うと、あなたは他の人にない破格のアイデアを発想できます。 その束縛されない乙女の魂をお婆さんになるまで持ち続けていられたら、すごいことだなあ…と思うのです。

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藤井 今日の話は面出さんが私に書いたこのラブレターから始まります。

面出 これは上海から東京行きの飛行機の中で書いたんだ。シャンパンを2杯くらい飲んだ後だったかな。

藤井 気持ち良くなったので、ラブレターを書いてしまった…ということですね。

面出 あなたに宿った純粋無垢な発想力を評価したいと思った。純粋さとかひたむきさというのは、照明デザイナーだけではなく、デザイナーにとってかけがえのない大切な資質だ。

藤井 面出さんは、純粋無垢ですか?

面出 それはいい質問だな(笑)。無垢ではないけど、純粋だとは思っている。でも、
「面出さんは八方美人」と言われたことがあって…。

藤井 ほんとですか!?

面出 うん、まあそうだなと思うこともある。ビジネスの場面では、あまり自分の意見を言い過ぎるのではなく、みんなと仲良くやっていかないといけない。要するに自分の意見は殺してでも、相手の意見を聞いてあげるべき時がある。けれども本当の意見を戦わせる時は、遠慮をしてはいけないと思う。相手が本当に私の意見やアイデアを必要とし、ストレートにこちら側に視線をあびせる時は、嘘をつかず主張すべきだ。八方美人を良く解釈すると、相手のことを慮って、自分の主張を少し抑えながらコミュニケーションをはかるということではないかな。まあ、愛情の一種だ。

藤井 私は、面出さんがワークショップで、よく子供と一緒になって楽しむ場面を、純粋無垢な姿だなと思っています。そういうものが発想を止めない原動力になるのではないでしょうか。面出さんは、ご自身の発想力についてどう思われますか?

面出 僕が発想する時は、斜に構えてみたり、ひっくり返してみたり、普段とは違う見方をすると、目から鱗がぼろぼろ落ちるような音が聞こえる時がある。僕の世代にはよくありがちだけど、社会批判をするけれど、ある部分では自己否定というか…かなり内面では悩んでいるんだ。デザインというのは必ず悶々としながら、テーマや発想をひっくり返してみるというような操作をするけれど、美沙なんかはそうじゃないと思う。

藤井 そうかもしれません。いくつか私のスケッチを持ってきたので、見て頂けますか? これは、すごく細い枝のようなポールのトップに照明がついていて、その細いポールが風でゆっくりと揺れてくれたら、景色が動き出すようで面白いかもしれないという案です。

面出 なるほど。

藤井 次は、面出さんがいつも持っていらっしゃるレーザーポインタを野原のような場所にたくさん並べます。 晴れた夜は何も見えませんが、もし雲が出てきたら、レーザーポインタがぽつぽつと雲を照らし、幻想的な風景が浮かび上がってくるのではないかなという案です。リゾートでは現地の自然を活かし、そこにしかない夜の景色を作ることを求められることがありますが、そういった場面で提案できるのではないかと思います。  次の案は、東京の空を大きな白い幕で覆ってしまおうというものです。光は受ける面がないと実態として見えてこないので、上空の光害もなかなか実感がわかないと思うのです。そこで、白い布をかぶせると私たちが思っている以上に、その布が明るくなってびっくりというよな。

面出 それは大掛かり過ぎてクリスト的発想だけど、例えば飛行船の下に照度計が付けてあって照度を計測し、それを数値で上空から知らせるというのが良い。

藤井 なるほど、そちらの方がスマートですね。そういう飛行船が飛んでいるのは面白そう。 次に、建築の表層がCDのような仕組みになっていて、夜に光をあてると周りの景色がびっくりするぐらい虹色に染まるという案です。

面出 これはダイクロイック・ミラーガラスなんかであるよね。

藤井 次に…

面出 そろそろ今回の話のまとめをしたいんですが。おそらくこういうたくさんのアイデアをランニング形式で出していくのは重要で、私が教えている学生の中にもスケッチを描くやつと描かないやつがいて、描いているやつほど良いアイデアを持っている。美沙のアイデア製造装置が飛躍的に洗練されると、すごいデザイナーになるのではないかなと思っているのですが。

藤井 はい。

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