街歩き・サロン

第48回照明探偵団街歩き 「JR中野駅から三鷹駅まで」

2014.06.13     坂口真一+ 田村聡+ 黄思濠+ 小薗早紀

マニアックなお店が集まる中野や、住みたい街第1位の吉祥寺、文化人が好む街阿佐ヶ谷など、JR 中央線沿線は東京の西大動脈のでありながら、各駅ごとに様々な特色をもつ。今回は中野から三鷹にかけての夜の街並みを探索し、その地域にあった照明や夜の表情になっているかを考察した。

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東京「西の大動脈JR中央線。その中央線の中でも都心に近い中野駅から三鷹駅までを4班に分かれて調査しました。梅雨の時期で天気が心配されましたが雨も降らず、また夏至に近く薄明るい中で街歩きを開始しました。

1 班: 三鷹台~吉祥寺エリア

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過剰にあかるい街路灯

1班は、京王井の頭線の三鷹台駅から吉祥寺駅までを街歩きしました。三鷹台から井の頭公園までは、川沿いの住宅街へと延びる通勤通学に利用される歩道から住宅街を中心に歩きました。川沿いの道は街灯はあるものの少し暗く、夜一人で歩くのには不安という声が多くあがりました。そんな中突如と現れる公園の異常にに眩しい灯り。通勤通学に使う歩道は、どんな人でも安心して歩ける明るさと、統一感のある明かりが必要だと思いました。

三鷹台の住宅街では様々な意見があがりました。街灯は一般的なものが多かったのですが、玄関先は個性的なものが多く、評価が高かったです。暖色系の門燈や、バックライトで照らす表札等が特徴的で好印象でした。
井の頭公園は、通勤通学路として利用されているためか、夜間でも多くの方が利用していました。その照明はさまざま。歩道に面した照明は基本的に眩しいものばかりで少し残念。LED照明は切れていたりして、そろそろ全面的に見直してもよいのではと感じました。
しかし、池のほとりはとても良い雰囲気。橋は暖色系の間接照明で彩られており、幻想的な雰囲気でした。なんといっても最大の英雄はきれいに見えた月。水面にうつる月は今夜の一番の英雄でした。
公園を後にして商店街を抜け、吉祥寺駅へ。商店街は温かみがあり、好感を持ちました。駅周辺は色とりどりの看板の数々。これは英雄と犯罪者、賛否がわかれるところでした。
今回は静かな住宅街から公園を抜けて駅へと歩きましたが、逆に歩いてもまた印象が違うかもしれません。適材適所、その場に合った灯りが大切だということを改めて感じました。
(坂口真一)

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暗いほどに点在する眩しい街路灯
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パンの自動販売機に、一同釘づけ

2 班:中野駅周辺エリア

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中野サンモール
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好評だった三番街の街並

2 班は中野駅をスタートとし、そこから伸びるサンモール、ブロードウェイ、早稲田通り、薬師通りへと横道を回遊しながら、また戻るルートを歩きました。

メインとなるサンモールから分岐する横町は異なる照明でまとめられており、それぞれの個性を発揮していました。街灯下の飲屋の雑多な光を考慮して街灯を設計したわけでは無いと思いますが、様々な光が交わり自然に溶け合っており、良い影響を及ぼしあっている感じがしました。

ブロードウェイでは、天井に緑色の光があり、「これは何だ!」となりましたが、調べると空間をビビッドに見せるためにあえて採用したものということがわかりました。当初の目的は達せられていますし、中野という街の特徴をあらわすには適した光だと思うのと同時に、商店街としては違和感を感じる光であり、評価を分けるなと感じました。

薬師ロードも商店街毎に街灯の形が異なっていましたが、基本的に3,000K 台の温かな光でまとめられており、落ち着いた印象を受けました。新井薬師に続く昔ながらの道では、途中にある美容院や飴屋など新しい建物も色温度を抑えており、古くからの通りにふさわしい良い雰囲気を醸し出していました。

しかし、商店街を少し外れたところにある住宅地用の街灯は、LED 化されていたのは良いのですが、非常に眩しく色温度は5,000K と高く、ランプ交換や遮光板の追加が望ましいのではないかと思いました。せっかくのお洒落な店に自動販売機が映り込み、景観を台無しにしていた箇所もありました。利便性と景観とどちらを重視するか、今後議論をしていくべきことではないかと感じました。
(田村聡)


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街路灯の犯罪者と英雄

3 班:阿佐ヶ谷エリア

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阿佐ヶ谷パールセンターのアーケード

2 班のスタートは阿佐ヶ谷パールセンター。日本で2 番目に古い商店街で、何度も改装を繰り返し、今は入口の特徴的なドームと白色基調のアーケードの綺麗な姿に生まれ変わっています。ここでは入口にある輝かしいパチンコ店がどうしても目を引いてしまいました。普通パチンコ店は最大の光の犯罪者のレッテルがはられてしまいますが、ここでは入口のウェルカム的な光を提供しているようで、もちろんパチンコ屋自体の照明を肯定はしませんが、そんなに悪くないのではないかと思いました。演色性の高い電球を使ったパスタ屋は全員一致で光の英雄。飲食店としてのこだわりを感じました。

反対に、照明が全く機能していない入口の案内板、色味の悪いLED によってピンク色に照らされた八百屋、蛍光灯むき出しの商品陳列棚、アーケードに使われている緑色の光が犯罪者として上がりました。

次に北阿佐ヶ谷。異なる商店街組合によって構成された静かな住宅街。組合によって街路灯の形状やデザインが違っていて、特徴的でした。河北総合病院の裏にある道沿いに立っている街路灯は住宅や病室に光が漏れないように遮光板が取り付けられており、当日の街歩きの過程で発見した最大の英雄でした。

その他神社の鳥居のアップライトも特徴的なグレアレス加工がしてあったり、黄色い光で照らされた暖かい雰囲気の古本屋があったりと、光の英雄の方が多いようでした。しかしこの和やかな雰囲気を壊すかのような眩しい自販機、光る看板等の光害は存在し、残念に思いました。
(黄思濠)

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人の気配があまりないシーフォートスクエア
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阿佐ヶ谷班集合写真

4 班:吉祥寺~三鷹エリア

4班は三鷹駅から井の頭通りを中心に歩き、住宅地や商店街を通りながら吉祥寺駅まで移動しました。

三鷹駅付近では横断歩道用の看板下照明、歩行者用の小さい照明、車道用照明と光の役割分担がされている点がとても印象的でした。ただ、周囲の店舗からの光を考えると、ここまでの明かりは必要なかったようにも思います。また平面状では均等に配置された照明器具でも歩道の幅、樹木の高さ、建物の密度など照明以外の要素によって大きく印象が異なることが分かり、鉛直面での照明設計が大切だと実感しました。
吉祥寺駅付近の繁華街は様々な看板照明により雑多な印象を作っていますが、多様な光による街全体としての統一感、パワフルさを作っているようにも思いました。また、駅直通のサンロード商店街ではメインストリートは照度、色温度とも高めに設計してあり、お店の光が通りにあまりはみ出していないため、とても歩き易く感じました。一方、メインストリートに繋がるサブストリートは照度、色温度とも低めに設計してあり、自然とゆっくり歩けるような明かりを作っていました。住宅街エリアでも大通りの明るさから、一歩住宅街に入ると数段明るさを落としてあり、光のメリハリが人々の生活と呼応していて、安心感を覚えました。

二駅間を歩き、どちらも都市スケールでは光の住み分けがされていて安定していましたが、建築スケールで見た際、吉祥寺の街の方が景観が整えられているように感じました。雑多な繁華街の様でいて、実は整理された街に感じました。下見の際は三鷹台駅から吉祥寺駅まで歩きましたが、同じ駅、光でも歩いてきた道順により全く異なる印象になり新鮮でした。これからも色んな街で一駅間歩いてみたいと思います。
(小薗早紀)

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随所にベンチや階段が配され、歩く人がくつろげるスペースに
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調査エリアをチェック

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光と陰のコントラストが居心地の良さを作り出している

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