街歩き・サロン

「JR 中央線沿線街歩き」@ 渋谷 照明探偵団事務局

2014.06.23    三宅博行

6 月13 日に行われたJR 中央線沿線街歩きの報告会を開催。4 つの班がそれぞれ特色を持つ4 つのエリアに分かれて行った街歩きの感想を写真を紹介しながら、語りあいました。

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同じ光源の照明でも、場所や取付方法で、まったくその与える印象が変わってしまうことを実感

今年最初のサロンでは、JR 中央線沿線の、阿佐ヶ谷・中野・吉祥寺・三鷹を歩いた各班からまとめが発表された。街歩き直後の懇親会時に各班の写真を集め、最も重要な部分は発表したこともあり、サロンでの発表ではさらに深い考察がなされていった。

まずは三鷹駅から吉祥寺までを歩いた班の報告を、小薗氏から。ポイントごとに自分たちの印象を数字にし、レーダーチャートにして見せていく。全体的には落ち着いた雰囲気の中に、意匠の凝ったポール灯があったり、オープンなBBQ 居酒屋があったりと、隠し味的な要素が点在しているようだ。
次に阿佐ヶ谷駅周辺の報告を、黄氏・金子氏から。さらに、この町で青春時代を過ごした面出団長が追加で説明を加えた。商業地域ではあるものの住宅街の中にある商店街という要素が強く、民家側に眩しくない配慮をした街路灯や、派手すぎないけれども趣向を凝らした店頭の光小物が印象的だ。
そして、中野駅周辺の報告を田村氏から。このエリアの中で最もにぎやかな街の様子を、-5 から+5 まで点数をつけて紹介してくれた。サンロードやブロードウェイなど特に歴史を感じさせるものが残っているが、昔の写真と見比べると照明は変えられている部分もかなり多いようだ。
最後に、京王線の三鷹台駅から吉祥寺までを歩いての報告を坂口氏から。住宅街と井の頭公園の様子を多くの写真とコメントで報告してくれた。凝った住宅の美しい門灯に比べて、街路灯は眩しいものがただ並ぶだけで、印象に残らず、公園にも眩しいポール灯が立ち並ぶ。ただ吉祥寺側の入口だけは、色温度の統一や眩しさの抑制など配慮が感じられた、ということだ。

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パチンコ店も時には人を寄せ付ける光を創出しているのではないか、という意見も
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夜景写真の撮影方法を説明

さて、こうして四つのエリアを比較してみると、それぞれの街が「昭和っぽさ」を色濃く残しながらも、その度合いには意外と差があるように見える。主に商業エリアを周った阿佐ヶ谷・中野では昭和の印象が濃く、住宅エリアの多かった三鷹・三鷹台ではそういった印象は薄いようだ。やはり商業施設は時代と共に集客のために工夫を凝らし、変遷が早いという事だろう。一方、住宅街では日が沈んでからは特に、古さ・新しさといった要素を感じる事ができなかった。さらに言えば他の街との違いも洒落た門灯の有無くらいで、夜になるとどんどん薄れていってしまう。残念ながら、住宅街の夜景の時代や地域によらない最適解とは遠いようだ。顧みられる機会がなく、昭和の時代からちっとも進歩せず、等間隔にポールを並べておけばいいという事になっているのだ。そろそろ探偵団で声を上げてもよいころかもしれない。
(三宅博行)

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さまざまに工夫された街路灯
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昔と今を比較しながら、気づいたことを発表

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話が尽きず、あっという間の2 時間でした。

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