アニュアルフォーラム

第11回 マドリードフォーラム 2014

2014.10.02-10.05      服部祐介 + 三宅博行 + 東悟子 

11 回目となるアニュアルフォーラム。今年の開催場所はスペインのマドリード。古い歴史をもつスペインでのフォーラムのテーマは〝NEW CITY_NEW PEOPLE_NEW _ LIGHT”。 現地の人たちとマドリードのあかりの現状と今後について議論しました。

今回で 11 回目となるアニュアルフォーラムはスペインのマドリードで 10 月 2 日から 4日までの 3 日間開催されました。テーマは〝 NEW CITY_NEW PEOPLE_NEW”。マドリ ード在住の探偵団メンバーイグナッチオの提案で『今の明かりとこれからの明かり、そして光・社会・人とのかかわり』についてを語り合うことを今回の主題と設定。世界各地から集まった探偵団メンバーが主体となりマドリードの学生と、瞬発力と体力勝負の 3 日間となりました。

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シンポジウムの様子

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プレイベントトークショーの様子

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会場となったInitucion Libre de Ensenaza

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オリエンテーションの様子

プレイベントー Talk Show

マドリード在住の様々なジャンルのアーティスト、デザイナー、クリエーターと 4 名の照明探偵団員が光について各自 10 分のミニトークを行いました。
古い鉄道の倉庫をギャラリーに改築した特徴的で雰囲気のある場所が会場となり、満員の人と熱気に包まれた熱い 3 時間のトークショーとなりました。

Day1

オリエンテーション
今春完成したばかりの真新しい施設Institucion Libre de Ensenanza を お借りし、2 日間のフォーラムがスタートしました。参加者のほとんどは Masterdia Lighting Design の学生。
探偵団や団員の紹介から始まり、街歩きの目的、方法などを説明。その後参加者は 4 つのチームに分かれ担当の調査エリアの確認を行いました。事前にエリア視察を行った学生の解説を聞き、その環境下での光の英雄と犯罪者の定義や予測される事柄について話してから、街歩きに出発。各班、さまざまな目標を持って出かけました。 ( 東 悟子 )

街歩き

Team1:Triball
Team1 は、面出団長を筆頭にドイツからAndeas Schulz 団員を向かえ、5 人の学生とTriball エリアを調査しました。Triball はグラン・ビアとフエンカラル通りの周りに広がるにぎやかな通りで形作られる三角形のエリア。マドリード内で忘れ去られてしまっていたこの地区を再生しようという企業家グループの活動によって、若手デザイナーの台頭と多角的な空間を目指す新しい流行発信地区に生まれ変わったという経緯があります。
学生達からそのような歴史の解説を受けた後、地図を広げて街の様子を見て歩きました。陽が傾くにつれて人は増え、午後 8 時を過ぎると街灯が点灯。クラシックなデザインを施され街に溶け込んでいた街路灯からは演色性の低いナトリウムランプの光が放たれ、街は橙一色。照度計は街灯直下で軒並み 200Lux を超え、必要以上の明るさ。そのような街路の光環境の中、レストラン、バル、ブティックなどの店舗は各々工夫を凝らした照明をデザインしていました。興味深かったのは、学生達がこの街路は明るくて安全で街に貢献しているので、正当な光環境だと主張したこと。街路にテーブルを出してダイニングしているところの料理や、昼には爽やかな街路樹が演色性の低い光環境で色味を失っているので、そこは改善の余地があるだろう、しかし、街路灯は街がこのようにヒップなエリアとなる前から存在しているので、この街路灯を犯罪者と言い切れるのか、といった議論になりました。  ( 服部 祐介 )

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Team1が担当したエリア

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各班の街歩きの様子

Team 2:Tetuan
私たちの街歩きエリアはマドリード中心部から少し離れたところで、20世紀初頭から大工や鍛冶屋のような職人が住んでいた場所。ナトリウムランプのオレンジ色の街路灯が照らす通りで、メンバーは光の英雄を探すのに苦労をしました。その中でも、特徴を出そうとしてカラーライティングを使用しているス ーパーや建築を英雄にあげ、照明で何かしようという心意気が英雄だという意見を採用してチームの英雄が決定。犯罪者には暗すぎる通りや、色が表現できていない演色性の悪い街路灯が挙げられていました。  ( 東 悟子 )

Team 3:The Casa de Campo
The Casa de Campo(田舎のお家)はマドリードの中央西部に位置する大きな都市型公園。1031 年までこのエリアは、王族がハンティングする場所でした。1963 年にマドリ ード市所有となり、大変人気のある公園になりました。この緑豊かなエリアは 1750 エーカー以上にも広がり、周辺は忙しい街に囲まれています。私たちの班はその中にある人造湖周辺を調査しました。
The Casa de Campo の地下鉄駅から街歩きをスタートし、大きなプラタナスの通りを抜けて、湖へと向かいました。3 人のチームリ ーダーと 6 人の好奇心旺盛な学生と一緒に光の英雄と犯罪者を探索しました。調査開始を始め、私たちはが光の犯罪者しかみつからない状況に戸惑いましたが、よく周辺を観察し意見を交わし話し合ってみるうちに、面白い点に気付き、湖の周りのエリアをいい照明環境に改善する提案が浮かびました。
街歩きの終点は、湖の側のレストランでのおいしい夕食。私たち全員がこの街歩きに触発され、参加した学生はシンポジウムで面白い提案を発表してくれました。
                 ( アレクサンドラ )

Team 4:AZCA
ヤン氏、クリストフ氏、三宅が引率する第4チームは、市の中心部北側に位置する AZCAへと向かいました。この地域はマドリッドの金融の中心で、超高層ビルが集まってオフィスが入居するビジネスエリアとなっていますが、同時にレストランやショッピングのできる複合施設も並んでいます。エリア全体が1964 年に承認された開発計画に沿って開発されているため、それぞれの建物の足元は連続的な広場や公園でつながれています。ほとんどの照明は高圧ナトリウムのポール灯で、オレンジ色に包まれていました。
チームが1番の「光の英雄」に選んだのは、ある広場の横に立つビルの窓に演出された青色のアッパーライト。建物や広場のスケールが巨大で、照明も一定のピッチで立つポール灯にたよっているためにどうしても無機質な印象になりやすいこのエリアの中で、青色に光る窓は非常に目立っており、賑やかさや安心感を演出するのに一役買っていたことが高い評価につながりました。
逆に犯罪者に選ばれてしまったのは影。公園が立体的に組み合わされていましたが、下をくぐる側に照明がない事が多く、完全に真っ暗な中をあるくことになり、しかも落書きなどもところどこにあり、通るのに不安を感じます。近年治安の悪化も懸念されているとのこと。この部分に対しての学生たちの提案は、下から天井面を照らしあげる案であり、単に照明をつけて地面の照度を出すのではなく、鉛直面の輝度を与えて空間としても明るさを重視する手法でした。また周辺の眩しいポールだけの公園部分にも、木へのアップライト、腰壁部分の間接照明、ベンチ下の照明など、もっと目に入ってくる要素を増やす提案が活発になされていました。

Day 2: グループディスカッション

翌朝、それぞれのグループで街歩きの結果をまとめ、フォーラム発表への準備を行いました。それぞれの感想を共有し、エリアで見つけた光の英雄と犯罪者をピックアップし、どこが良いのか、またどこが悪いのか、そしてどうすればより良い光環境にすることができるのか、時間をかけてじっくりとディスカッションを行いました。 ( 三宅 博行 )

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グループディスカッションの様子
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シンポジウム

プレゼンテーションの準備を終えるとホールに集合して、フォーラムが始まりました。それぞれチームの学生が担当したエリアについて、「光の英雄と犯罪者」を見つけだし、さらに犯罪者については改善策を発表しました。プレゼンテーションが終わると、パネリストからは限られた時間の中で内容のある発表を準備した学生達に賞賛の拍手が送られました。各チームが共通して苦労したのが「英雄」を見つけだすことだったようで、マドリードの光環境は改善の余地が多分にあると全員に共通認識ができました。その後、コアメンバーが壇上に上がりパネルディスカッションがスタート。マドリードという都市の特徴や魅力が夜には見つけることができないことは否めないが、照明だけで都市環境を改善できることは限られていて、人を中心としたコミュニティーと生活のスケールが計画されていることが大前提にある、それは行政を巻き込まないと始まらないことだという議論になりました。また、テクノロジーの発展に恩恵を受けて急成長を続ける LED 照明やその制御技術は、確かにエネルギー問題の糸口になっている反面、それは数字だけを追ってしまう傾向にあり、そのテクノロジーが人の感情や生活にもたらす影響を考える側面がおざなりにな っているのではないか、LED の時流に乗っか ってはばからない照明デザイン業界に警鐘を鳴らす場面もありました。終始緊張感のあるフォーラムでしたが、その後はイベリコハムとスペインワインでフォーラムの成功を祝い、アフターパーティーのホールは陽気な笑い声で包まれてマドリードの夜は締めくくられました。 ( 服部 祐介 )

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会場からの質問を話し合う探偵団メンバー

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チーム発表
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会場からの質問に回答するJun団員

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発表に対してコメントするChris団員
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会場からは活発な質問がとんだ。

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エクスカーションの様子。ガラス工房にて。

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無事今年のフォーラムも終了

Day 3: エクスカーション to La Granja

フォーラム翌日、一行はフェリペ 5 世の離宮、ラグランハ宮殿を訪れました。マドリッドより少し肌寒い秋の空気の中バロック様式の宮殿と庭園を見学。宮殿に付随した歴史的なガラス工房で見た、技術の発展と時代ごとの工具たちの展示は特に印象深く心に残っています。 ( 三宅 博行 )

今回のフォーラムでは各地から集まった探偵団員と現地の参加者とのコミュニケーションがよくとれ、質疑応答も活発で、慌ただしい中でも、ディスカッションに長い時間をとることができたように感じました。シンポジウムには行政の方も参加され、発表で提案された内容を持ち帰る、と言われていたとのこと。このフォーラムをきっかけに照明を考える機会が増えることを期待しています。( 東 悟子 )
  
  
  
  
  

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