探偵ノート

第030号 – 移動の光とは

Update:

テーマ『移動の光とは』

Interviewer: 木村 光

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木村:今回は乗り物の室内の光についてお話ししたいと思います。僕は乗り物全般として好きですが、特に自動車を運転することが好きです。

面出:木村さんは車を運転すると人が変わるタイプだったりするの?

木村:いえ、スピード狂とかではなくて、乗っている人を寝かせる運転をすることを目指すタイプです。面出さんは運転お好きですか?

面出:僕は運転するより乗せてもらう方がいいな。今はほとんど運転していないけど、やらせたらプロ並みに丁寧な運転をするよ。でも免許を取り立ての学生の頃は、自分の技術におぼれて、危ない運転もしていたね。

木村:面出さんにもそんな頃があったのですね。
以前から僕の中で車は移動する手段である以上に動く部屋だと感じていました。しかし、そう感じながらもあまり車内の光に適当な答えが出ていません。

面出:運転する人にとっては車内が明るくなるのは余計なことで、計器を見るための光があればいいのではないかな。

木村:確かにそうですね。
ただこのテーマにしたのには2つきっかけがありました。1つ目は最近初めてバスを運転したのですが、そのバスには天井にシャンデリアと壁にブラケット照明が付いていて、それを運転席で調光できる仕様になっていたんです。

面出:路線バスには調光はないよね。

木村:ないですね。僕が借りたのは観光バスタイプです。
今まで車内には調光の機能はいらないと思っていたのですが、時間や車内の人たちの盛り上がりに合わせ明るさを調整することで車内の快適性が向上したのを見て、調光の必要性を感じました。それは車内空間を考える上でなかなかの驚きでした。
2つ目のきっかけは、僕は時々車中泊をすることがあるのですが、その度に車内の光はとても不便だと感じます。マップライトでも本を読むには読みずらいし、全体を明るくすると車外から中が見えてしまう。車内の照明って昔からあまり進化がないように感じます。もちろん天井に間接照明が付いていたり、キラキラとした星空照明の様なものもありますが、機能性の為というより他との差別化や高級感を演出したいだけに思います。面出さんは飛行機や新幹線にはよく乗られますが、その時はどんなことを感じますか?

面出:僕は空を飛んでいる時に、地上の仕事より何倍もいい仕事が出来ると信じている。

木村:それは光の関係ですか?

面出:それもあるし、たぶん大地から離れているという無国籍な感じというか、何か既成概念にとらわれない自分を感じるからだろうね。

木村:その感覚は面白いですね。では新幹線では飛ばないからダメですか?

面出:新幹線も好きだよ。飛ぶ以外にそこに乗っている時間の違いもある。香港まで4時間、シンガポールまで7時間、大阪まで2.5時間。その時間は邪魔されずに自分の仕事ができる。
光のことで言うと飛行機は夜間も移動するので、時間により機内を徐々に暗くしていく。寝ている人の隣で本を読む事もあるので、全体をやわらかく照らしている光以外に精巧に手元だけを照らすダウンライトが取り付いている。少し上のクラスになると更に手元灯が追加されていて便利だね。

木村:確かに電車は深夜には動かないので、光への考え方も違うのですね。最近は飛行機でもカラフルに光るものがあるらしいですが、あれはどうも好きになれません。

面出:東京湾でも見られる屋形船も最近はやることが無くなって電飾を付けていろんな色で光っている。車でも飛行機でもなんでもやることなくなっちゃうと何の色にしますかって簡単にそういう話になってきてしまうんだよ。
昔、照明探偵団では、車や電車、船、飛行機を電飾移動箱と命名した。トラック野郎が流行っていてみんなが自分を主張するように光を出したんだ。

木村:電飾移動箱ですか。最近もハイブリッド車や電気自動車とかも出てきて世の中はエコをうたっている割に、電飾移動箱は減らず矛盾を感じます。

面出:車というのは電力会社に頼らない自己完結した電力で動いていて、そのことにより建築照明にはない温度や衝撃などの過酷な状況に耐えられる究極の12Vや24Vの照明が進化したんだ。

木村:それはすごいことですね。

面出:ただ運転する人にとっては中が光っていたりするのは余計なことにしかならない。逆に同乗者にとっては、移動する間に何かしたい時には明かりが必要だったりする。新幹線や飛行機は運転することじゃなく乗ってその中でご飯を食べたり寝たり、仕事だって出来る。その場合は真っ暗じゃ困るし、外の景色を見るだけじゃつまらないこともある。だからそれぞれの状況によって快適な空間が必要になるね。

木村:そう考えると乗り物は、運転や景色を楽しむ物と快適に移動することだけを求める2つに分かれそうですね。

面出:未来には車が自動運転になり運転不要の移動空間になったら、自動車のインテリアにも住居なみの照明が必要とされるかもしれないね。

木村:未来に車が空を飛ぶようになったら、面出さんはどこでもいい仕事が出来きてしまいますね。その時は僕の運転は必要ないですが、せめて面出さんがゆっくり眠れる明かりをデザインさせて下さい。

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