照明探偵団通信

照明探偵団通信vol.96

Update:

発行日:2019年3月14日
・照明探偵団倶楽部活動1/世界都市照明調査in Morocco (2018/9/30-10/08)
・照明探偵団倶楽部活動2/第62回街歩き:渋谷川(2018/10/02)
・照明探偵団倶楽部活動3/第60回照明探偵団サロン(2018/11/29)
・照明探偵団倶楽部活動3/照明探偵団Jr.@江戸東京たてもの園(2018/12/01)

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世界都市照明調査in Morocco

2018/09/30-10/08 高橋翔作 + 山本雅文

アフリカ大陸にありながらも、隣国スペインやフランスなどのヨーロッパの影響を色濃く残すモロッコ。様々な文化の影響を受けながら都市が形成されて来たと言える。今回の調査は、大都市マラケシュから始まり、アトラス山脈を越えて内陸の広大なサハラ砂漠を訪ねた。そこから10時間かけ更に600キロも大陸を横断し、青の街シャウエンを目指した。太陽の恩恵を受けながら地中海のほとりに輝くこの国の風土、文化、暮らしを体感し、照明と人々の暮らしのあり方を調査した。

YMS_DSC_5165ジャマ・エル・フナ広場

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旧市街の道の多くは日よけで覆われている

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人々で賑わう夜のスーク

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大道芸を鑑賞する人々

■マラケシュに到着
カサブランカ空港から車で走ること4時間。荒野の中にポツリと赤土の街並が見えて来た。大都市マラケシュだ。旧市街で車を降りた途端、飛び交う大量のハエが体中にぷつぷつと当たる。果物や生魚の腐敗した臭いが鼻を突く。狭い路地を大勢の人々が行き交い、バイクがクラクションを鳴らしながら走り抜けていく。辺りには砂埃と排気ガスがたちこめる。遅めの昼食にと、近所の売店で買ったツナサンドにも、たちまちハエが群がる。

■旧市街の街並みとスーク
旧市街=メディナは、2、3階建ての建物が密集している。迷路のように入り組んだ道が続き、歩きだすとたちまち方向感覚が無くなる。建物と建物の間には、強い日差しを遮るための布や板がかけられて、その下の小道で人々が談笑している。途中から生活感は消え、雑貨店が軒を連ねるスーク(市場)に出た。鉄、鋳物、陶器、革、衣服など様々な専門店が軒を連ねる。品物は道にもあふれている。それらには緻密で美しい模様が施され、丁寧な手仕事の跡が伺える。真鍮職人のスークでは、狭い店内に所狭しとランプシェードが並べられ、天井までも覆われている。無数の白熱電球の光が真鍮越しに輝いていた。夜の旧市街は、建物の外壁に付いた白色LEDが路面を照らす殺風景な景色だった。けれど、玄関脇のランプシェードの明かりの傍で談笑する人々の姿は印象的だった。人の拠り所となる場所の照明には、モロッコ人の暖かな気持ちが込められているに違いない。

■ジャマ・エル・フナ広場の夜
広場の賑わいは日が沈むにつてれて増していく。雑踏と独特な匂いにクラっとする。笛や太鼓の音色は異国情緒あふれるメロディーを奏でている。大道芸人が小さな明かりのたもとで芸を披露し、大勢の人々が鑑賞している。屋台からは煙がたちこめ、電球色や白色の裸電球で無秩序に彩られていく。様々な照明が混在する様子は、そこに集う人々の活気に更なる彩を添えているのではないか。広場は眩い光で満たされ、まるで大都市マラケシュの中にぽっかりと出来た、光のオアシスとでも言えよう。

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真鍮職人のスークには所狭しとランプシェードが並ぶ

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近郊の街から砂漠まではラクダで移動する

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食後にベルベル人の伝統音楽を聞きながら談笑する

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タジンの傍らで揺れるキャンドルの灯り

■サハラ砂漠を目指して
マラケシュを出発したのは日が昇り始めた朝7時半。舗装されていない山道を車で飛ばす。目的地は標高2000メートルのアトラス山脈の遥か遠く。街を抜け、ナツメヤシの森を抜ける。進むにつれて単調な景色が続くようになる。広大な岩砂漠の彼方に山の峰が連なって見える。サンセットに間に合うようにと車は加速する。出発してから10時間が過ぎた頃、ようやく砂漠が見えて来た。太陽は西の空に沈みかけている。大きな砂丘をひとつ乗り越えたところで車を降りた。

■サンセット
砂漠では、時折吹くかすかな風音だけが聞える。ラクダに乗って更に内地を目指す。あたりは次第に暗くなる。大きな砂丘を登ったところで、遠くに街明かりが見え始めた。頂上で腰をおろすと、頭上には手が届きそうな星空が広がっている。半球の夜空に散りばめられた星は、ゆっくりと明滅している。星々がくっきりと見える分、夜空は近く感じられた。
初日にマラケシュで見た夜空は東京と変わりなかった。しかし人工照明から離れた砂漠の夜空は大きく違い、自然そのものの情景であった。満点の星の夜空は、私達の暮らしの中の灯によってかき消され、特別な価値を持つ景色となってしまった。発展を止めない都市の中で暮らしながらも、自然本来の姿を心に留め思いを寄せてみる。その様な小さな働きかけが、例えば節電する気持ちに繋がったりと、都市夜景を変えていくきっかけになるのではないだろうか。

■砂漠のキャンドルナイト
砂漠で心に残った照明が一つある。夕食の時に現地の方が我々のテーブルに置いた即席の燭台だ。カットしたペットボトルを逆さにし、一方には砂漠の砂を詰め、もう一方の飲口をその砂に差し込み、ロウソクを立てた仕様。簡素ながらも、旅の必需品だけを用いて風を遮り、砂でシェードとロウソクを固定している。その必然的な仕組みに機能的な美しさを感じた。もちろんロウソクの暖かな灯りが失われること無く、タジン鍋が美味しそうに照らされている。

■サンライズ
翌朝の砂漠はすっかり冷え込んでいた。空に星が残っている頃にテントを出て再び砂丘を登った。日の出前の砂肌はしっとりと微かな陰影をつけている。やがて砂峰の彼方から太陽が顔を出す。次第に砂の起伏のコントラストが増して来る。風にさらされて波紋の様な表情になった砂肌までもが、くっきりと浮かび上がる。
日常生活の中で、寝室に差し込む朝日が刻々と変化する表情に感動させられることがある。しかし、生活や喧騒から離れた砂漠では、僅か数分の太陽の軌跡がつくりだす変化にさえ、繊細な時間が流れていたことに気づかされる。さりげない物事にもドラマがある。慌ただしい日常の中で見落としてしまっていた多くのことを砂漠は教えてくれた。(山本雅文)

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日が昇るにつれて砂の起伏に強いコントラストが付き始める
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頭上に降り注ぐ星空

■青の街シャウエン
 
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丘から眺めるシャウエンの街、街中央の照明のほとんどが白色だとわかる

モロッコを代表する観光地の1つにシャウエンがある。丘に建つこの街は街中の外壁が青、水色に塗装されている。青色の壁面を背景に所々に原色の花瓶や布がちりばめられた風景はおとぎ話の世界に迷い込んだ様な感覚になる。
街中にはナトリウムランプによるオレンジ色の光はほとんどなく、青白い蛍光灯かLEDが用いられていた。モスクのライトアップや、モスク前の広場ではナトリウム灯が用いられているところを見ると、青い街中では白色の照明を使うように色温度の使い分けがされているようだ。青い壁面に青白い光で照らされるこの街の夜は、どこか寒々しい雰囲気が漂い、日中のかわいらしい雰囲気から一変する。道は最小限の明るさで照らされ、暗い道では1ルクスを下回っていた。日が暮れてからは閉店する店も多く、人通りもまばらになり、夜はさみしく危ない街の印象を受けた。

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壁面も床面も青く塗装された道
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夜間は寒々しい雰囲気が漂う

■経済都市カサブランカ

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カサブランカにある国内最大のハッサン2世モスク、モスク前には広大な広場が広がる

モロッコの商業、金融の中心地で国際空港を有するこの都市は、同国の訪れたどの街よりも近代的な印象を受ける。海岸沿いには建設中のマンションやオフィス、商業施設が立ち並び、進行形で開発が進んでいる様子だ。
どの街にも旧市街と新市街があったが、このカサブランカはその差を最も顕著に感じた。新市街ではネオンサインを掲げた大型の店舗や大道芸を楽しむ人、蛍光灯で明るく照らされたテラス席で雑談を楽しむ人々の光景がみられた。
対して隣り合う旧市街ではナトリウム灯だけの薄暗い中、ゴミも散乱する道端で日用品や食材が売られてた。歩いて数分の距離にこんなにも違う世界が隣り合っていることに驚かされる。演色性の乏しい光の中で様々な商品の全てがオレンジ一色になっていることが気になったが、おおらかな気質のモロッコの人にとっては些末なことなのかもしれない。
街中では街路灯に用いられる2100Kほどのナトリウム灯と商店で用いられる5000~6000Kの電球型蛍光灯かLED電球を中心に利用されていた。そのためオレンジ色の道に真っ白な光の店が連なる光景をよく目にする。旧市街の古い街並みに白い光はどこかアンバランスで味気ない印象を受ける。しかし吊るされた電球型のこれらの照明は商品だけでなく周辺も明るく照らしており、夜間の賑やかさや安全面の光としての機能を担っているようにも感じた。

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元の色が判別できない鮮魚
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カサブランカのスーク
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テラス席で雑談する人々

■まとめ

美しいイスラム建築や独特な音、においまで記憶に焼き付き、多くの旅人がモロッコに魅了される理由が分かる。強い日差しの中で生活する上で必然的な工夫が文化としてモロッコの土地に根付いており、自然光の多様な情景を作り出していた。夜景は新市街と旧市街で全く異なる表情を持っており、その混沌とした環境が異国情緒あふれるモロッコらしさともとれる。街全体が文化遺産となっているところも多く、今後も旧市街の良さはそのままに新旧を内包しながら照明環境も発展していくことを期待したい。(高橋翔作)

第62回街歩き:渋谷川
ニューフェイス渋谷、~ダブルラインの光を探せ~

2018/10/02 古川智也+高野はるか+東悟子

東横線旧渋谷駅ホームと渋谷川沿いの線路跡地周辺の再開発によって、渋谷ストリームと渋谷ブリッジ、再生された渋谷川、遊歩道や緑地が新たに出現。注目の集まるこのエリアで3つの違う視点から光の英雄と犯罪者を探しました。

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渋谷ストリーム開業と渋谷川再生プロジェクトが功を奏して、人が集まるスポットに生まれ変わりつつある

開発が何年にも渡り続いている渋谷。今回の街歩きは9月にオープンした渋谷ストリームから出発。渋谷川沿いの遊歩道を渋谷ブリッジまで歩き“渋谷川再生への挑戦”を検証する街歩きとなりました。渋谷川と東横線跡のダブルラインの光を探せをテーマに街歩きの班を3つに分け、それぞれ歩行者、クリエイティブワーカー、都市環境の視点で見て回りました。

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団長の説明に耳を傾ける団員達

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青色のレーザー光で壁際の川面を照らされる渋谷川

■Team1(クリエイティブワーカー視点)
 
1班は、面出団長と初参加者4名を含めた全11名、「クリエイティブワーカーの視点」で感性を刺激・魅了されるような光を探して街歩きしました。調査ルートは、渋谷ストリーム→首都高速3号渋谷線高架下の国道246号横断デッキ→エクセルホテル東急→渋谷川沿い遊歩道→渋谷ブリッジ→マスタードホテルです。
渋谷ストリームは、吹き抜けや開口部が多く開放的で、照度が抑えられた居心地の良い光環境でした。国道246号横断デッキには、東横線旧渋谷駅ホームの特徴であった「かまぼこ屋根」や「貝形の側壁」が再現され、鉄道のレールも埋め込んであり、当時の面影が色濃く残されたデザインを懐かしく思えました。白い側壁とレール周りをスポットライトで照明して、バウンド光によって高架下にありがちな圧迫感を感じさせない光空間となっており(床面照度5~10lx)、英雄としました。
しかし、該空間に設置された渋谷ストリームのロゴのサインは輝度が高く、暗順応している団員にとって「目が痛くなる、眩しい」光として犯罪者になりました。また、ストリーム2階のイタリア系飲食店ではスポットライトによる看板照明が適切でなく、お店にとって大事な店名が見えない!という失敗例が見られ、お洒落なお店だっただけに勿体なく思われました。
壁泉によって水の流れが蘇った渋谷川は、稲荷橋と金王橋に挟まれた川面の壁際を橋の袂から青色のレーザー光で照明されていました。手法として賛否がありましたが、肯定派は再生された渋谷川に自然と目が行く「特別な青い光」に好感が持てるという意見でした。
渋谷ブリッジの通路天井には、架線を想起させる2列のライン照明が施されており、リズム感のある光は建築にマッチしていて、自然と建物の奥へ導かれました。その先にあるマスタードホテルは建物全体に統一感があり、過度な装飾や光がなく、切符売り場をモチーフにした受付は遊び心が感じられて、全員一致で英雄になりました。渋谷駅周辺は再開発が進行中ですが、「渋南」は渋谷唯一の親水エリアとしてクリエイターや訪問者に憩いや潤いを与え、「春の小川」を口ずさみたくなるような魅力的な場になって欲しいと思います。(古川智也)

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東横線旧渋谷駅の面影が残る横断デッキ
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渋谷ブリッジの架線を想起させるライン照明

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手すり照明により場の連続性と統一感を演出

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川沿いにくつろげるスペースが出現

■Team2(歩行者目線)
 
2班のテーマは「歩行者目線、歩行者ネットワークを整備して新たな人の流れをつくる」。渋谷が夜の歩行者にどのように見えているかを探りました。
2班はストリームの大階段の前から渋谷川沿いに遊歩道を進み、渋谷ブリッジまで歩きました。渋谷川の遊歩道は元々東急東横線の線路が走っていた場所ということで渋谷ブリッジ内から遊歩道へ線路跡を残しています。
渋谷ブリッジでは足元の線路のモチーフが天井の照明にも反映され、土地の歴史を継承する役割も果たしていて英雄という評価でした。遊歩道全体で英雄として評価されたのは、誰も寄りつきたくなかった渋谷川沿いを整備し、統一感のある照明を施すことで憩いの場所を創出したことです。遊歩道の手すり照明は、統一感を持たせ、心地よい落ち着いた光で遊歩道を照らしていました。遊歩道沿いの店舗看板の照明もあまり悪目立ちせず、この情景を作るために地域全体の照明のバランスを取っていたのが評価されました。
一方で犯罪者として目立ったのは、歩道橋の硝子面に映りこんでしまうポール灯の光であったり、バリアフリーのために後付けで設けたと思われる手すりと同じ高さで立っているボラード照明など、別々に進行した工事計画のバッティングが生んでしまった照明でした。
街歩き当日は、クリスマスシーズンが近づきつつあるためか、川の上に仮設のイルミネーションが設置されていました。このイルミネーションに関しては班内でも英雄か犯罪者か、賛否両論ありました。仮設の安っぽさや目に入る光のちらつきに犯罪者ではないかという意見もある一方、季節感があってよい・高い場所から見た時に光の道のように見えるという肯定的な意見もありました。(高野はるか)

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賛否両論あったすだれ式の仮設イルミネーション
上から見ると光の道のようで高評価
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渋谷ストリーム内 東横線の線路のデザインを要所に取り入れている。明るすぎない照明が高評価

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店の裏側が照明をつけたことで悪目立ちしている

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ストリーム大階段 光と音とを手動で動かせるインスタレーシ

■Team3(都市環境視点)
 
3班は都市環境視点で街歩きを進めました。渋谷川の再生が成功し人の流れが変わったのか、人が夜楽しめる環境になっているのかに着目。
まず気になったのが、明治通りから渋谷駅に向かう人の動線。まだ駅の工事が途中だからなのか、ストリームの中を抜けて駅に向かうという人は少なく、外にあるエスカレーターから駅に向かう人が大半のようです。ストリームにあまり物販がなく飲食中心の施設なので、ただ家に帰る駅周辺のワーカーには通り道にもなっていないようでした。
ただストリームのアイコンになっている大階段にある光と音とインタラクティブに遊ぶ機能を持つインスタレーションは議論はありましたが、3班では英雄と判断しました。光で人を誘い込み楽しんでもらう演出は、手法としては新しくないものの一定の効果があるという意見でした。
他に意見が割れたのは渋谷川のレーザー照明と仮設のすだれイルミネーション。この二つがあることで、人が立ち止まって写真を撮っているので、渋谷川への注目度も上がっているようですが、器具が安っぽかったり店の裏側が悪目立ちしていたりと、解決すべき課題も多く見受けられました。
懇親会会場のお店のオーナーにストリーム開業後の人の流れを聞いたところ「オープン当初は人通りが多くなったが、今は開業前に戻ってしまった。遊歩道が代官山までのびるので、それに期待している」とのことでした。渋谷川沿いの歩道は車道と交差する所に横断歩道がなかったり柵があったりと連続して歩くのに適していません。明治通りの方が人が多いのは、動線の悪さと川沿いの店舗の少なさにあり、都市環境視点からも改善すべき箇所が多くあるように思いました。(東悟子)

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遊歩道が柵で中断されており、渡れな状況
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明治通りの方が賑わいを感じる
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手すりとボラードの高さが同じ

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懇親会での発表の様子

第60回照明探偵団サロン
渋谷川街歩きレビュー

2018/11/29 東悟子

渋谷川街歩きのレビューを行いました。渋谷川が表に出てきたという高評価の半面、まだまだ改善する余地があるという意見も多数見受けられました。

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20名ほどのメンバーが集まり渋谷川の夜の環境について意見交換しました

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渋谷川上のすだれイルミネーションへは賛否両論の意見がでました

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渋谷川のレーザー照明も意見が割れる結果に

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渋谷ブリッジの光環境は高評価が多い

渋谷川街歩きのレビューを開催しました。今回の街歩きは回るエリアを分けるのではなく、視点を3つ(歩行者、クリエイティブワーカー、都市環境)に分け、それぞれの視点で見た渋谷川の英雄と犯罪者をまとめ、発表してもらいました。
まず歩行者視点で街を回った班は、あまり人が寄りつかなかった渋谷川にレーザー照明やイルミネーションで光の帯を敷き、夜でも人が歩きやすいようにしたことを評価。また東横線跡や渋谷川の“ライン”を照明のデザインにも取り入れたことが地域の歴史を残しておりいいのでないかという意見も挙がりました。
犯罪者の共通の特徴は、過度な明るさ・まぶしさを出している店舗や看板、照明が渋谷川沿いの遊歩道で作ろうとしている雰囲気を壊しているというものでした。刻々と変化していく渋谷に今後も注目していきたいという結論でした。
クリエイティブ視点で回った班は「クリエイティブワーカーの聖地」を目指して再開発された渋谷ストリームから渋谷ブリッジを、彼らの感性を刺激し魅了するような空間・光環境になっているかに着目して英雄と犯罪者を決めていったとのこと。
鉄道跡地の再開発として、レール・トラフの再利用や鉄道を感じさせるアイテムのちりばめ方や、
線路線形を生かした街の記憶の残し方など、鉄道跡地の再開発を表現した楽しさを感じさせられたとの意見が挙がり、エリア全体的には好評だったように感じました。駅のプラットフォームのようなデザインの渋谷ブリッジも高評価。レールを模したライン照明も、その一角にあるMUSTARDホテルも昔の切符売り場をモチーフにしたレセプションのデザインに遊び心が感じられ、クリエーターに好まれる空間になっていたとのこと。
ただやはり渋谷川の仮設イルミネーションと青色レーザー照明はその安っぽさと安直な手法に評価が分かれているようでした。
都市環境視点で回った班は渋谷ストリーム開業2か月にして、人の賑わいは明治通りに戻ってしまっている現状から、照明でも渋谷川の賑わいを演出しているが、店の雑多な裏側が照明で逆に悪目立ちしてしまっていたり、川に沿った遊歩道が途中車道に遮られ横断歩道もなく、連続的に歩けなくなっているので、まだまだ“裏感”が払しょくできていないのではないかという意見が出ました。
ただ今まで注目されていなかった渋谷川を再生させていく試みの中、照明でメリハリをつけてくつろぐ空間と歩く空間とを分けていたり、人の注意を引くイルミネーションを設置してみたりと、試行錯誤してどんどん改善していくといいのではないかという結論でした。
どの班も同様に出た意見は照明とは関係ありませんが、渋谷川の臭いがひどいというもの。以前に比べだいぶ良くなったようですが、この臭いが改善されない限り、渋谷川を見ながら食事をしたり、遊歩道でのんびり時間を過ごしたいという気はおきないように思います。一刻も早い水質改善、臭気対策を望む意見が一番多かったように思います。
2018年の街歩きは自由が丘に始まり、品川、渋谷川と、それぞれ東京の特徴ある街を回ることができました。2020年のオリンピックに向けて開発が進む東京ですが、また来年も引き続き東京のホットなエリアに着目して街歩きを企画したいと思います。(東悟子)

照明探偵団Jr.@江戸東京たてもの園
闇と囲炉裏体験ワークショップ

2018/12/01 黄思濛

4年ぶりとなるたてもの園でのこどもワークショップ。闇とわずかな明かりの大切さをこども達に知ってもらうため、閉園後の園の照明を一部を残して消してもらい、暗闇の中ではどのように五感が働くのかを体験してもらいました。

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屋根を懐中電灯とカラーフィルターを使いライトアップ

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団長の指示に従い、懐中電灯を当てる

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色々な色で照射実験

本格的な寒さになってきた12月1日に江戸東京たてもの園でこどもワークショップを行いました。今回はライトアップニンジャ、暗闇体験、囲炉裏体験の3つを実施しました。
オリエンテーションの後、17名の小中学生の参加者が懐中電灯とカラーフィルターを持ち、園内の子宝湯の前に集合。団長の指示に沿って赤、青、緑、ピンク、オレンジのカラーフィルターで色を変えながら建物の壁面や看板を照らしました。結果は青色の光が大人気で子宝湯の白い漆喰壁には青の光が一番合うという結果に。隣にある大きな柳も照らしたところ緑が好まれるかと思いきや、フィルター無しの白い光が一番いいとの意見でした。
ライトアップの後は日本の古い建物の夜の姿を見て回りました。明るい夜に慣れたこども達にとっては400年前の日本にタイムスリップしたかのような町。みな興味津々に見ていました。
次は暗闇体験。普段真っ暗な闇を体験する機会がないので、明かりの無い林を一人で歩いてもらう事に。怖くて泣きだす子、お兄ちゃんに手を引かれ恐る恐る歩いていく妹、全然大丈夫と言いながら走っていく子、こども達の暗闇に対する反応は様々でしたが、暗闇には何かが潜んでいるという感覚は共通していたように思います。
最後は民家の囲炉裏を囲み、学芸員の高橋氏から昔の夜の過ごし方や囲炉裏の役割を聞きました。囲炉裏が昔の家にとってどれほど重要な役割を果たしていたのか、電気も暖房機器も無い時代、寒い冬に部屋の中央の囲炉裏が唯一の暖かい場所。家族みんなで囲炉裏を囲んで座り食事をとる。携帯もテレビも無い時代、そこにいる時間は家族の会話が弾む団らんの時間であったに違いありません。こども達は当時の生活の話を聞きながら手足を温めたり、照度計で火の回りの照度を図ったりと楽しく過ごしていました。
自然の光は不思議と人を惹きつけます。先端技術に囲まれ日々過ごすこども達も、囲炉裏の火に魅了され、燃え尽きそうな囲炉裏の火を見つめながらもうちょっとと呟いていましたが、ふっと最後の火が消えお開きに。
携帯ゲームなどが普及し、こども達が外で遊んだり、自然に触れあったりといった昔は当たり前だった光景が激減しています。画面越しでは感じ取れない森の暗さ、自然光の暖かさ、そんな体験ができる機会が減っている現実に少し悲観的になってしまいます。そんな中、今回のワークショップはこども達にとっても貴重な体験だったのではないでしょうか。

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囲炉裏に集い髙橋氏の話を静かに聞くこども達
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囲炉裏に吸い寄せられ自然と体が前のめりに

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