照明探偵団通信

照明探偵団通信 Vol.44

Update:

発行日:2011年4月19日
・照明探偵団倶楽部活動1/第40回街歩き「日本橋七福神めぐり」(2011/01/08)
・照明探偵団倶楽部活動2/第35回研究会サロン(2011/02/02)

第40回街歩き

日本橋七福神めぐり

 
2011.01.08 井本有衣子 + 東悟子+ 中山レイチェル+ 藤本佳音
久しぶりに徒歩での街歩きでした。年初めの真冬の街歩きではありましたが、2 7団員が集まって、日本橋と人形町に存在する名の七福神をめぐり、東京下町と神社の光環境を調査してきました。夕暮れから始まって2 時間程度歩き回った後はおいしい中華料理をいただき、温かいお酒飲みながら、見てきた風景を語り合いました。

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今回の街歩きの企画を担当したSQUADメンバー

■年始の集いあかり
今年の探偵団のテーマは“集い”。今回は、開催日が年始だったこともあり、福運を授かるべく日本橋へ七福神巡りに行ってきました。
日本橋七福神めぐりは七福神ながら、恵比寿神が椙森神社と宝田恵比寿神社にあるので全部巡ると八社詣でとなります。
夕暮れ前に水天宮前に集合し、松島神社、末広神社、笠間稲荷神社、椙森神社、宝田恵比寿神社、小網神社、茶ノ木神社の順に地図を片手にみんなで討論を繰り広げながら歩いて巡りました。オフィス街ということもあり、夜の移動区間の道は薄暗く道脇に立つ蛍光灯のポール灯の光が私たちを導きます。(提灯が欲しい・・・。)
イメージしていた七福神の光環境と実際ではどのようなちがいがあるのだろうか・・・。
団長を先頭に団員達は目を光らせながら調査がスタートしました。 ( 井本有衣子)

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夜の人形町に路上照明、飲食店の看板照明と月あかりで街を歩きました。

■ 3 人の団員が選ぶ印象的な神社
①藤本団員が選んだ:小網神社と椙森神社
七福神神社の最寄駅、東京メトロ水天宮駅から地上に出るとすぐに、車路両側にずらりと並んだ提灯が目を引きます。ここが街歩きの出発地点となりました。どの神社も住宅街の中にあり、家なみと神社が街に溶け合い日本らしい風景を作り出しているように思います。

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水天宮の前につられた提灯が神社の存在を暗い街の中に意識させます。

中でも、印象に深く残ったのは小網神社と椙森神社でした。小綱神社は住宅と隣り合わせの小さな神社ですが、温かみのある電球色の光で全体が包まれ、とても心地よい空間となっていました。照明の位置も足元など低い位置に設置されており、暗いなかに光がぽつぽつとあり落ち着きと安らぎを与えてくれます。椙森神社は神社にしては珍しく建物が真っ白に統一されていて、それを強調するかのように白っぽい光で照らされていました。さらに大き目の提灯があり、小綱神社と対照的に威厳や堂々とした趣を感じさせられます。今回の街歩きではそれぞれの神社の違った光の味わいを楽しむことができました。(藤本佳音)

②中山団員が選んだ:宝田恵比寿陣社

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八つの神社は水天宮以外大通りから入った狭い道に面し、住宅、オフィスビル、飲食店と隣り合って立っていました。土曜日のためオフィスビルの光も消え、たまにある飲食店の光、路上照明、月あかりで歩くルートは程よい暗さでした。歩いている合間に町の光だまり場となったのは飲食店でした。暗い道から明るくて温かみのある窓をのぞきたくなりました。
六つ目の神社である宝田恵比寿陣社の最初に印象は「あれっ!?」という感じでした。一人ぼっちにされたように周りの建物は駐車場にされ、神社らしい鳥居とファサードは普通の四角いビルの延長にも見えました。敷地も少なく、参拝は道から始まって、鳴らす鈴の綱は車道にぎりぎりすられています。周りの街灯照明は明るいですが、神社の光としては正面に大きな二つの白い提灯だけです。鈴と鳥居の影を通して、奥にある神社の赤い扉の縁直面が照らさせて、シンプルできれいだと思いました。暗さの中から、白い提灯と赤い扉は印象に残ります。(中山レイチェル)

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③東団員が選んだ:茶ノ木神社と小網神社
なかなか訪れることのない“夜”の東京下町の神社を
『日本橋七福神』という切り口でめぐりました。2キロ四方のなかに点在する8 つの神社、夜のしつらえもさまざまでした。わずかなあかりを必要な場所に当て、人を中に招き入れている神社もあれば、LED を埋設させ、参道にし、その色を短時間に変化させるという、奇異なことをやってしまっている神社もありました。
中でも小網神社は、奥行数メートルの中に、鳥居、手水鉢、行灯、社、神楽殿が立っているのですが、必要なところに心地よい照明があたっており、また、通りを歩いている人にも、安心する暖かい明かりをなげかけていました。全体的には、ほとんどの神社は夜の参拝を日頃は行っていないので、ただある照明を灯しているだけという感じがしました。今後夜の参拝を行うのであれば、心地よい、神社としてのあかりを考える必要があると感じました。 (東悟子)

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■七福神のめぐり地図と経路 ①水天宮→ ②松島神社→ ③末広神社→ ④笠間稲荷神社→ ⑤椙森神社→ ⑥宝田恵比寿神社→ ⑦小網神社→ ⑧茶ノ木神社

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大通りに出ると水天宮の提灯は印象的ですが、ヒューマンスケール感がなくなり、照明も含めて、交通安全が優先的です。

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第35回研究会サロン@照明探偵団事務局

 
内容:第40回街歩き、光の持ち寄り話し合い
2011.02.02 東悟子

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5年ぶりに照明探偵団事務局に団員を招き、軽食をつまみながら、自由に意見交換や議論をし、光について語り続ける面出団長と団員達。

軽食をとりながらの和やかな雰囲気の中、1月8日に行われた街歩き「日本橋七福神巡り」のレビューや感想を述べあいました。次回の街歩きの企画を、参加者全員で意見を出し合い、決定させることができ、団員の方の街歩きに対する期待も垣間見られました。

■少人数で丸テーブルを囲むサロン
以前行われていたカジュアルに照明について語る場をもう一度という声にお応えして、事務局の丸テーブルにて照明探偵団サロンを復活させました。今年第1回目は1 月に行った街歩きのレビューと団員ひとりひとりが話したいこと、発表したいこと、疑問に感じていることをに語り合いました。

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中:SQUAD第1班が日本橋の七福神街歩きについて当日の写真を紹介しながら、感想を話しました。

■第40 回目の街歩き発表
まず、七福神巡りを企画、実施したSquad のメンバーの撮影した写真を見ながらのレビューでした。ルートにそって、それぞれの神社の照明に対する感想を発表、今回の街歩きは「巡る」がポイントだったので、神社と神社をつなぐ道々の様子にも着目した点、細い路地は地図が読めないくらい暗かった、神社事態は味気ない照明だったり、特に考えられた照明は少なかった等の意見が聞かれました。また、神社やお寺のライトアップの先駆者である京都などは年間を通して、夜もさまざまなイベントをおこなっており、観光客を取り込むビジネスがうまいという意見もきかれました。この七福神巡りも、夜を念頭に入れるのであれば、神社ひとつひとつもさることながら、その途中の道も下町風勢ある照明を考えてもいいのではないかとの意見もありました。

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■街歩き企画検討
サロンの後に話し合う予定だった次回の街歩きの企画をせっかく団員が集まりましたから、内容をみんなで決めたいということになり、早速SQUAD のメンバーのプレゼンテーションがはじまりました。3 名の担当者がそれぞれ1 案づつ企画を提案しました。桜の花見のライトアップ調査、新羽田国際空港調査、各国のレストランのあかり調査、映画の中のあかりの4案が選んだ理由と共に発表され、参加者がおのおの意見をのべました。最後は多数決となり、各国のレストランのあかり調査に決定しました。
団員の方の興味がどこに向いているのかを聞くことのできる貴重な機会となり、こういう場があれば、いつもは聞くことのできないさまざまな意見が聞くことができるのだと改めてかんじました。

■サロンの感想
さまざまなバックグラウンドを持つ方々が集まり、日頃の照明に対する思いや疑問を自由に話せて、違う視点から同じトピックについて話す面白さを感じました。

■SQUAD第一班
第40回の街歩きはSQUAD第1班の3人によって、企画、当日の案内、そしてサロンでの調査発表までご協力をいただきました。大変お疲れ様でした!!照明探偵団事務局が団員のご紹介と感想を聞きました。

飯田団員:SQUADとしての企画第一弾となる『日本橋七福神』を中心に置いた街歩き。この企画を作って実行していくうちに、SQUADは色々なタイプの照明好きが集まったワークショップする集団だと実感できました。背景の違う3人が集まり、3人の『あたりまえ』の意見がぶつかり合わさったことで、実際の街歩きのリアルに合致した新年にふさわしい街歩きが企画・実行されたと思います。SQUADとしての企画第二弾で、街歩きの新しいシステムが導入されることが、待ち遠しいです。私一人では思いつけない『あたりまえ』が詰まっている、照明のリアルを街歩きで実感して行きたいと思います。

鈴木団員: 今回感じた事は、全体を通して、こういう場所こそ谷崎潤一郎著「陰翳礼讃」で描かれているように暗闇に浮かび上がることが「日本の美」と言う考えの情緒的な灯りの艶が欲しいと感じた。日本古来の灯りは侘び寂びの思想の中、情緒的で質素ながらも豊かな表情が有った。木洩れ灯、あけぼの、あかつき、等欧米と比べても単に明るい、暗いだけでは無いさまざまな表現が有る豊かな国、日本。それが、何時の頃からか合理的な光灯と言うものに変化していた。近頃、日本橋地域は古来の良さをアピールしている地域なのでこう云うものこそ、そんな明かりでこの街を演出して頂きたいと思う。
これらを通して、雑多な時代だからこそ日本的なたおやかな、灯りの重要性を再認識し、和の奥深さを感じた街歩きだった。 

井本団員: 私の神仏に対するイメージの中にはゆらゆらと揺らめく灯明は絶対だったのですが、今回の七福神巡りを通してイメージが覆されることになりました。灯火というものはなく、照明器具のみの光環境がそこにはありました。灯火とは闇を照らす智慧の光とされ、重要な供養のひとつとされた光であったわけですが、時代に沿って照明器具に淘汰されてしまったのでしょうか。日本らしさや文化などを感じられる灯り、ここでいうと灯火のような想いのこもった灯りがあってもいいのではないか?と全員一致で気づかされた一日となりました。

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