照明探偵団通信

照明探偵団通信 Vol.58

Update:

発行日:2013年7月29日
・照明探偵団倶楽部活動1/第46回街歩き:東京ディズニーランド(2013/5/24)
・照明探偵団倶楽部活動2/第40回研究会サロン(2013/6/04)

第46 回街歩き:東京ディズニーランド

ディズニーの光の5 原則を探そう
2013.05.24 東 悟子

今年開園30 周年を迎える夢と魔法の国、東京ディズニーランド。訪れた人のリピート率90%を超える驚異の人気テーマパーク。その夜の装いに潜む光の原則とは何か。照明探偵団員26 名で、その魔法の秘密を探ってきました。

東京ディズニーランドは主に、トゥモローランド・ファンタジーランド・トゥーンタウン・クリッターカントリー・アドベンチャーランド・ウエスタンランド・ワールドバザールの7 つのエリアで構成されており、それぞれのテーマに沿った作りとなっています。

東京ディズニーランドは10 数年ぶりという方や、初めてという方を交えた26 名を4 つの班に分け、各班2つのエリアを重点的に歩き、光の原則を探りました。

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園内マップ: 主に7 つのエリアで構成されている

1 班: トゥモローランド・ファンタジーランド

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トゥモローランド: 白い近未来を彷彿とさせる照明

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ファンタジーランド: カラフルだが、眩しさは感じられない

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夜のパレード: 最新鋭の技術を駆使したフロート

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トゥーンタウン: 建物の高さが子どもとミッキーサイズ

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トゥーンタウン: 注目されたいところに光を集めている

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手前は高め、奥は低めの色温度で、入り口を強調

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ディズニーランドステーション

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電球色で縁取られた蒸気船

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シンデレラ城も30周年の装い

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特別ライトアップされているシンデレラ城の前で

トゥモローランドは、「未知と冒険が待っている宇宙と未来の世界」がテーマ。ファンタジーランドは、「ディズニー映画の主人公と出会える夢と童話の世界」がテーマとなっています。

まずトゥモローランドを歩いていると、全く暗くは感じなかったのですが、照度を測ると電灯の下でも20lx 前後、電灯から離れたところでは2 ~ 5lx と、街中よりはるかに低いことが分かり、普段歩いている場所がいかに明るいかを実感しました。

また、近未来的なイメージを演出するため、全体的に照明の色を白で統一していましたが、ベンチの下などの低い位置やレストランなどの食べる場所の照明は、色温度を低くしてあり、落ち着ける雰囲気を醸し出していました。

ファンタジーランドは、個々のアトラクションがどれも個性的で光も個性的。全体的に照明や家具が小さく、子供のスケールに合わせていました。照明の色温度も低く統一。わざと光源を見せることで、昔の灯の印象を与えており、昔話のなかに入ったような懐かしい印象を受けました。ここでも照度は抑えられていて、通路にも照明が当たっていませんでしたが、暗い印象はありませんでした。最も明るいと感じたキャッスルカルーセルの下でも38lx でした。ただ単に明るさを保った均質な空間を作るのではなく、むしろ光と暗闇のメリハリや光の質によって、心地よい光環境が作られるのだという事を改めて実感しました。

ディズニーの夜には特別な魅力があると思います。昼間にはにぎやかでカラフルな乗り物やお店達が全て視界に入ってきますが、夜になるにつれ、それらがシルエットとして浮かびあがり、色だけでなく音や匂いなど様々なものが淘汰されていくような、昼間とは全く別の表情を持っていると思いました。だからこそ、エレクトリカルパレードのカラフルなライティングは一際美しく見えるのだと感じました。

今回訪れた中で、特に30 周年記念のシンデレラ城前のオーナメントはとても印象的でした。ディズニーの光の中でも色は重要な要素なのかな、と感じながら40 周年になっても50 周年になってもずっと訪れたい場所だな、と改めて思いました。
(小薗早紀)

2班: トゥーンタウン

ロジャーラビットなどいたずら好きのキャラクターが登場したり、小さな子供達がはしゃぎまわれるエリア。子供向けの空間で黄・赤・茶の色使いのものが多く見られました。

様々なところに子供への配慮が感じられ、角ばったものがあまりなかったり、いろいろなものが子供達目線で作られていたりします。高さが高いアトラクションや視界を遮るものがなく、広く見渡せる広場のような作りになっているのも特徴のひとつ。

照明はというと、目に入るような高さの低いものは、色温度が低く、グレアも感じませんでした。全体的な照度は暗めでしただが、店舗・アトラクションがハイライトされるように照明があたっており、その箇所に惹きつけられる効果がありました。低い位置の照明器具のデザインがかわいく、全面発光のものが多いので、器具自体が光るアイコンになっており、楽しい雰囲気を増幅していました。

別のエリアとの境目を、入口の天井照明でも見ることができます。トゥーンタウン側の暖かい灯りと、トゥモローランド側の近未来的な青い光になっており、それぞれのセクションの違いが照明でも見て取れるようになっていました。

(坂口真一)

3班: アドベンチャーランド・クリッターカントリー

ワールドバザールは「ヴィクトリア様式の建物が軒を連ねる古き良きアメリカの街並み」という設定ですが、東京独特の工夫として雨の多い風土を考慮してオールウェザーカバーというガラス張りの屋根を持つアーケードストリートになっています。また、アドベンチャーランドは「熱帯植物が生い茂る冒険とロマンの世界」という設定であり、ニューオリンズの街並みを模したニューオリンズ・スクエアを含んだエリアです。

照度面では、パーク内の照明は全体的に暗く、ワールドバザールはショッピングモールともいえる場所なのですが、路面照度としては100Lx にも満たず、アドベンチャーランドに至っては10Lx 程度からそれ以下で、1Lx に満たない場所がほとんどです。一方で建物の壁面や窓明かり、ランタンのような光による演出が随所に見らます。闇の暗さを活かし、明るい方への視線誘導も考慮されていると思われます。昼の色彩に溢れるにぎやかな雰囲気とは対照的に、夜は静かに落ち着いた雰囲気と、また一方で何かが出てきそうな雰囲気を醸し出していました。闇の奥には野生の動物、さらには妖精や魔物でも潜んでいるかのようでした。

照明効果を考慮してパーク全体の照明に目を向けると、光の配置・色・量がエリアにより差別化されているように感じられました。特に色(色温度) については顕著に感じられ、目安としてアドベンチャーランド・クリッターカントリー・ウエスタンランドは赤・黒、ワールドバザール・トゥーンタウンは電球色、ファンタジーランドは白色、トゥモローランドは青白といった傾向がありました。
( 鈴木 達也)

4 班: ウエスタンランド・クリッターカントリー

このエリアのテーマは、「フロンティアスピリットが息づく19世紀開拓時代の西部アメリカ」と「アメリカ河のほとりにある赤土の山と、ふもとに広がる小動物たちの郷(さと)」です。

私たちの街歩きは、ビッグサンダー・マウンテンからスタート。幸い50 分待ちで乗車でき、その後ラッキーナゲット・カフェでフライドチキンセットをゲット。2lxもないベンチでの食事をとりました。エレクトリカルパレード、蒸気船マークトウェイン号とまわり、シンデレラ城前で集合写真を撮影。フート&ハラ―・ハイドアウトを見て、スプラッシュダウン・フォト店の前の森の広場まで行き、帰路につきました。

私たちが発見したディズニーの光の5 原則は、①本物を再現するために、光源はより自然光に近いこと。光源は基本的に白熱電球で、炎の揺らぎを見せるために調光されている器具もありました。

②グレアレス、不要な光を漏らさないこと。低ワットで
全般拡散型の器具(=低輝度) が採用されており、ウエスタンランドでは19 世紀の鉱山で使われたオイルランプ型、一方、クリッターカントリーでは小動物の住み家や巣をイメージさせる矩形の器具やガラスビン製で、外観が各テーマに合致していました。看板や案内板を照らす器具には、グレアや光漏れを防ぐ遮光板が取付けられていました。

③最低照度であること。アンビエントライトとして必要な最低限の照度レベルであり、こんなに暗くてゲストから苦情が出ないかと心配してしまうほど器具数が絞り込まれていました。

④識別しやすい光、誘導する光であること。ショップやレストランは中から漏れる光を生かして周囲よりも目立たせ、また、船着場の突端やポップコーンワゴンでは特別な赤い光を使用。

⑤ゲストを楽しませ、喜ばせる光であること。この原則がディズニーの最大の魅力ですが、パレード以外にも楽しい仕掛けを数多く発見しました。元気の出る光探しに、また行こうと思います。
(古川智也)

感想

金曜日の夜だったからなのか、平日にも関わらず大勢の人が午後6:00 からの入場に並んでいました。カップルや学生達の中に紛れて、ひときわ怪しい照明探偵団一行。一眼カメラや照度計を片手に、あちこちで立ち止まりながら、撮影したり、照度を図ったり、メモを取ったり。非日常な空間で、日常的なことをやっている異様さは際立っていました。

それぞれの班ごとにパーク内を回遊しながら、独自の光の5 原則を探っていたはずでしたが、乗り物にのって満面の笑顔で手を振っている姿や、エレクトリカルパレードに興奮している姿も目にしました。

パーク全体は暗いのですが、その夜の暗さがとても心地よく、いつまでものんびりしたい気分でいさせてくれます。アトラクションやショップから漏れてくる魅力的な光に引き寄せられ、あちこち立ち寄りたくなる演出だと感じました。

7 つのエリア毎に色使い、照明の高さ、色温度の違い、意匠に特徴があり、それぞれに楽しませ、飽きさせない工夫を感じました。

新しいものをどんどん取り入れるのと同時に、きちんとメンテナンスも欠かさない姿勢が、また訪れたいと思わせる、『人々を誘う要因』になっている気がしました。

童心にかえり、ディズニーの魔法を満喫した街歩きでした。
(東悟子)


第40 回研究会サロン@照明探偵団事務局

2013.06.04 斉藤有希子、東悟子

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東京ディズニーランドでの街歩きでの、調査結果を、各班ごとに発表。それぞれに見つけてきた光の5 原則を説明しました。

ディズニーランド光の5 原則

東京ディズニーランドでの街歩きを終え、各班で導き出した光の5 原則が発表されました。どの班も5 原則ではおさまり切らず、7 原則、10 原則となっていました。共通した意見を以下にまとめてみました。
・エリアごとに照明の色・量・位置を変えて、そのエリアの特徴を出す。
・全体的には照らさず、ハイライトしたいところだけを照らす。
・照度を抑えて、グレアのない照明。
・“リアル感” をだす。
上の4 つの内容が、どの班からも繰り返し出た意見でした。
今回のサロンは各班ごとにまとめてはあったのですが、個々の意見が活発にあがり、5 つの原則としてはまとまらず、結果的にはディズニーは綿密にゲストの為に心を配っていることがわかりました。サロンで発表された内容の一部を掲載しておりますので、当日参加できなかった方も、どのようなことが話されたか、垣間見てみてください。
(東悟子)

サロンの感想

今回のサロンは、椅子が足りなくなるくらい多くの方が参加されました。

街歩きに参加した4 チームで導き出した東京ディズニーランド光の5 原則の発表がありました。参加者は、年に何回も行かれて豆知識を交えてお話される方、何十年ぶりに参加されたというオジサマ等様々でしたが、みなさん光について気づくことが多く、発表に際しても事前によく話し合われて、きちんとまとめられていました。

華やかなイメージのある東京ディズニーランドですが、すべてのチームから「暗い」という感想が聞かれました。どうやらその暗さは適材適所の、心地のよい暗さので、光も夢の国を作り出す重要な役割をしているという意見を共有しました。私は街歩きには参加しませんでしたが、まるで参加したような気になれる、とても充実感のあるサロンでした。
(斉藤有希子)

1班発表資料
1班の発表資料
TDL2班
2班の発表資料

街歩き46サロン3班_ページ_7
3 班の発表資料
TDL4班発表用_完成版 (1)_ページ_22
4班の発表資料

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