世界都市調査 in Dubai/Istanbul
渡辺元樹 + 林虎
Istanbul / イスタンブール
イスタンブールは 2020 年のオリンピック開催地を東京と争い、都市のインフラ整備が急速に進んみ、また開発に付きまとう環境汚染や文化財保護の問題が叫ばれている。古くからの街並みを守ろうとしながらも経済の力に押し上げられる現在のイスタンブールを、演出の光と活きる光にわけ調査した。
街を染めるナトリウム灯
イスタンブールの居住区の多くの建物は5階 から 10 階建程度のアパートだ。高さにすると20 メートルから 30 メートル程のアパートメントが傾斜に沿って建ち、小さな路地と坂道の多い街を形成している。夜になり昼間賑わっていたレストランや売店のほとんどは 8 時前には店を閉める。人々は自宅で夜を過ごすことが多いようだ。商店の蛍光灯や白色ランプが消え、街はナトリウム灯のオレンジ色の光で石造りの街並みを染め上げている。メインストリートの照度は明るいところでも 50lx 程度。色温度が低いため照度値よりも大分暗く感じた。
バザール
グランドバザールは 1400 年代から続く屋根つきのバザール。イスタンブールはアジアとヨーロッパの中継地点となり人々の往来による轍によって形成された都市であり、古くから物資や宝石貴金属、香辛料などが流通していた。ここではそれぞれの店舗の光と天井に小さく開いた窓からの光だけで公共道路の明るさをつくっている。路上には左右の小さな窓から入ってきた光がリズミカルに光を落とし、足元に車線が描かれているようだ。またその反射光で天井や壁を明るくし、心地よい空間を創っていた。
窓からの漏れ光
イスタンブールの特徴的な光に窓からの漏れ光が挙げられる。モスクやバザールで印象的だったのは、昼下がりモスクの張り詰めた空間に差し込む窓からの漏れ光だったり、さりげなく足元に落ちてくる光だった。アヤソフィアでは窓の格子の影が内部の装飾に投影され、ブルーモスクは鮮やかな色彩のステンドグラスを通した光が天井や壁面の細かい幾何学模様をうっすら浮かび上がらせていた。
イスタンブールの光
イスタンブールはここ数年での経済成長が著しくインフラの整備も積極的に行われてきた。しかし照明環境には現時点で大きな変化はないように感じた。LED でメディアスクリーンを作るわけでもなく、夜遅くまで商業施設が街を明るく照らしているわけでもない。夜に過度な明るさを求めようとせず、慎ましい生活をしているように感じた。夜も更けた暗がりの中、モスクだけが投光照明に照らされ、ずっと変わらず街のシンボルとして佇む姿が印象的だった。
シェイク・ザイート・グランドモスク正面入り口
モスクの中央広場
水面投影
モスクの中庭を囲んでいる廊下
モスクの室内
新市街のカラタタワーで差撮影した旧市街と新市街
Yeniceriler道路スケッチ