探偵ノート

第37号 – 照明デザイナーのファッション

Update:

テーマ『照明デザイナーのファッション』

Interviewer: 岩永 光樹

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協賛PT
調査

岩永:面出さんはファッションに対するこだわりはありますか?ぼくは面出さんがよく着ているしぼりのきいたジャケットがいつも素敵だなと思っています。

面出:あの種のジャケットはとても使い勝手が良いので数種類を使い分けている。イッセイミヤケのデザイン。くしゃくしゃに出来るので、出張に持っていくのに便利だね。僕は年にだいたい二回ほど銀座松屋に買い物に行って服を新調する。今着ているプリントものの服はフィレンツェのショーウインドで一目惚れして買ったものだけどね。そんな感じで街中のショーウインドで一目で心を奪われたプリントもののシャツは他にもある。岩永は着るものに対してこだわりがありそうだね?

岩永:じつは「このブランドが好きだ!」みたいな強いこだわりはありません。ただ簡単なルールがあって、その日の予定や天気で服を選んでいます。たとえば大事なプレゼンがある日はシャツ+ジャケット+スラックス、社内での簡単な打ち合わせがある日はカットソー+ジャケットもしくは襟付きシャツ、現場にいく日は夏でも長袖、照明実験がある日は全身黒ずくめ、などです。

面出:それはとてもあたりまえの感覚だね。そういう話なら僕もその日の調子で服の色を選択することはあるな。出張帰りなどでとても疲れているけれど、もうひと踏ん張り必要な時は、赤や黄色のセーターなんか着て元気出そうとする。じっくり仕事する時は、やはり白黒グレーの無彩色になるね。あなたは色に対してこだわりはある?デザイナーはモノクロームを好む傾向があるけど。

岩永:言われてみれば白や黒のアイテムが多いですね。色ものではネイビーや水色のアイテムが多いです。赤や黄色はとても目を惹きますし、魅力的ですが、照明のデザインを考えている時はモノクロームや落ち着いた色の服を着ていたい気持ちがあります。

面出:色にしてもスタイルにしてもデザイナーのファッションに大切なことは「機能的であること」と「個性をあらわすこと」だと思うよ。

岩永:なるほど、機能と個性ですか。個性をあらわすといえば、面出さんはアロハシャツもとてもお似合いですよね。僕が武蔵野美術大学の学生時代、アロハシャツの面出さんが照明を語る姿が強く印象に残っています。

面出:ああ、めちゃくちゃ派手なアロハシャツね。あれはまえにゼミ生からプレゼントされたから義理で着ていたんだろうね。

岩永:そういえば以前、クライアントへの大事なプレゼンに面出さんがアロハシャツを着ていったことがありましたよね。あの時は大変驚きましたが、とても重苦しい会議室が面出さんのアロハシャツの話題で軽くなったというか、「LPAに追い風が吹いた」と感じました。あれも一種のファッションの力だと思うのですが、あれは意図的になされたことですか?

面出:あれは私のうっかりミスだった。建築家の谷口吉生さんとクライアントに対する真面目なプレゼにアロハシャツだものね。でも、開き直ってプレゼの冒頭に「こんな服着てしまってごめんなさい」と誤ってしまったら、これが受けた。谷口さんの助けも合って運よくうまくいったね。本来、プレゼンテーションの場というのは理にかなった姿であるべきなんだよ。職能人として奇をてらわない、というか。人は外見で判断できないってよく言うけど、なにもしゃべらなければ人はどうしても外見で判断されてしまうものだよね。着ている服以外にもその人の所作や姿勢、笑顔のつくり方なんかでどんな人なのかを想像されてしまう。だから岩永の言っていたルールはとてもあたりまえの感覚なのだけど、周囲への気遣いという意味では重要なことなのかも知れない。

岩永:そう言ってもらえて安心しました。照明デザイナーではありませんが、原研哉さんはいつも黒い服を着ていますよね。

面出:原さんは自分が着る服の選び方が消防士と同じだ、と言っていたね。人間は一日に何かを選ぶ回数が限られているから服で悩みたくない、という理由だった。

岩永:なるほど。そういえばスティーブジョブスも同じ理由でおなじ服を何着も持っていましたね。そう考えると私たちの照明デザイナーも日々選択に迫られる職業なのでファッションのユニフォーム化というのも照明デザイナーのファッションのひとつのスタイルなのかもしれませんね。

面出:そういう観点では、ある設計事務所ではスタッフのみんなが黒いTシャツをきていたりするんだけど、団結力というか一体感みたいなものを感じたな。LPAではパーティなのでドレスコードを定めることはあるけど、基本的に身だしなみにルールをつくったことはないけどね。ファッションは自由であるべきだし、個性的でいいと思うから。

岩永:さまざまなスタイルがあって面白いですね。とくに共通点としてどのスタイルも「流行にのっていない」というのが面白いです。周囲への気遣いを念頭に、より良いパフォーマンスができそうな身だしなみを探求して精進したいと思います。

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