発行日:2012年9月4日
・照明探偵団倶楽部活動1/キャンドルナイト@OMOTESANDO – Eco Avenue(2012/6/23)
・照明探偵団倶楽部活動2/第44回街歩き:台場の闇から街のあかりを見る(2012/7/24)
・照明探偵団倶楽部活動3/第38回研究会サロン(2012/8/20)
キャンドルナイト@ OMOTESANDO-Eco Avenue 2012
2012.06.23 池田俊一+ 東悟子
今年10 年目を迎えた百万人のキャンドルナイト。
“でんきを消してスローな夜を”をスローガンに、今年も参加者が一丸となり、表参道をキャンドルの暖かいあかりで演出しました。
キャンドルナイトスタートのカウントダウンを行った日本看護協会大階段。
キャンドルナイト@ OMOTESANDOEco
10 周年を祈念して限定50 個を作成、販売したオリジナルチャリティーキャンドル。
オリジナル行灯展示ブース。来場者に好きな行灯を投票してもらいました。
オリエンタルバザーでのインスタレーション「言の葉」。
表参道ヒルズ水家でのインスタレーション「祭りのあかり」。
おにぎり型行灯。
長野県飯田市の竹を使用し、インスタレーションを作成。
手作りチャリティーキャンドル。
チャリティーキャンドル販売ブース
大きな行灯を大事そうに抱え、キャンドルパレードに参加しているこども達。
行灯つくりワークショップ。
ゆらめく光をコンセプトにこども達の手作りの木の行灯が表参道まちかど庭園に出現した小さな街を暖かく照らします。
Avenue 2012 夏至
原宿表参道エリアのキャンドルナイトは2003 年の冬至から始まり、今回で10 年目を迎えました。
19 時から22 時までの3 時間、来街者の皆様にキャンドルのあかりでゆったりとした時間を過ごして頂くため今年度のキャンドルナイト@OMOTESANDO実行委員会では5 つの企画によってイベントを行い、東京近郊の美大生を中心とした総勢345 名のスタッフで企画、運営を行いました。
イベントの5本柱
表参道沿いの各拠点にて、次の5 つを柱としたイベントを開催しました。
①チャリティー活動
②キャンドル インスタレーション
③子供たちの行灯作成ワークショップと
キャンドルウォーク
④オリジナル行灯
⑤竹宵まつり
①チャリティー活動
東日本大震災被災者の義援金募集を目的として、手作りしたキャンドルのチャリティー販売と募金活動を行い、イベントの3 時間で合計205,278 円の募金が集まりました。その募金は復興義援金として日本赤十字社を通じて全額寄付しました。( 同日開催、南青山ル・アンジェ教会で集まった募金額を含む)
②キャンドル インスタレーション
表参道沿いの以下の8 箇所にてキャンドルを用いたインスタレーションを行いました。
展示場所: 日本看護協会 大階段・ピロティ, ILPINOLO CAFFE, 表参道街角庭園, キャットストリート, オリエンタルバザー正面外観, 表参道ヒルズ貫通通路と水景。
③子供オリジナル行灯作成ワークショップ&キャンドルウォーク
今年の子供たちのキャンドルウォークのテーマは『和』。日本の伝統的な素材の和紙と竹を使い、自由な発想で装飾してもらいました。神宮前小学校の子供たち約60 名が、和紙を透過してくる和やかな灯りの行灯を持って、表参道を照らしました。
参加児童数: 63 名
④オリジナル行灯
参加者が趣向を凝らして制作したひとつひとつ異なるデザインの個性豊かな行灯が表参道に集まりました。64 種類の行灯を総勢200 名以上のボランティアスタッフが持ち歩き「candle night @チャリティーキャンドル販売ブース OMOTESANDO-Eco Avenue」を盛り上げました。
2012 年度は初の試みとなるオリジナル行灯コンペを開催し、監修賞3 作品、一般投票賞1 作品、学校別優秀賞21 作品が表彰されました。当日は来街者にもゆっくり作品を見てもらおうと特設展示ブースを設けました。
⑤竹宵まつり
6/23( 土) に渋谷川遊歩道で竹宵まつり「原宿竹宵の夕べ」が開催されました。渋谷区の友好都市である長野県飯田市の伝統行事「竹宵」と隠田商店会+ キャンドルナイトがコラボレーションして飯田市の竹を使用したインスタレーションを行い、来街者や地元の人々に楽しんでもらいました。
広報
web ではホームページの他にTwitter を活用しながらイベント内容をタイムリーに掲載しました。広報ツールを駅やお店などに設置し、広報活動を行いました。イベントを紹介する雑誌やWEB でも広く告知していただきました。また地元のラジオ番組にも出演させていただき、地元の方々にも参加を呼びかけました。
(フライヤー6000 部、ポスター120 部)
■ 新聞掲載
・『シブヤ経済新聞』2012 年6 月19 日
・『朝日新聞 朝刊』2012 年6 月8 日
■ WEB/ 携帯サイト
・『Let’s Enjoy TOKYO』2012 年6 月8 日
・『表参道Online』2012 年6 月10 日
・『シブヤ経済新聞.com』2012 年6 月19 日
・『ラジオNIKKEI WEB』2012 年6 月24 日
・『New York Times WEB』2012 年6 月22 日
・『Wall Street Journal WEB』2012 年6 月25 日
■雑誌
・『東京トレンドランキング』2012 年5 月20 日
・『POCO21 No122』2012 年7 月2 日
■ラジオ出演
・『Shibuya FM』2012 年6 月21 日
2012 年キャンドルナイトをおえて
照明探偵団は、2003 年に原宿キャットストリートでキャンドルナイトを企画をしたことから始まり、2005年からは表参道に場所を移して開催運営に携わってきました。そして今年で開催10 周年を迎えました。
今年は美術大学を中心とした学生スタッフ、照明探偵団に所属する社会人と当日のボランティアスタッフを含めて総勢345 名で約半年間の準備期間を経てイベントに臨みました。
今回のキャンドルナイト@表参道で特筆すべきことは、積極的なチャリティー活動の展開と地域に密着したイベントになったことだと思います。昨年3 月11日に起きた東日本大震災の被災者支援活動において、街頭での募金の呼びかけのほか、学生スタッフが一生懸命に手作したキャンドルのチャリティー販売を行い、イベント当日の19 時から22 時の3 時間で約600 個が売れ、合計205,278 円の義援金を集めました。
また従来のキャンドルインスタレーションに加えて新たな試みとして優秀なオリジナル行灯を集めた展示会と審査会、地域と密着して共同開催で行った竹宵まつりなど、地域や来街者の皆さんにも楽しんでもらえるような企画にも挑戦しました。知恵を振り絞った綺麗な作品があちこちで灯る光景に、行き交う人たちからも歓声が上がっていました。当日朝まで降り続いていた雨も奇跡的にやみ、無事開催できたことをこの場を借りてお礼申し上げます。
ご支援ご協力いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
( 池田俊一)
見てもらうだけのキャンドルナイトではなく、訪れた人がキャンドルで演出した空間を楽しみ、そして家でもやってみたくなる、そんなキャンドルナイトになるよう気を配りました。
「でんきを消して、スローな夜を」一人でも多くの人が、一日でも多く実践してもらえたらいいなと思いながらやりました。
今では日本中のあらゆる場所で、さまざまなキャンドルナイトが見られるようになり、2003 年に始まったイベントが、形を変え場所を変え、各土地に定着してきた気がします。一年に一度の特別なイベントではなく、生活の一部になるよう、今後も浸透していってほしい、そしてこの表参道でのキャンドルナイトがその遠心力となれたらうれしいです。ご参加いただいた皆様ありがとうございました。
(東悟子)
子供たちと集合写真。
200人余りが手に様々な行灯を持ち、 沿道を彩りました。
看護協会大階段。 欅をモチーフにしたインスタレーション。
キャットストリートでのインスタレーション。 万華鏡をテーマに。
日本赤十字からの募金受領証。
第44 回街歩き:台場の闇から街のあかりを見る
2012.07.24 東悟子
東京を代表するウォーターフロントお台場の街歩きに行ってきました。エンターテーメントのイメージが強いお台場ですが、今回の着目点は“台場跡地の闇から見る東京”。さてどんな景色がみえたのでしょうか。
レインボーブリッジからお台場方面を望む。
概要
台場には、今年開業されたダイバーシティ東京やヴィーナスフォート等多くの複合商業施設があります。その中で台場跡地には全く照明がないことに着目し、周りとのあかるさの比較や実際にどの程度暗いのか調査しようと考えました。また普段の調査とは違い、あえて照明に着目するのでなく、闇からあかりを考える視点も面白いのではと考て、この企画を実施しました。
(坂入美彩子)
台場の歴史
懐中電灯がないと真っ暗で、足元がみえず、危ない。
台場公園からみた東京タワー側。
丸で囲まれたところが台場跡地。
お台場とは、江戸幕府がペリー率いる4隻の黒船が来航したことをきっかけに、海防策の一環として急遽作った東京湾品川沖 の砲台のこと。今でもその跡地が公園として残っています。この場所は夜になると照明も点灯せず、黒く沈んでその存在が全く分からなくなっています。
レインボーブリッジから望む東京
午後6:00。夏のお台場はまだまだ明るく、ブルーモーメントの時間にもまだ間があるころ、集まった25 名で海浜公園駅を出発しました。カラフルな提灯を下げた屋形船を左手に眺め、一路レインボーブリッジへ。歩道が高速道路とゆりかもめをはさんで設置させれており、あまり入ることのない所からお台場、品川、新橋、東京方面を眺めることができました。
お台場側がさまざまな色を使いにぎやかな照明を施している半面、品川、新橋方面は、東京タワー以外にはランドマークになる照明も、水辺に対しての照明もなく、地味な印象でした。航空障害灯の多さが、橋から見るとはっきり感じられ、気になるという意見が多く聞かれました。水に対しての照明を施しているわけではないのですが、川の上から360度のパノラマで、様々な表情の東京を望めるロケーションはなかなかないので、夜景を見る場所としてはレインボーブリッジはお勧めだと思いました。
闇の中からみる東京
レインボーブリッジを後にして、一行は目的地のお台場跡地へ向かいました。台場跡地は、そこに続くまでの歩道にはポール灯が経っていますが、一歩中に踏み入れると全くの闇で、足元もおぼつかない感じでした。私たちはその闇の中レジャーシートを広げ、腰を下ろしビール片手に30 分ばかり過ごしたのですが、いったん腰を下ろしてしまうと、目も慣れてきて、周りがよく見えるようになります。レジャーシート上の照度は計測不能なほど暗かったのですが、お台場DECKS 側の鉛直面照度は0.5Lx もあり、その明かりのせいか、顔の表情もよく見えて、語らうには心地よいあかりの環境でした。水面、風、月明かり、少し離れた街灯りとそこからの音、そしておいしいビール。それぞれのエレメントがうまく融合し、心地よい時間を過ごすことができました。夜、外で心地よく過ごすためには何が鍵となるかを、街から少し離れた場所で客観的にみることで、よくわかった気がします。
(東悟子)
感想
台場跡地をとおくからみると海に闇が浮かびあがっているようでした。実際行ってみると特別、閉塞感があるわけでも、違和感があるわけでもなく本当に自然のままということを感じました。
また、あの場を知ってしまうと如何にショップのあかりが多いか、自然の夜や闇を感じることができないのかを感じることができました。
企画についてですが、照度等の数値でなく特に各々が感じて考える企画だったので、新たに打ち出すようで面白かったです。一方、企画意図が伝わったか心配な点も残りました。
(坂入美彩子)
今回の街歩きは、面出さんおすすめの闇スポットを体感しに行こう!というのが趣旨だったのですが、本当に気持ちのいい闇で、滞在時間が30 分しかなかったのが本当に残念でした。街からの間接的なあかりだけで他に何もない所が、こんなに心地いいなんてと、参加者全員の共通した感想でした。また違う企画でも使ってみたいと思いました。
(東悟子)
第38 回研究会サロン@照明探偵団事務局
2012.08.20 東悟子
総勢21 名が渋谷の事務局2 階に集まり、それぞれのお台場街歩きでの感想を発表しました。終始和やかなムードで意見交換がされました。
街歩きの感想発表
おいしい料理を囲み、和やかなムードでサロンがスタート。街歩きの参加者、一人一人からさまざまな意見が発表されました。
レインボーブリッジからみる新橋、品川方面はランドマーク的なものがあまりなく、さみしい感じがした、水に対しての照明をしていないので、ニューヨークののブルックリン川から見るような魅力的な景観にはなっていない。ウォーターフロントという特性を活かし、お台場らしい街づくり、照明環境を整えてあげないと、他の街と何の変わり映えもしないものとなり、せっかくの潜在的な可能性が失われてしまい、もったいないという意見。あまり夜に行くような場所ではないので、とくに必要とされていない。足元を照らす照明が台場跡地まで続く道にあってもいいが、跡地に入ったら、この真っ黒な闇が残っている方がいいというような意見があがりました。
また台場公園に照明がない理由をみんなで考えてみました。明るくなると、お台場からみた東レインボーブリッジや東京タワー、高層ビルの灯りが映えなくなってしまうからではないかというのが主流の意見でした。本当の理由はこの企画をたててくれたSQUAD の松本さんの感想の中で見つけてください。
(東悟子)
街歩きを終えた感想
SQUAD の新年会の時に「お台場に闇がある」という話題で盛り上がり、団長から「何でないのだと思う?」「それを考えるのが照明探偵団なんだよ」と言われたので、実際に行ってみて「なぜないのか?」「つけるとすればどんな物が良いのか?」を考えてみようと思い、今回のテーマ『お台場の闇から街の灯りを見よう』という街歩きを企画しました。
当日、暗すぎるのではないかと心配しましたが、水面にDECKS のあかりや屋形船のあかりが映りこんでいた為か、目が慣れると照度が低いわりに外でお酒を呑むには充分な明るさでした。
照明のない理由について、自分は、台場公園が明るいとレインボーブリッジのライトアップや東京タワーが目立たないからあえて暗くしているのだと思っていました。しかし、管理している東京都に問い合わせてみたところ、元々フジテレビができる前はあの辺りは真っ暗で、フジテレビ完成後に周りに照明がつきましたが、台場公園は史跡である為照明をつける手続きが大変であるため、照明をつけなていない、という理由が判明しました。
以上のような事から、商業施設の多いお台場に全く照明のない台場公園がポツンと取り残された状況ができたようです。真っ暗なので人が通行するには危険があり、貴重な遺跡だからこそ照明をつけて欲しいと思う一方、暗くて人が少ないので小さい頃の秘密基地を思い出すところもあり、個人的には今のままのこってほしいとも思いました。
(松本大輔)
今回お台場の企画をしてくださった坂口真一さん、坂入美彩子さん、松本大輔さん、下見から街歩きの運営、サロンの準備まで、本当にありがとうございました。
次回の街歩きは11 月開催予定です。皆様のご参加をお待ちいたしております。
(東悟子)