面出の探偵ノート

第84号 – 光のラビリンス/Milano Salone 2021

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【光の迷宮/Labyrinth of Light】と名付けた神秘的な光のインスタレーションを、今年のミラノサローネで発表した。www.nitto.com/jp/ja/products/raycrea/  NITTO電工からの依頼で、彼らが開…

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第83号 – 緑色のオフィス

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パンデミックのお陰で去年の2月より15か月も他国の地を踏むことがない。それまでは毎月2度も3度も自由な海外出張を繰り返していたことを思い出すと、何か投獄されたような気持ちにさえなってくる。私は精神的に図太いので、大したストレスを自覚したこと…

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第82号 – 映画に学ぶ照明デザイン②「東京物語」

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小津安二郎の描く温かい家族の風景には、決まって2つの自然光が登場する。輝かしく明るい太陽光と、温かい家族の象徴としての白熱ランプの光だ。  しっかりと計算され尽くした昼間の風景。必ず建具が開け広げてあり、たっぷりとした外の光が室内に飛び込ん…

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第81号 –映画に学ぶ照明デザイン①「ディーバ」

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25年ほど前にHousing雑誌に連載していた原稿が見つかった。 雑誌名や発行年月日などがはっきりしないが、「From Screen/このインテリア、真似したい!」というタイトルがついたシリーズで、私が映画の一場面に登場する光の情景を切り取…

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第80号 – 新事務所に独りぼっち

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このコラムを書き始めたのは今から22年ほど前らしい。1998年8月9日に探偵ノート予告編を000号として出発している。以降全く投稿しないような時期もあり今回が080号になる。 今までの79回をつまみ食いして読み返してみると、この20年ばかり…

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第79号 – ラ・ボケリア市場にて

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この文章は2017年6月3日に書かれたもので、原稿を整理していたら出てきたので、掲載いたしました。 春の日差しを受けるバルセロナのランブラス通り。 久しぶりにポケットに僅かな現金とクレジットカード、そしてiPhoneだけを持ち身軽な姿でブラ…

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第78号 – 薄暮とオイルランプ

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満開の桜が散ると、次に目の前の川辺には混色の緑がムッムッと生えてきた。春が終わり新緑の香りが風に乗ってくる。久しぶりに仕事も出張もない快晴の日曜日。独りで隅田川の水面を眺めていると「面出さん探偵ノートを忘れてしまったのですか?」という天の声…

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第77号 – MIT Chapelに澱む光

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このチャペルに来たのはこれで3回目だ。 ボストンにはその倍ほどの数を来ているが、時間が取れる時には必ずMITキャンパスにやってくる。季節によって漂う空気が違うことも気に入っている。緑あふれるキャンパスにぽつんと置かれたこの小さな礼拝堂の光環…

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第076号 – 少しばかり暗すぎはしないか…

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久しぶりに夫婦一緒の小旅行を楽しんだ。 Bangkokに仕事でいく機会があったので、その打ち合わせのついでに奥様を誘ってタイ北部の街チェンマイを訪れた。チェンマイには私たちが照明デザインを担当したリゾートホテル、Chedi Chaingma…

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第075号 – ロンドンのパブ 3軒

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今、私はテムズ川沿いテートモダンの脇にある小粋なパブに落ち着いている。Founders Arms / Riverside Pub and Dining という名前の店らしい。 多分1年ぶりのロンドン出張になるのだろう。しかも独りでぶらぶらと…

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第074号 – カンダラマの夜明け

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今、カンダラマの森と湖が深い闇から解放されて、朝を迎えようとしている。私は髭をそり歯ブラシを口に入れて、めまぐるしく変化する気配の一瞬を見落とすまいとベランダの椅子に腰掛ける。カメラでこの気配が切り取れない。変化する雲の厚さや形に日の出の角…

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第073号 – 通天閣界隈・二度づけ禁止の光

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「二度づけ禁止」の張り紙を見たことがありますか? いまどきは徐々に少なくなってきているが、大阪の下町に見られる立ち食い串揚げ屋で見る張り紙だ。ポッピーとかバクダンとか言うような安酒をあおりながら目の前で揚げられる熱々の串揚げを、ホーローの器…

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第072号 – LEDは蝋燭の親友です

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私は最近、色々な場面で蝋燭のあかりを使う。 リゾートホテルや飲食空間などの照明デザインに大切な光源の一つとして起用するのだが、光量が不足したり安全性を問われたりして苦境にたつような時にLEDの競演によって助けられることがある。だからLEDは…

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第071号 – 舘山寺温泉の花火

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浜松に有名な舘山寺温泉がある。縁があって遠鉄観光が経営する高級旅館「九重」で花火大会を見る機会を得た。7月の最終日曜日のことだ。九重は目の前浜名湖を挟んで大草山が一望できる景勝の地に建つ名旅館で、この目の前で5000発の花火が打ち上げられる…

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第070号 – 明治神宮への公式参拝

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私はどこの神様にも手をあわせることにしている。神社仏閣はもちろん、国外のキリスト教会やイスラム寺院にも頻繁に出入りし、その場の人々の祈り方をまねて祈る。それが私の作法。どこの土地や人々にも楽しい時ばかりでなく苦しい時や悲しい時が頻繁にやって…

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第069号 – 多摩美の図書館に漂う光

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この図書館が完成したと聞いてから早く行ってみたいものだと思っていたが、探偵団街歩きの一環として、照明探偵団一行15名ほどで夕暮れの多摩美に立ち入った。伊東豊雄さんの建築設計、藤江和子さんの家具設計によることは良く知られているが、この図書館も…

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第068号 – 道端で大切な友人に会う

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2年に一度フランクフルトで開催される「Light &Building」という照明関係の世界最大の見本市には毎回参加している。今年は4回目になるそうだがLPAの仲間5人と共に3日間フランクフルトに滞在した。 8年前から始まった見本市だ…

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第067号 – AAスクールの学生たちと

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この探偵ノートが頻繁に更新されないことに腹を立てている人がずいぶんいるらしい。探偵団の事務局をはじめ私の身近な仲間は「面出さん早くノートを更新してくださいよ」などと優しく促してくれるが、「あのコラム結構楽しみにしているんですよ」という声の奥…

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第066号 – インゴ

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さて、私がインゴ・マウラーと初めて会ったのは20年前だったか25年前だったか定かでないが、インゴから私に会いたい…という連絡があったことから始まったと記憶している。当時盛んだったSDという雑誌に「詩情とハイテック」という題のエッセイを私が書…

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第065号 – 岩室温泉の街おこし

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武蔵美の空間演出デザイン学科で光のデザインを教えるようになって早いものでもう7年目になる。もちろん照明デザインだけを教えているわけではないが、3年次から私のゼミを選択する学生はすべからく「光」というフィルターを通して社会を見たり課題をこなし…