探偵ノート

vol.04 リトル・アジアの安らぎ ~東京新大久保・百人町屋台村~

Update:

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見通しの利く中央のテーブルに腰を下ろしたのがいけなかった。あっと言う間に5人の店員が押し寄せ、競って注文を取り出した。好味園(香港)、白鳳軒(台湾)、サラン屋(THAI)、鴻伝楼(上海)、椰加達(INDONESIA)などなど・・・。メニューは一冊の手作りファイルにまとまっているが、どうもそれぞれの店が独立採算となっている様子だ。何とも韓国とインドの料理が見あたらないのが残念だが、何を注文しても味はまずまず、特にがっかりさせられるものは出てこない。

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さて、この空間のあかりは全く洗練されていない。天井に威張って付いている40W直管蛍光灯器具。よく見るとピンク色、白色、そして青白い蛍光ランプまで、無造作に混じり合っている。それに加えて白熱ランプが入った和風提灯と、看板を照らす安物の眩しいスポットライト。何処と言って考えられた形跡などないが、それでいながら既にエスニック気分にさせられている。いつの間にかリトルアジアのまっただ中という感じで、統一感やルールと言った西洋的なものとは無縁の世界。カオスの光の魔力とでも言うべきか。

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ここでは誰が店員で誰が客なのかもよく判らない。働いている人と遊んでいる人の境がない。どの人が日本人でどの人がタイ人なのかさえ。つまり、何から何まで意識のブレンダーにかけられ、それが混迷のアジア・エスニック世界の出来事を象徴している。意味不明の会話を背に旨い料理に舌鼓を打っていると、私がアジアの民であることに徐々に安堵してくる。今まで学んだ西洋的な照明デザインは、どこまで有用なのだろうか。


面 出 探偵A 探偵B 探偵C
あかりの味/雰囲気や気配のよさ 5 5 3 4
あかりの量/適光適所・明るさ感 4 5 3 5
あかりの値段/照明設備のコストパフォーマンス 5 3 4 4
あかりの個性/照明デザインの新しさ 1 2 1 2
あかりのサービス/保守や光のオペレーション 2 3 2 3
合 計 17 21 13 18
総合評価 ★★★
(17.25点)

1項目5点が最高、合計25点満点。★は5つが満点


あかりのミシュランは、雑誌「室内」に連載されました。
面出 薫+照明探偵団/文  淺川 敏/写真

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