発行日: 2023年 07 月 11 日
・照明探偵団倶楽部活動1/国内都市照明調査 神戸(2023.01.18-01.20)
・第71 回街歩き:八重洲&大津(2023.03.24 & 04.21)
・第69 回サロン@照明探偵団オフィス 八重洲&大津街歩きレビュー(2023.04.28)
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国内都市照明調査 神戸
2023.01.18-01.20 本多由実 + 中村美寿々
「1000 万ドルの夜景」としての六甲山からの夜景と、港町としての水辺の夜景が有名な神戸。2012 年には夜間景観ガイドラインが策定され、街なかの照明整備の取り組みも積極的に行われている。今なおアップデートを続ける街を歩きまわり、神戸らしい夜景の構成要素を探った。
■「映え」の夜景
ポートタワー、海洋博物館、オリエンタルホテルにホテルオークラ、観覧車に遊覧船、そして「BE KOBE」のモニュメント…。神戸の街をイメージするとき、多くの人がこのメリケンパークの景色を思い浮かべるのではないだろうか。神戸の顔となっているメリケンパークでは、夜になっても多くの人が訪れ、記念写真を撮っていた。公園内の象徴的なモニュメントは多くがライトアップされ、カラーライティングが多用されていたが、原色ではない中間色を主体とした色味と配色が用いられていたため、どぎつい印象を受けることなくカラフルな光を楽しむことができて好ましかった。それらのカラーライティングを引き立たせるように、ポール灯や手すり照明やボラード照明の地明かりは電球色で統一され、落ち着いた明るさとなっている。演出照明と機能的な照明のいずれも、過剰なグレアを発するものは少なく、ライトアップされた対象物に集中することができた。夜景を見ること、そしてその夜景の写真を撮ること、が訪れる目的になり得ている場所だと感じた。息をするようにinstagram やTikTok に大量の写真や動画がアップされる時代、「映え」は誰もが日常的に意識する当たり前の概念になった。メリケンパークの夜景は、そんな私たちの「すてきな夜景フォトを撮りたい!」という高揚感に完璧に応えてくれる。BE KOBE の前など、フォトジェニックな写真が撮れるスポットでは、足元に、「ここから撮るのがおすすめ」のマークが何か所か貼られていた。そこに立ってカメラを向けると、前景から背景に至るライトアップ、その先の海面に映る光まで、ザ神戸!な夜景が画角に納まる。訪れた人々が互いに写真を撮りあったり自撮りしたりと、楽しそうに過ごしているのが印象的だった。
フォトジェニックな景観を見せるため、撮影ポイントとなる視点場の整備も意識的に行われているようだ。神戸市の観光マップでは、すぐ対岸の「第一突堤」や神戸大橋を渡った「ポートアイランド北公園」などのおすすめ撮影ポイントがラインナップされていた。ただ、行ってみると、メリケンパークやハーバーランドのにぎわいに比べ、昼も夜もほとんど人が居ない。いずれも、水面に光が映り込む海辺の夜景をパノラマで楽しめる穴場スポットだったが、まだ売り出し中という印象である。遠くの視点場から海沿いの夜景を見ると、背景となる山並みにシンボルのロゴが光っていることに気づく。これらのロゴは、まちなかを歩いているときにはメインストリート突き当りのアイストップとなる配置だった。神戸の夜景はすみずみまで、「見られること」が計算されている。( 中村美寿々)
■神戸イメージをつくる街なかの光
水辺の景色の他に、神戸のイメージとしてよくあがるのは「異国情緒があり洗練されたお洒落な港町」である。照明要素としては電球色、街灯の意匠、は手堅いが、都会的な神戸には何かさりげない工夫があるに違いない。三宮~元町の夜を歩き回り調査した。
■デザイン都市の光(フラワーロード)
新神戸駅から三宮駅を抜け海まで延びる主要道路、フラワーロード。大きな都市の駅前の例に漏れず、三宮駅周辺の街路は白く煌々と明るいが、市役所前から南側は街路全体が公園の一部の様な落ち着いた雰囲気になる。「夜間景観実施計画」の策定直後、2015 年にいち早く整備されたエリアである。車道灯は幹線道路には珍しく電球色、控えめな照度設定で一瞬暗く感じられるが、柔らかく発光するポール灯や色とりどりの草花への照明が賑わいとなり視線を誘導する。色温度への配慮、グレアレス車道灯、鉛直面の輝度演出、RGB 制御など、夜間景観整備の基本を丁寧に反映して、上品で洗練された夜景を目指す意識が伝わってきた。2005 年の調査時には、「ただ暗い闇の塊」「昼間は気持ちが良い場所だからこそ、夜の寂しさが残念」と評されていた東遊園地は、冬の寒い夜でも散歩中に休憩をとっている市民の姿がみられ、「昼も夜も気持ちの良い場所」に生まれ変わっていた。
■異国情緒の光(旧居留地~南京町)
居留地、洋風文化、中華街、歴史の趣がある建築物…港町としての特徴は神戸も横浜も共通で、歴史建築物のライトアップ、中華風や洋風の意匠の街灯やランタン装飾など、街の特徴を引き立てる照明の整備は早々に手掛けられている。大正~昭和のレトロな近代建築が街並みを構成している旧居留地では、神戸市立博物館や神戸大丸の街区にはガス燈が設置されているが、意外にも他の街路は球形グローブの街灯が主である。クリアガラスのシェードで全方向からランプが見えるので、グレアにならないか気になったが、重厚な街並みのなかで煌めきのある光がアクセントとなり、また窓面積が少ない壁面に対して柔らかく光をあてるのに効果的である。南京町はランタンと赤い旗で春節の高揚感にあふれ、中華街のイメージ通り。ランタンが灯ることにより、個々の商店だけでなく街並み全体の夜景に視線が惹きつけられた。西洋風、中華風、とそれぞれ個性が強い街の境目は煩雑になりがちだが、北欧デザインの街灯を通りの真ん中に配することで、お洒落な港町の雰囲気にまとめられていた。
■街の景色を継承する光
「神戸らしい」街なかを調査した後に北上して駅周辺に向かうと、色温度も照度もぐっと高くなり、色とりどりな広告や看板に視覚的な情報量が増えてゆく。繁華街らしい煩雑な様子から、他の地区ではいかに夜間景観ガイドラインが効力を持っていたか気づかされた。ガイドライン重点地区では、電球色、明暗のコントラスト弱め、輝度控えめで過剰な照明はまず排除されていた。駅前繁華街のなかで、三宮駅の周辺は再開発計画が進行中である。鉄道の三宮駅周辺は、都会の交通網という様相のみで、今まではメリケンパークに出てやっと「神戸だ」と感じていた。
しかし、阪神淡路大震災の前は駅が神戸の玄関として街のイメージをつくっていたのである。震災前の神戸のシンボル「神戸阪急ビル」の復興デザインが新たな神戸三宮阪急ビルで、レトロなアーチ窓意匠のファサードや石畳街路に、抑えめの色温度や照度が心地よい街路を作り上げている。
このように、神戸の町では、旧居留地の建物や神戸大丸など昔からあるような趣のある建物や街灯にも新たに再建されたものが混ざっている。最先端の照明技術や流行を取り入れるのは容易なはずだが、昔ながらの本物のガス燈が灯されている場所も多く目にした。都市部の歩道灯としてはささやかな明るさだが、ゆらめく小さな炎は温かみがあり、同時に夜の妖しさも想起させる。最先端のデザインへのアップデートばかりでは無く、街の特徴・記憶を踏襲することを重要視していること、また街並みをつくる要素として、街灯や光の要素も認識されていることがわかり、嬉しく思った。( 本多由実)
■俯瞰するパノラマ
六甲山に連なる摩耶山、その一番高い位置にある掬星台展望台からは、神戸の市街地を視界の端に、大阪湾を囲む紀伊半島までがパノラマで見通せる。展望台に向かう「まやビューライン」は、日中よりも日が暮れた後のほうが満員となっていて、「展望台から臨む夜景」が、神戸の夜のアクティビティとして確立されているという人気を思わせた。掬星台から眺めると神戸の街明かりは少し遠く、ライトアップされている建物や通りを細かく判別することはできない。そのぶん、まぶしすぎる明かりや不均一な明かりを感じてしまうこともなく、大阪まで続く都会の明かりが非常に広範囲で見通せる、その光の量にただ圧倒される。札幌市の藻岩山からの夜景と、街明かりへの距離感が似ていると感じた。札幌では統一感のある街路灯の明かりが主体となっていたために整然とした煌めきが感じられたのに対し、神戸ではビルの窓明かりと沿岸部の工場地帯の照明によるそれぞれ異なる色味や強さの光で、街の営みがより伝わる感覚があった。また、神戸と同様に海の近くに斜面がせりたった地形を持つ長崎では、平地だけでなく斜面地にも住宅や生活道路が広がっていることで、斜面に明かりがある「立体的な夜景」となっているが、神戸では山並みにはほとんど光の要素がない。その代わり、平野部を見下ろすために適した視点場から、周囲の斜面に遮られずにパノラマが広がる「面的に散らばった夜景」を体感できる。まちなかに対してはガイドラインに沿ったきめこまやかな整備が行われているのに対し、大景観である海沿いの遠景と展望台からの俯瞰に対しては、何か追加の照明を整備するというより、地理的なポテンシャルをそのまま活用して視点場の整備に注力しているという印象だった。非常に効率的な整備方針のもと、街の顔となる美しい夜景が実現されていることを感じた。( 中村美寿々)
第71 回街歩き:八重洲&大津
2023.03.24 & 04.21
田村聡+ 小谷弥+ 東悟子+ 小泉彰也+ 刑部もあな+ 稲川陽菜
2023 年初の探偵団活動は八重洲での街歩き。3 月にミッドタウン八重洲が開業し、今後も大規模な開発が予定されている八重洲エリアを3 班に分かれて歩きました。開発前のエリアを記録するのと同時に開発が進んでいるエリアの新しい光環境を見て回りました。ビルの取り壊しが決まっている本多財団の鈴木さんにも街歩きに参加いただき、このエリアの歴史やホンダビルの解説も頂きました。
■ 1 班:八重洲通り北側
1 班は、主に八重洲通りの北側を中心に回りました。再開発工事中で仮囲いに囲まれて入れない箇所も多かったですが、昔ながらの飲み屋街や再開発前の古い建物を見ることができました。その古い建物の中には犯罪者もいましたが、飲み屋街の方は55lx,4,500K 程度の程よい明るさでノスタルジックな印象を演出しており、満場一致で英雄となりました。この街並み、雰囲気はぜひ再開発後の八重洲にも残していってほしいという意見が大多数でした。
この日一番の英雄はさくら通りの桜並木。街歩きの日はちょうど満開の下を歩くことができました。ここでは、仮設照明を後から取り付けて、街灯を消灯しており、桜をきれいにライトアップをしようとしている努力の跡は見えましたが、もっといい照らし方があったのではないかと議論になりました。道路標識等の周囲環境が思わぬ悪さをしている所もあり、自然物をライトアップすることの難しさを感じました。 また、通りごとに街路灯を統一しており良いという意見も出ましたが、今後街のシンボルとなっていくであろう新しい街路灯は、直下を照らすスポットライトがグレアになっていたり、ランタンの色味が悪かったりと犯罪者よりの意見が多く少し残念でした。 今回の八重洲街歩きでは、新しくなる前の街をまわって記録することができました。特に当日は本田財団の鈴木さんにエリアの解説をしていただきながら街をまわることができ、非常に貴重な経験を得ることができました。本当にありがとうございました。ぜひ再開発後の生まれ変わった八重洲の街を歩いて比較してみたいと思います。
最後の懇親会も大勢で集まって開催でき、桜に負けず話にも花を咲かせることができ楽しかったですし、心配された天気も街歩きの時間は調査をできる程度には何とか持ってくれて、非常に充実した街歩きでした。(田村聡)
■ 2 班:八重洲ー京橋
2 班は八重洲から京橋までのエリアを中心に街歩きを行いました。八重洲ブックセンターから京橋エドグランの途中にある居酒屋の照明が、電球の種類や色温度が無秩序でただ明るければ良いという日本の典型例。賑わっていたお店だったのに残念だという評価で「犯罪者」に。 京橋エドグランは、全体的に低めの色温度で設計されている中、メインエントランスには寒色で光が強いエスカレーターが。「空間を台無しにしている。」「エスカレーターを主張してどうするのか。」「暖色でパワーを抑えた照明でも十分に空間として際立つのではないか」という散々な言われようの「犯罪者」でした。 八重洲ミッドタウンでは、壁面を照らしている照明が凹凸のある壁材に反射して滝が流れて照明に無頓着な日本人いるように見える英雄を発見しました。外に噴水があったので「水が流れている」という演出テーマの一貫として表現しているのではないかいう意見が出ました。
八重洲ミッドタウンの向かいにある建設現場では、普通単色のテープライトが使われる中、色が変わるものが使用されていました。 工事柵にSDGs と書かれておりSDGs を強調するために採用されたのではという意見が。ディスプレーモニターでただ伝えるのではなく 何気ない照明で意味を持たせているという点で英雄に選ばれました。
本多財団の鈴木さんの説明で、建物の高さが30m で規制がかかっていることや明るい八重洲の中でぽつんと暗く、照明が駐車場看板灯しかない場所が疲弊した社会人が自然と集まる休憩スペース( マナー的にいいかは置いといて)
になっていること「街の現状を知り、理解し、解釈する」という楽しい街歩きになりました。(小谷 弥)
■ 3 班:八重洲地下街ヤエチカ
3 班は新しく完成したミッドタウン八重洲と八重洲地下街ヤエチカを中心に街歩きを行いました。金曜日の夜で桜も満開近かったこともあり、夜の八重洲は人でにぎわっており、活気のある東京の玄関口が戻ってきた感がしました。3 班が見つけた最大の犯罪者は八重洲ミッドタウンの5 階空中庭園から東京駅を望んだ時に目に飛び込んでくるグランルーフを照らす投光器の照明。グランルーフはきれいに照らされており八重洲口のアイコンになっていますが、ミッドタウンから見下げると折角の高所からの景色も台無しに。グランルーフ建設当初は対面に建つ高層ビルからの視点場を想定していなかった、ということもないように思いますが、とても居心地よく景色もいい空間なのに勿体ない感じがしました。
ミッドタウン横のYanmar ビルアトリウムの植物育成用の照明が2 番目の犯罪者に。屋内の植物を育成するのにこの紫の照明は不可欠なのかもしれませんが、緑が伸びて器具が見えなくなるまでは、人がいない時間帯に点灯するなどの工夫があってもいいのではないかとの意見がでました。
ヤエチカには犯罪者の名残りを発見。天井を見上げると、所狭しと並ぶコンパクト蛍光灯が入っていたとみられる穴が。現在はその1/4程度が点灯していました。それでも1200 ルクスあり明るすぎるほどの照度が取れていました。全部点灯したら、どれほどの明るさかと思うと想像を絶します。
英雄として挙げられたのは、八重洲ミッドダウンの5F の空中庭園の照明。周りの高層ビルからのあかりがあるので、空間全体の照明は落とされており、穏やかな足元の照明が心地のよい空中庭園を作り出していました。地下街は、ちぐはぐなダウンライトが煌々とついている共用部は犯罪者との声が多かったですが、縦に伸びる通路はライン上の間接照明のみで構成されていることで低天井にありがちな圧迫感や直接照明のグレアを感じることなく快適な通路となっていたので英雄となりました。
途中から大雨になり天候はよくなかったのですが、満開の桜と賑やかな八重洲を堪能出来ました。新しいビルがどんどん完成し、、洗練された夜景が出来てくるのは喜ばしい反面、赤ちょうちんが灯るふらっと立ち寄りたくなるあかりもいつまでも残っていってほしい、ほとんどの参加者がそのように思ったのではないでしょうか。消えゆく風景にちょっと寂しさも残る街歩きとなりました。(東悟子)
■関西班:大津
日本最大の湖、琵琶湖とそれを囲む近江の町や自然が織りなす湖国特有の夜景を求め、今回は大津周辺を街歩きしました。ルートはびわ湖ホールから大津港までを、対岸を眺めながら湖岸沿いに歩いていきます。
■水平面上の照明
やはり日本一の湖というだけあり、ここまで広々とした夜景を水平線上に眺めることが出来るのは珍しいのではないでしょうか。海とは違い、光が近くもあり遠くもある不思議な感覚です。前回街歩きの神戸のような派手さはありませんが、湖が感動の代わりに落ち着きを与えてくれるような夜景でした。
■海岸沿いの首振り照明
湖岸沿いの道は照明の設置間隔が広いためとても暗く、寂しく感じました。照明器具は球体のメカニックでどこか船を連想するようなフォルム、首を振って角度を変えられる等のデザイン面に関しては好評でした。しかし私たちの意見としては、街頭っぽくなく、明るさだけが必要とされる野球場のナイターのような暴力性を感じました。湖岸沿いの落ち着いた道には街頭らしいデザインと暖かい色を用いたノスタルジーなシークエンスを演出してもいいのではないでしょうか。
また照明の角度に関しては、道路側にしか向いておらずびわ湖ホール側が暗かったことが大人から好評でしたが、360 度照らしてびわ湖ホール側にも滞在できる空間があれば素敵だと私たちは思います。
■琵琶湖花噴水
特に話題に上がったのはびわこ花噴水です。緑とオレンジ色の毒々しい色でライトアップされており、今回の犯罪者として挙げられた中でも際立っていました。
・学生からの改善案稲川:角度によっては綺麗に見える箇所も。単色で照らせばどこから見ても綺麗なのでは。
刑部:噴水の高さと色がバラバラで統一感がない。色をそろえるべき
小泉:原色が強すぎる。白色光でプロジェクションのようにエフェクトをかけるべき
■琵琶湖ホール
次にメインのびわ湖ホールです。動線空間の明暗がはっきりしていて、ハロゲンランプならではの温かい色が琵琶湖のリラックスした雰囲気とマッチしているように感じます。しかしハロゲンランプは寿命が短いため所々切れている点が残念です。意図的ではないかもしれないですが、昼には見えない壁のタイルによる微妙の凸凹が照明によって際立っており、夜ならではの表情を演出していました。首振り照明の街路灯大津の街歩きは学生中心の班になりました 街歩きルート琵琶湖華噴水の様子水平面の彼方に見える対岸の街明かり
■まとめ
お節介な話かもしれないですが、予算が足りていないためか湖岸沿いは全体的に道が暗く、照明が不足していたように感じます。どの分野にも言えることですが、このボトルネックを解消しない限りはデザインが活躍する場所がありません。専門外と割り切らず、ソフトへの積極的な取り組みがこれからのデザイナーは求められるのではないでしょうか。
( 小泉彰也 刑部もあな 稲川陽菜)
第69 回サロン@照明探偵団オフィス
八重洲&大津街歩きレビュー 2023.04.28 東悟子
約3 年ぶりとなる照明探偵団のオフライン(実際は関西とつなぐハイブリッド)の探偵団サロンを開催しました。探偵団のオフィスが渋谷から佃に移転して初のサロン。新オフィスに来るのを切望していた団員のはしゃぎっぷりは想像以上で、オンラインで参加された団員の声が聞こえず、私も何度か声を張り上げたくらい、盛り上がりました。サロンの内容は八重洲と大津での街歩きのレビューと次回街歩きのテーマの検討でした。
八重洲街歩きのレビューでは、着々と進む開発の横でいまだ存在する昭和感たっぷりのノスタルジックな赤提灯の光景に、このまま残っていってほしいという意見があがったり、八重洲エリアのさまざまな街路灯をまとめた発表があったり、ちょうど満開の桜への手づくり感あふれるライトアップを批評したり、竣工したての八重洲ミッドタウンや改装が進む八重洲地下街の光環境を論じたりと、充実した内容でした。
大津のレビューでは琵琶湖沿いやその周辺の光環境を入団したての立命館大学の学生団員が報告してくれました。湖面に映る琵琶湖の華噴水のカラー照明が一番の犯罪者になったようで、折角の演出照明なのに残念に感じました。レビューの中で新規加入の学生団員と学生以外の団員の照明に対しての感じ方の違いがいくつかあげられ、固定概念に囚われがちな考えを改めさせられました。
久々のオフラインでのサロンは、オンラインより意見交換が活発だと感じました。オフラインだと一人一人が意見をいう間は、みんな黙って聞いていますが、オフラインだと、隣同士で議論が始まり、あちこちで違うことを話し合っている状態になります。サロンは堅苦しくなく、色々な議論が交わされるのが楽しいので、本来のサロンが戻ってきたように思いました。しかしオンラインで参加されている方は、何を議論しているのか分からず、おいて行かれている感を感じられると思うので、それを感じさせない進行の工夫も必要に思いました。
街歩きの検討会では、「探偵団の街歩きはいつも光を見に行っているので、たまには闇を見に行くのはどうですか」という提案があり、一同そのアイディアに共感。「いい闇(暗さ)」「悪い闇(暗さ)」があるだろうということで、どのような場所があるか引き続き検討することとなりました。
次回の街歩きも再び関東と関西に分かれて、「闇を求めての街歩き」を開催する予定ですので、お楽しみに!(東悟子)