無人コンビニを探偵しようと、発祥の地と言われる半蔵門に出向く。進化した次世代店舗の姿を想像していたので、がっかりした。間口の狭い店に大型の自販機が詰め込まれているという感じで、扱い商品の種類も少ないし、第一、客へのホスピタリティを感じない。商品の受け渡しの時などは、変な機械音がして商品が投げ出されてくるだけ。店内のあかりにもみるべきものはない。
気分を取り直して絶好調、本家コンビニの光を取材することにする。しかし、ここ麹町あたりには小さなやつばかりで、どこにもあるはずの「立派な」コンビニが見あたらない。またもムッとしながら歩いていると突然、1列に13台も並んだ自販機の群に出くわした。ビカーと輝いた光壁が行き交う人を真横から煌々と照らし出している。何という圧巻。自販機1台には32Wの蛍光ランプが3~4灯入っている。家庭の6畳間2部屋分の光の量に匹敵する。やはり自販機は現代都市照明の影の実力者。道路灯を軽く越える数の自販機が生息し、日々増殖を繰り返す。日本にだけ生息し、欧米はもとより近隣アジアの都市にも根付かない。自販機は安全な都市の証、とか言われて嬉しいやら悲しいやら・・・。
やっとお目当ての規模のコンビニを見つける。何と言っても元祖セブンイレブンだ。天井一面に40W昼光色・蛍光ランプがビッシリ、剥き出して取り付いている。ざっと目測で計算すると、1平米あたり47Wの消費電力ということは、オフィス照明の平均が15W程度だから、その3倍もの電気を使っていることになる。光の量(照度)も明るいオフィスの2倍以上に相当する。「どうしてこんなに明るい必要があるの?」という当然の疑問符に対する分かりやすい答えは「暗くすると売れないから」。カア~ッと明るく白い光がコンビニの原風景。これが便利を求めた現代人の安らぎの光環境なのか。
これは私の持論だが、「昼間はこれでOK。でも夜には電球色蛍光ランプを使った温かいあかりを、三分の一の明るさで。」全国コンビニ組合がルールとして一斉に施行すれば公平で、売れなくなる店もないと思うのだが、いかがなものか。
面 出 | 探偵A | 探偵B | 探偵C | |
あかりの味/雰囲気や気配のよさ | 1 | 3 | 1 | 4 |
あかりの量/適光適所・明るさ感 | 2 | 3 | 1 | 4 |
あかりの値段/照明設備のコストパフォーマンス | 3 | 2 | 2 | 3 |
あかりの個性/照明デザインの新しさ | 1 | 1 | 1 | 1 |
あかりのサービス/保守や光のオペレーション | 1 | 1 | 1 | 2 |
合 計 | 8 | 10 | 6 | 14 |
総合評価 | ★★★ (15.75点) |
1項目5点が最高、合計25点満点。★は5つが満点
あかりのミシュランは、雑誌「室内」に連載されました。
面出 薫+照明探偵団/文 淺川 敏/写真