街歩き・サロン

第46回照明探偵団街歩き 「ディズニーの光の5原則を探そう」

2013年5月24日

今年開園30周年を迎える夢と魔法の国、東京ディズニーランド。訪れた人のリピート率90%を超える驚異の人気テーマパーク。その夜の装いに潜む光の原則とは何か。照明探偵団員26名で、その魔法の秘密を探ってきました。

今年開園30周年を迎える夢と魔法の国、東京ディズニーランド

東京ディズニーランドは主に、トゥモローランド・ファンタジーランド・トゥーンタウン・クリッターカントリー・アドベンチャーランド・ウエスタンランド・ワールドバザールの7つのエリアで構成されており、それぞれのテーマに沿った作りとなっています。 東京ディズニーランドは10数年ぶりという方や、初めてという方を交えた26名を4つの班に分け、各班2つのエリアを重点的に歩き、光の原則を探りました。

1班:トゥモローランド・ファンタジーランド

ディズニーの光の5原則を探そう
トゥモローランド: 白い近未来を彷彿とさせる照明

ディズニーの光の5原則を探そう
ファンタジーランド: カラフルだが、眩しさは感じられない

ディズニーの光の5原則を探そう
夜のパレード: 最新鋭の技術を駆使したフロート

ディズニーの光の5原則を探そう
トゥーンタウン: 建物の高さが子どもとミッキーサイズ

ディズニーの光の5原則を探そう
トゥーンタウン: 注目されたいところに光を集めている

ディズニーの光の5原則を探そう
手前は高め、奥は低めの色温度で、入り口を強調

ディズニーの光の5原則を探そう
ディズニーランドステーション

ディズニーの光の5原則を探そう
クリッターカントリー: 電球色で縁取られた蒸気船

ディズニーの光の5原則を探そう
シンデレラ城: 30周年の装い

ディズニーの光の5原則を探そう
特別ライトアップされているシンデレラ城の前で集合写真!お疲れ様です!

(by: 小薗早紀)

トゥモローランドは、「未知と冒険が待っている宇宙と未来の世界」がテーマ。ファンタジーランドは、「ディズニー映画の主人公と出会える夢と童話の世界」がテーマとなっています。 まずトゥモローランドを歩いていると、全く暗くは感じなかったのですが、照度を測ると電灯の下でも20lx前後、電灯から離れたところでは2~5lxと、街中よりはるかに低いことが分かり、普段歩いている場所がいかに明るいかを実感しました。

また、近未来的なイメージを演出するため、全体的に照明の色を白で統一していましたが、ベンチの下などの低い位置やレストランなどの食べる場所の照明は、色温度を低くしてあり、落ち着ける雰囲気を醸し出していました。

ファンタジーランドは、個々のアトラクションがどれも個性的で光も個性的。全体的に照明や家具が小さく、子供のスケールに合わせていました。照明の色温度も低く統一。わざと光源を見せることで、昔の灯の印象を与えており、昔話のなかに入ったような懐かしい印象を受けました。ここでも照度は抑えられていて、通路にも照明が当たっていませんでしたが、暗い印象はありませんでした。最も明るいと感じたキャッスルカルーセルの下でも38lxでした。ただ単に明るさを保った均質な空間を作るのではなく、むしろ光と暗闇のメリハリや光の質によって、心地よい光環境が作られるのだという事を改めて実感しました。

ディズニーの夜には特別な魅力があると思います。昼間にはにぎやかでカラフルな乗り物やお店達が全て視界に入ってきますが、夜になるにつれ、それらがシルエットとして浮かびあがり、色だけでなく音や匂いなど様々なものが淘汰されていくような、昼間とは全く別の表情を持っていると思いました。だからこそ、エレクトリカルパレードのカラフルなライティングは一際美しく見えるのだと感じました。

今回訪れた中で、特に30周年記念のシンデレラ城前のオーナメントはとても印象的でした。ディズニーの光の中でも色は重要な要素なのかな、と感じながら40周年になっても50周年になってもずっと訪れたい場所だな、と改めて思いました。 

2班:トゥーンタウン

(by: 坂口真一)

ロジャーラビットなどいたずら好きのキャラクターが登場したり、小さな子供達がはしゃぎまわれるエリア。子供向けの空間で黄・赤・茶の色使いのものが多く見られました。 様々なところに子供への配慮が感じられ、角ばったものがあまりなかったり、いろいろなものが子供達目線で作られていたりします。高さが高いアトラクションや視界を遮るものがなく、広く見渡せる広場のような作りになっているのも特徴のひとつ。

照明はというと、目に入るような高さの低いものは、色温度が低く、グレアも感じませんでした。全体的な照度は暗めでしただが、店舗・アトラクションがハイライトされるように照明があたっており、その箇所に惹きつけられる効果がありました。低い位置の照明器具のデザインがかわいく、全面発光のものが多いので、器具自体が光るアイコンになっており、楽しい雰囲気を増幅していました。

別のエリアとの境目を、入口の天井照明でも見ることができます。トゥーンタウン側の暖かい灯りと、トゥモローランド側の近未来的な青い光になっており、それぞれのセクションの違いが照明でも見て取れるようになっていました。

3班:アドベンチャーランド・クリッターカントリー

(鈴木 達也)

ワールドバザールは「ヴィクトリア様式の建物が軒を連ねる古き良きアメリカの街並み」という設定ですが、東京独特の工夫として雨の多い風土を考慮してオールウェザーカバーというガラス張りの屋根を持つアーケードストリートになっています。また、アドベンチャーランドは「熱帯植物が生い茂る冒険とロマンの世界」という設定であり、ニューオリンズの街並みを模したニューオリンズ・スクエアを含んだエリアです。

照度面では、パーク内の照明は全体的に暗く、ワールドバザールはショッピングモールともいえる場所なのですが、路面照度としては100Lxにも満たず、アドベンチャーランドに至っては10Lx程度からそれ以下で、1Lxに満たない場所がほとんどです。一方で建物の壁面や窓明かり、ランタンのような光による演出が随所に見らます。闇の暗さを活かし、明るい方への視線誘導も考慮されていると思われます。昼の色彩に溢れるにぎやかな雰囲気とは対照的に、夜は静かに落ち着いた雰囲気と、また一方で何かが出てきそうな雰囲気を醸し出していました。闇の奥には野生の動物、さらには妖精や魔物でも潜んでいるかのようでした。

照明効果を考慮してパーク全体の照明に目を向けると、光の配置・色・量がエリアにより差別化されているように感じられました。特に色(色温度)については顕著に感じられ、目安としてアドベンチャーランド・クリッターカントリー・ウエスタンランドは赤・黒、ワールドバザール・トゥーンタウンは電球色、ファンタジーランドは白色、トゥモローランドは青白といった傾向がありました。 

4班:ウエスタンランド・クリッターカントリー

(by: 古川智也)

このエリアのテーマは、「フロンティアスピリットが息づく19世紀開拓時代の西部アメリカ」と「アメリカ河のほとりにある赤土の山と、ふもとに広がる小動物たちの郷(さと)」です。 私たちの街歩きは、ビッグサンダー・マウンテンからスタート。幸い50分待ちで乗車でき、その後ラッキーナゲット・カフェでフライドチキンセットをゲット。2lxもないベンチでの食事をとりました。エレクトリカルパレード、蒸気船マークトウェイン号とまわり、シンデレラ城前で集合写真を撮影。フート&ハラ―・ハイドアウトを見て、スプラッシュダウン・フォト店の前の森の広場まで行き、帰路につきました。

私たちが発見したディズニーの光の5原則は、

①本物を再現するために、光源はより自然光に近いこと。光源は基本的に白熱電球で、炎の揺らぎを見せるために調光されている器具もありました。

②グレアレス、不要な光を漏らさないこと。低ワットで全般拡散型の器具(=低輝度)が採用されており、ウエスタンランドでは19世紀の鉱山で使われたオイルランプ型、一方、クリッターカントリーでは小動物の住み家や巣をイメージさせる矩形の器具やガラスビン製で、外観が各テーマに合致していました。看板や案内板を照らす器具には、グレアや光漏れを防ぐ遮光板が取付けられていました。

③最低照度であること。アンビエントライトとして必要な最低限の照度レベルであり、こんなに暗くてゲストから苦情が出ないかと心配してしまうほど器具数が絞り込まれていました。

④識別しやすい光、誘導する光であること。ショップやレストランは中から漏れる光を生かして周囲よりも目立たせ、また、船着場の突端やポップコーンワゴンでは特別な赤い光を使用。

⑤ゲストを楽しませ、喜ばせる光であること。この原則がディズニーの最大の魅力ですが、パレード以外にも楽しい仕掛けを数多く発見しました。元気の出る光探しに、また行こうと思います。

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