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シンガポール トーク&ボートツアー「水辺に見るシンガポールの光景観」

2009年10月30日 

シンガポール支部では昨年の Light up Ninja Jr! に引き続き、シンガポール建築家協会主催のイベント「 A r chifest09 」 の一環としてトーク&ボートツアーを開催。 “ 水辺と照明 ” をテーマにしたトークの後、 ボートに乗り込んだ 56 名の参加者が明るい繁華街から建築現場が目立つ湾岸エリア、静かな住宅地へとシンガポール川を西へ進み、水辺の光景観の移ろいとツアールートに盛り込まれた照明インスタレーションを楽しみました。

水辺には

水辺に見るシンガポールの光景観
トークにはシンガポールを代表する建築家の一人であるマンコックさんを司会に、ヘリテージガイドのダイアナさんをゲストスピーカーに迎えた。シンガポール川の歴史をダイアナさんが、水辺と照明をテーマに面出団長が事例を交えながら話した。

水辺に見るシンガポールの光景観
ボートツアー中、比較的暗い住宅エリアではいくつかの照明実験が行われた。ハンドレールにアルミホイルを巻いて光の帯を作る演出では面出団長の指示のもと、団員が器具を動かして照明効果の違いを印象づける一幕も。

水辺に見るシンガポールの光景観
ボートツアーのターニングポイントである住宅エリアの歩道橋にも照明が施された。普段は闇に溶け込んでいる小さな橋も橋脚にあてられたスポットライトとプランターボックスへのアクセントライトで違う表情をみせた。

水辺に見るシンガポールの光景観
川沿いに立ち並ぶポール灯8台にブルーフィルターの入った手作りシェードと黒いシェードをかぶせ、光の効果の違いを観察した。隣に並ぶ従来のポール灯がまぶしすぎるのがよくわかる。

人をひきつける魅力があります。川辺で語らい合ったり、散歩やジョギングを楽しむ方も多いのではないでしょうか。日本でも昨今親水に注目した水辺の再開発を見聞きします。
照明にとっても水は映り込み、ゆらぎなどによって面白い光の風景を作り出すコラボレーターといえるかもしれません。今回はこの水辺の環境にどのように照明が貢献、はたまた邪魔をしているのか水上から観察してみようという試みでした。

ボートツアールート決定

普段は繁華街を中心に規定ルートを運航している観光用ボートを貸し切って照明探偵団特別ルートを用意することに。現場調査の結果、以下の表情の異なる3つの川沿いのエリアを選びました。
ルートは①明るく賑わう繁華街(シンガポール川)→②建築現場のクレーンが林立する湾岸エリア(マリーナ湾)→③静かで暗い住宅エリア(ゲイラン川)の順で、この後ボートは①に戻ります。③の住宅エリアは緑も多く、夜は暗いながらも川沿いを散策するのに心地よい環境で市民の憩い度が高そうです。エリア内の小さな歩行者用の橋をツアー最終目的地としました。これは照明で演出しがいのある場所が見つかった、と団員たちの士気もあがり、この橋付近に4つの照明インスタレーションを計画することにしました。

プレツアートーク

ボートツアーの予習もかねたトークはシンガポール建築家協会カウンシルメンバーのマンコックさんを司会に、ヘリテージガイドとして活躍中のダイアナさんをゲストスピーカーに迎えて行われました。シンガポール川の歴史と変遷についてダイアナさんが紹介した後、面出団長が水と光の関係、水辺の照明計画について事例を交えながらトークを展開しました。

いざボートツアーへ

ドリンクなどを片手に軽く休憩をとった後、56名の参加者は期待を胸にロバートソンキー近くのボート乗り場へ移動を開始。しかしそんな皆の気持ちと裏腹にこの頃から空の雲行きがますます怪しくなってきました。
持ちこたえて!という団員の心の叫びも空しく、ボート乗り場に皆がたどり着いた瞬間雷鳴がとどろき、雨が降り始めました。

船長の「先に進めば雨が降っていないはずだ」という言葉を信じて一行は降りしきる雨の中を出発。確かに進むにつれ雨も弱まり、色とりどりにライトアップされた繁華街を抜け、白く浮かび上がるマーライオン、光の粒々を屋根にちりばめたエスプラナード、シンガポールフライヤーを通過。ダイアナさんの軽快なガイドトークと共に湾岸エリアまでツアーは快調に進みました。
しかし、空模様は移り気です。ツアーの山場、住宅エリアの照明インスタレーション現場に近づくにつれ、空はまたまた荒れ模様。見事な稲妻がぴかぴかしています。早くから現場で準備、待機している団員たちは雨の中照明効果をうまく見せることができるかどうか気が気ではありません。

最初のインスタレーションはポール灯への実験です。普段はグレアが眩しいばかりのポール灯に黒と青のフィルターを巻いて光の効果を比較しました。細工は流々、違いは一目瞭然です。
次はツアー折り返し地点の小さな橋へのインスタレーションです。橋の手前のハンドレールにキッチンホイルを巻いてスポットライトで照らし出された光の帯が遠くからも見えてきました。橋脚はスポットライトで浮かび上がり、欄干に並ぶプランターベットに仕込まれた蛍光灯の光がアクセントになっています。

付近の木々も下から照らし上げ、いつもは闇に紛れているこのエリアもツアー最終目的地を飾るのにふさわしく大変身。
ボートがUターンして帰路をしばらく進むと、前方に微かに光る物体が。それは突如水上に現れたフローティングライトの群れ、ツアー最後のサプライズです。船が通り過ぎた後、戻ってくるまでの短い時間に600本のスティックライトが水上に投げ込まれたのです。

約2時間に渡ったツアー、参加者には移ろいゆく水辺の光情景とともにご堪能いただけたことでしょう。 こうしてトーク、ボートツアー、インスタレーションと盛りだくさんのイベントは悪天候にもめげず無事終了することができました。 今回もたくさんの方々にご協力いただき、本当にありがとうございました!

(小松祐美)

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