探偵ノート

vol.03 夜空に浮かぶノアの箱船 ~東京国際フォーラム~

Update:

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外は本格的な冬の北風。凍える手を擦りながら巨大な温室に避難する。全長210m×幅30m×高さ60mというアトリウム。「こんなに金をかけた派手な公共建築が必要だったのか?」という永遠の論議は、政治屋たちに任せておこう。こんなにスケールアウトしたガラスの構造体に私は包まれたことがない。それだけで気持ちがワクワク。この空間に立つと視線が自然に旋回し、上昇し、入射する美しい光の景色の虜になる。今まで西からの陽光を受けていた竜骨が、いつの間にか真っ青な空を背景に、ハロゲンランプの光を受けてぽっかりと浮かび上がる。薄暮の時間帯、昼と夜の交差点は絶品だ。

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この東京国際フォーラムは東京都が主催する初の本格的国際コンペで、50カ国395作品の中からラファエル・ヴィニオリ氏の作品が選ばれた。バブル期最後の贅沢設計。あかりも単なる機能や効率を大きく越えて、美味しい食材ばかり集めた贅沢なものである。ガラスホールのアップライトは12V-75Wの光学スポットライト約600台、5000人ホールに自立する光壁には25Wのミニクリプトンランプが約2700灯、敷地いっぱいに縁取られた光床には間接照明の蛍光灯が使われている。ここでは建築自体が巨大な照明器具のように見える。これまでの公共施設とは夜の景色が全く違う。

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敢えて課題と言えば、さてこんなに美味しいあかりの数々を、都民が食あたりもせず味わえるかと言うこと。きちんと保守がされるかと言うこと。「贅沢だからあかりを消せ」などと役人が言い出さないように。きちんと手入れすることが肝要だ。


面 出 探偵A 探偵B 探偵C
あかりの味/雰囲気や気配のよさ 5 5 5 5
あかりの量/適光適所・明るさ感 5 5 5 5
あかりの値段/照明設備のコストパフォーマンス 4 3 4 5
あかりの個性/照明デザインの新しさ 5 4 5 5
あかりのサービス/保守や光のオペレーション 4 4 5 5
合 計 23 21 24 25
総合評価 ★★★★
(23.25点)

1項目5点が最高、合計25点満点。★は5つが満点


あかりのミシュランは、雑誌「室内」に連載されました。
面出 薫+照明探偵団/文  淺川 敏/写真

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