照明探偵団通信

照明探偵団通信 Vol.113

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発行日: 2022 年 11 月 07 日
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東京調査 横浜みなとみらい

2022.06.28 岩永光樹+ 董曉藝+ 川田ひかる

昨年春に運行を開始した日本初の都市型循環式ロープウェイ「YOKOHAMA AIR CABIN」や客船ターミナルの「横浜ハンマーヘッド」、ハワイの名門高級リゾートホテル「ザ・カハラ・ホテル&リゾート横浜」などここ数年で慌ただしく開発を進めるみなとみらいだが、観光資源といっても過言ではない”みなとみらいの夜景”はきれいに保たれているのか調査する・・・はずだったが。

「中央地区」と「新港地区」の街路灯色温度マップ
上:節電時の夜景 / 下:節電前の夜景(中央のアニベルセルと右手のコスモクロックが点灯している)

■ゾーニングと街路灯の関係性
横浜港周辺の埋め立て地だったみなとみらい
地区は大きく分類すると「中央地区」「新港地
区」「横浜駅東口地区」の3つの区画に分けら
れる。その中でもランドマークタワーやクイ
ーンズスクエアタワーなどの高層ビルが立ち
並ぶ「中央地区」と赤レンガ倉庫や横浜ハン
マーヘッドなど商業施設や文化的な施設が多
い「新港地区」の2地区にフォーカスして光
の特徴を調査した。この2つの地区の街路灯
を調査すると臨港幹線道路や首都高速道路と
並行する通りはナトリウム色の街路灯、いち
ょう通りやけやき通りなど港へ向かう通りは
色温度4000-5000K の街路灯が配置されて
いることがわかった。向う方角によって色温
度が変わる計画は一見整理された色温度計画
のように感じられるが、みなとみらい地区の
建物の色彩計画では中央地区は明るい無彩色、
新港地区は赤レンガ色に準ずる暖色系の色と
いうガイドラインがあるため(『みなとみらい
21新港地区 街並み景観ガイドライン』よ
り)街路灯の色温度計画も建物の色彩計画と
調和していた方が地区ごとの都市景観がより
一層際立つのではないかと感じた。( 董暁藝)

■節電要請を受けたみなとみらいの夜景奇しくも我々が調査した日は、電力ひっ迫による節電要請発令期間であった。開通したばかりのYOKOHAMA AIR CABIN は本来ゴ
ンドラ自体が様々な色に発光するのだが、調査日は消灯され、遠景からはどこを運行しているのかわからないような状況であった。その他にもコスモクロック(観覧車)の電飾やインターコンチネンタルホテルのフラッドライト、アニベルセルのファサードライトアップやワールドポーターズのクラウン照明など、みなとみらいの夜景を構成する代表的な光の要素はすべて消灯されていた。


コスモワールドは閑散としており、節電の影響で来客数に影響が出ているのかチケット販売スタッフに尋ねてみたが「節電による影響は出ていない」とのことだった。これは調査日が平日だったこともあるだろう。照度の観点では上記で挙げたような光の要素が消えてもなお、「中央地区」から「新港地区」を歩いて路面照度を計ってみると15-30lx 程度の路面照度がとれていたため歩行するには十分な明るさがあった。周囲をみわたすと海沿いで黄昏ている人々がいたり、赤レンガ周辺にスケボー少年が集まっていたりと周辺住民には消灯時のみなとみらい夜景を寂しがる様子はなく、華美な輝度感がなくなったみなとみらい夜景をむしろ居心地よく感じているもかもしれない。 ( 川田ひかる)

■都市としての節電夜景の作り方
代表的な夜景の要素が消灯される一方でランドマークタワー付近のグランモール公園円形広場では誰も使っていない状態にもかかわらず約500lxもの照度で必要以上に路面が照らされており、1000cd/ ㎡を越える輝度の光柱は目に突き刺さるように眩しかった。この不必要なエネルギー消費をもっと別の有効な照明要素に流用することでみなとみらい夜景に貢献できるのではないか、もっと節電すべき箇所を精査する必要があるのでは
ないか、と思った。

煌々と照らされているグランモール公園円形広場


きらびやかなイメージのみなとみらいを想定して調査に臨んだため今回の節電の影響は少し衝撃的だった。象徴的な明かりが消えたみなとみらいの夜景はバランスが損なわれており、都市夜景は
調和されていることが肝なのだと再認識した。しかし脱炭酸に歩みを進める日本では節電と都市夜景の問題はこれから長きにわたり調整していく必要がありそうだ。董団員はコスモクロックの電飾について「消えている時は視線が通って奥の夜景がみえることが面白い」と評価した。確かにコスモワールドは20:00 閉園だがコスモクロックは24:00 までみなとみらいの景観のために点灯し続けている。20:00 以降は時報的に点灯する瞬間と消灯している時間があっても良さそうだ。

まだまだ開発途中であり、地域が一体となって都市を築いていくみなとみらいだからこそ、未来
環境都市としての矜持を持ちエネルギーを最大限に有効活用した都市節電夜景を創造していくこと
に期待したい。 ( 岩永光樹)

こどもワークショップ

東京川巡り 日本橋川+神田川+隅田川
2022.10.22  瀬川佐知子+河野真実+東悟子

「あかりの日」翌日の10 月22 日、約3 年ぶりにこどもワークショップを開催。コロナでずっと開催できずにいましたが、今年は是非再開したいとの想いで企画を立ち上げました。
今回のワ―クショップは「川巡り第2 弾」として、2016 年に行った日本橋川~神田川~隅田川の川巡りを再度行いました。普段こども達はなかなか見る機会が少ない東京都心の夜景を川からの視点で見てみようというものです。当日は子ども11 名、スタッフを含む大人15 名、計25 名で川巡りを行いました。

懐中電灯の光で反射する水面
真っ暗なお茶の水分水路の中を覗く


参加者は薄暗くなった日本橋に集まり出航。日本橋川を西に進みます。日本橋川の上はほとんど首都高が通っており、広い空を見ることはできません。首都高からは高圧ナトリウムランプのオレンジ色の光が時折漏れてきていました。

また、日本橋川は古い橋から新しい橋が多くかかっているため、橋や高速道路の「裏」をたくさん見ることができます。そういった「裏」を「自分が好きな光になるにはどう照らしたらいいかやってみよう」という面出団長の声で、持ち込んだ懐中電灯で好きに照らしてみました。参加したこども達は小さい子も多く、深く考えて照
らすことは少なかったですが、真っ暗な水面に光を当てると岸にキラキラと動く水面が映つり、偶然できた光の現象を楽しんでいました。

神田川に近づくとこれまで頭上にあった首都高がなくなり、空が広くなり、あまり見えなかった川岸のビルやお店の光がよく見えるようになりました。

ワークショップ開催日が土曜日だったためオフィスビルの光はあまりありませんでしたが、水道橋駅、御茶ノ水駅付近など自分たちの上を走る電車からの光も楽しみながら進みました。途中、水道橋付近にある真っ暗なお茶の水分水路に船を近づけて、それぞれ懐中電灯で照らしたり、大きな声を出して響く声を試したりしてみました。

神田川に近づくとこれまで頭上にあった首都高がなくなり、空が広くなり、あまり見えなかった川岸のビルやお店の光がよく見えるようになりました。ワークショップ開催日が土曜日だったためオフィスビルの光はあまりありませんでしたが、水道橋駅、御茶ノ水駅付近など自分たちの上を走る電車からの光も楽しみながら進みました。途中、水道橋付近にある真っ暗なお茶の水分水路に船を近づけて、それぞれ懐中電灯で照らしたり、大きな声を出して響く声を試したりしてみました。
写真などでよくみるお茶の水切通と聖橋は御茶ノ水駅の工事のため、あまりみることができま
せんでしたが、浅草橋周辺ではたくさんの停泊した屋形船をみることができました。

神田川を抜けて隅田川に合流すると北東に普段とは違った緑と水色が混ざった色味にライトアップされたスカイツリーが見えました。隅田川は、日本橋川や神田川とは全く違い、波もあり、少し揺れながらの川巡りとなりました。数は多くありませんでしたが、すれ違うほかの船の光もそれぞれ違い面白かったです。また、隅田川では両国橋、新大橋、清洲橋、隅田川大橋、永代橋など大きな橋が架かっており、それぞれ特徴がある色や光などで照らされ、普
段ライトアップをあまり見たことがないこども達は今までとは違うダイナミックな光を興味深日本からだけでなく、中国からもサロンに参加頂きました真っ暗なお茶の水分水路の中を覗くそうに見ていました。

約90 分の川巡りも最後は再び日本橋川へ。終盤は大分寒くなりましたが、アッという間の川巡りとなりました。こども達には心に残った写真とコメントを後日送るという宿題を出し解散となりました。

今回のこの川巡りがこども達にとって普段体験できない「ひかりの冒険」として心に残り、普段の生活の中で少しでも光に興味を持ってくれると幸いです。こども達の今回の感想をFacebook にあげていますので、是非そちらもご覧ください。 ( 瀬川佐知子)

25 名の参加者

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