発行日:2013年9月26日
・国内調査レポート1/東京調査:豊洲・二子玉川・高島平 集合住宅の窓色模様 (2013/7/05&26)
・照明探偵団倶楽部活動1/夏休みのこどもワークショップ@象の鼻パーク、横浜(2013/8/02)
東京調査:豊洲・二子玉川・高島平
集合住宅の窓色模様
2013.07.05/26 三宅博行+ 林虎+ 蕎原愛
規格化された窓が整然と並ぶ集合住宅。昼間は表情を隠したその窓から、夜になると多種多様な明かりが漏れ出してくる。光の強弱・色・点灯時間はすべてまちまちであり、はっきりとその家の個性を主張し始める。今回は、成立年代も地域も異なる3 つの集合住宅を訪れ、住戸から漏れてくるさまざまな色の光から、それぞれの特徴を抽出してみる事にした。
東京における、集合住宅エリアの光の多様性
集合住宅こそ実は、東京の主役である。都市が大きくなり繁華街が発展するほど、それを支える住宅の密度も高くなり集合住宅の割合が増えてくる。住宅土地統計によれば、東京23 区内の住戸のうち集合住宅の割合は実に7 割に達するという事である。今回はいつもの調査対象である喧騒を離れて、3 つの大規模かつ高密化された集合住宅を訪れた。数多くの東京の集合住宅エリアの中から、今回はあえて都心からの距離や歴史がばらばらに異なる場所を選んだ。複雑に異なる環境が、窓明りの色味の割合や、住宅周辺の街の光にどのようにな特徴を与えるのか、単純な問いではないが考えてみたい。
豊洲
工業用の埋め立て地であった豊洲は、2003 年から本格的な再開発がスタートし、2006 年に居住区として「まちびらき」を行った。新しい街であるため、若い家族世帯の流入が多い。数多くの集合住宅が建設されており、大規模であるだけでなく、超高層タワーマンションも非常に多い。
二子玉川
比較的低層の住宅街が広がり緑の多く残る二子玉川だが、駅東側では大規模な再開発が行われた。居住区域のうち3 棟は超高層となり、2010 年から入居が開始された。駅側には商業棟、オフィス棟の区域が既に営業を開始しており、反対側には大型の公園が隣接して建設中である。
高島平
農地であった高島平では、日本住宅公団(今の都市再生機構) によって団地の建設が行われ、1972 年から入居が開始された。多くの建物が、いわゆる「団地」然とした14 階建ての同タイプの棟になっており、整然と並んでいる。1992 年をピークに人口が減少し、少子高齢化が進みつつある。
窓色模様の3 色モザイク
整然と並ぶ居室の窓からは、それぞれの家の光環境の特徴が漏れだしてきて、さながらモザイクのようだ。リビングであろう窓からの光に着目すると、内装やカーテンの色と混じり合って少しずつ色味が異なるものの、大まかにオレンジの光・白い光・青みがかった光の3 種類に大別することができる。成立年代の新しい豊洲・二子玉川では電球色が圧倒的であり、ここまで差が開くとは予想していたかった。住宅照明の実態調査等ではいつも、日本人の白色好きの傾向が強調される結果ばかり目についたが、住宅の雰囲気に関心を持つ層、特に若年層では、その傾向が完全に逆転しているのかもしれない。高島平では、白色が優勢という結果になった。立地や価格・家族や年齢の構成・内装や間取りの違い等、いくつもの要素がからまっていることは間違いないが、他の集合住宅の傾向や、一戸建てとの比較も行ってみたい所である。
※色温度を計測してみたところ、オレンジの光は約3000K、白い光は約4000K、青みがかった光は約5500K であり、予想より低かった。これは内装色の影響で光源より窓明りのほうが色温度が下がっていることが考えられる。後日、壁と天井が白クロス・フローリング床の部屋で実験したところ、光源がそれぞれ電球色・昼白色・昼光色の時に、窓明りが上記の色温度になった。今回訪れた集合住宅でも、光源はこの3 色が使われていたと予想される。
街の光環境と様子
豊洲
駅を出ると建ち並ぶタワーマンションの数々。 都会のタワーマンションがもてはや される時代に作られたのかそれぞれに豪華なエントランスや光輝くクラウンなど デザイン性はあるが、街としての統一感はない。建物内の居心地は良いだろうが、 周辺環境までは行きつけなかったのか近くのホームセンターは、 1344(lx)5300(K) と暴力的な光だ。 深夜営業しているのは良いが、 仕事帰りに立ち寄った際には 体内時計が狂ってしまいそうだ。
二子玉川
スクラップアンドビルドの時代に壊してしまった自然をもう一度復活させたいという 思いなのか住居の周りにとても自然が多く緑の面積が大きい。 建物そのものの デザインにこだわるのではなく、 全体の環境ごとデザインしているのであろう。 街 全体に穏やかな電球色の光が漂っており、 ふと散歩をしてみたい気持ちにさせ られる。 犬を散歩させている人が多いのも納得だ。 駅も 200(lx)3000(K) と優しい 光で疲れたサラリーマンを迎えてくれている。
高島平
規則的に建て並んだ団地、 ベランダには布団が干され生活感が溢れている。 今 にもそれぞれの食卓のカチャカチャという食器の音が聞こえてきそうだ。 団地内 のスーパーも LED 化などなんのその蛍光灯で活気強く営業している。 誰も照明 の事など気にしていない。 しかし独特の活気がある。 この場所できっと色々な事 が起こり、 出てゆく人がいて、 入ってくる人がいるのだろう。 底はかとない重みが 出ている。 こういった街並みも残していきたい文化である。
夏休みのこどもワークショップ@象の鼻パーク、横浜
2013.08.02 東悟子+ 中山レイチェル
象の鼻パークから見た横浜の夜景を描いて、楽しもう!
こども達がスケッチしやすく、夜景もきれい、手を動かしたくなる場所と言えば、横浜ですよ!
3段階に分けて、昼間の街並み、夕焼け、夜景を体験、観察、そして絵を描いてみました。
こども達が自然光による街、人工光による街も観察ができ、目で見たものは紙の上にどのように表現するのかを今回のワークショップのテーマにしました。
Down by the Bay
Seventeen children and their parents gathered at dusk at Yokohama`s Zou-No-Hana Park to observe, experience and draw the Yokohama skyline. The children and their parents spread out over the grassy area in full view of the Landmark Tower, World Porter`s Ferries Wheel, Queen`s Square, Red-brick Warehouse, and bay area with front row seats to the gradual shift from daytime to sunset to night.
Drawings in the Night
The children had no problem starting their drawings! They each selected what they thought was the most interesting building and set to work. As the children worked drawing the skyline, some noticed the changes in the sky and a few lights here and there began to shine. Some children concentrated on the more concrete objects and buildings of the cityscape, but when pointed out they started to take notice of the changes in the sky and lights of the buildings, ferris wheel, boats, and reflections on the water. Light, natural or artificial, is an abstract concept and especially hard to express for the first time in a drawing. Each drawing turned out different as each child saw the city and its transformation from day to night in their own unique way. The children drew the sky in shades of blue, orange, red, brown, and gray and added lights in shades of yellow, orange, white, green, and red.
In Chief Mende`s Words
In the words of Chief Mende, it`s not about how much time you put into drawing everything correctly, but being able to efficiently and loosely sketch and express the transformation of light as it happens is the goal of this workshop. Great job kids!
こどもワークショップは年2 回ほど開催しており、2010 年に本格始動して今回で5 回目。夜のスケッチ大会は当初から温めてきた企画でやっと実現することができました。
夏のダイナミックな夜の表情の変化に、子どもたちがどのように反応し描いてくれるかとても楽しみにしていました。
夜の絵を描くのは初めてのこども達ばかりで、どのように仕上がるか心配でしたが、小さい子は躊躇なく、半ば想像でぐんぐん画用紙を埋めていき、多い子は5 枚も仕上げていました。一方、年齢があがるにつれ、慎重に景色を観察しなかなかスタートできない子も。ほんの数分で空や建物の見え方が急激に変わるのをみて、色をどう付けていけばいいか悩んでしまう子が何人もいて、「思い切ってどんどん書きなさい」とスタッフみんなで声掛けしました。オレンジや赤の空の色、水面にうつる白や青の建物や橋。ちょっと幻想的な絵が出来上がりました。横浜ベイエリアの開放的で気持ちのいい空間で、2時間を満喫しました。
(東悟子)
こども達が絵を描いているうちにだんだんと日が沈んで、街の光が付いてきました。
絵の具、色鉛筆、クレパスなど使って、絵を描いています。
描き終わって、象の鼻テラスにて、発表会。
最後、横浜の夜景の前にお気に入り絵を一枚持って、集合写真。
すずき まおくん 3年
すずき たまきちゃん 5才
しもだ みずほちゃん 6年
なかやま せなくん 1年
ひがし りおんちゃん 6年
うばがい としきくん 5年
ながとも はやてくん 4年
ひがし こうたろうくん 4年
よこやま ゆきのちゃん 3年
なかやま りきくん 4才
あきちか たすくくん 年長
あきちか ういちゃん 2年
事務局からのお知らせ
ナイトウォチングツアー
11 月に夜景ウォッチングツアーを開催いたします。
行き先は、日本三大火祭りにあげられる須賀川(福島県) の松明あかし。420 年以上も前からつづくこの祭りは、戦国時代に伊達正宗に攻め落とされた須賀川城の兵士の魂を鎮魂するための儀式として続いています。
胴回り3 メートル、高さ10 メートルもある巨大な松明に火をともした様は、圧倒的な迫力です!
若干席に余りがありますので、ご希望の方は9月30 日(月) までにお申し込みください。
開催概要
日程: 11 月9 (土) ~ 10 日(日)
参加費:¥13,500 往復バス代+ 宿泊費
宿泊:磐梯熱海温泉 ホテル華の湯
福島県福島県郡山市熱海町熱海5-8-60
024-984-2222
http://www.hotelhananoyu.jp/
※部屋は4 ~5人部屋で、相部屋になります。
募集人数: 23 名
スケジュール
11 月9 日(土)
13:00 東京駅集合、バス乗車 首都高・東北道
16:30 須賀川到着、おまつり見学
19:00 会場出発
20:00 磐梯熱海温泉着
11 月10 日(日)
10:00 磐梯熱海温泉出発 磐梯熱海IC 東北道・首都高
13:00 東京駅着 、解散