1997年7月26日 世界の夜景ウォッチングツアー
照明探偵の活動の場は国内だけではない。探偵団のメンバーは、7つ道具を携えて世界各地を探偵・調査している。都市照明調査が主な目的であるため、アメリカやヨーロッパなどの先進国やアジアの大都市が中心とはなっているが、照明ではなく自然の光や闇を求めて辺境の地にもいそいそと出かけて行く。
さて、照明探偵団・連続実践講座’96の締めくくりとして、講座参加者も含め大勢で探偵ごっこをしようと、老若男女28名がクリスマス直前の12月14日から18日までシンガポール・香港の夜景ウオッチングに出かけた。
シンガポールは政府観光局主催のオーチャードロードのクリスマス・イルミネーションコンテストが有名。香港は言うまでもなく、返還前最後のクリスマスということで、何か狂乱的な光が体験できるのではないかと探偵団は期待して、超駆け足で両都市を巡った。
まずは現在建築中の超高層ビル”ミレニアタワー”に上がり、絶え間ない開発に変貌し続けるシンガポールの夜景を一望した。また、ホテルやショッピングセンターが立ち並ぶ”オーチャードロード”を中心とする派手なクリスマスイルミネーションを見学し、再開発に成功したシンガポール川沿いにあるレストランやバーの集中した新観光スポットである”ボート・キー”などを視察した。周辺一体が巨大なショッピングモールとディズニーランドを足して2で割ったような、なんとも観光的で賑やかな様子だった。
香港では、九龍半島随一の繁華街”ネイザンロード”、香港上海銀行をはじめとする高層オフィスビルが林立するファイナンス・ビジネスの中心”セントラル”、日系のデパートやタイムズ・スクエアなどの商業施設で知られる香港島の繁華街の”コーズウェイ・ベイ”などをグループに別れて探偵。九龍半島のボードウォークから見た”ヴィクトリア・ハーバー”のウォーターフロントの夜景も、勿論堪能した。ただ、返還前最後の特別なクリスマス・イルミネーションを期待していた私たちは、意外にクリスマスの為のライトアップやイルミネーションが少ないことに気を削がれた感もあった。現地の人曰く、例年よりもむしろイルミネーションは控えめなくらいで、返還、返還と騒いでいるのはむしろ観光客なのではないか、ということだった。
人工照明が溢れ返るシンガポールや香港では、時とすると夜には昼間とは全く違った表情を見せる。もっとじっくり滞在したかったのは全員の望むところであったが、年末の慌ただしい時期に、本業をそっちのけで探偵に観光にと大急ぎで走り回ったのも楽しい出来事だった。