探偵ノート

vol.22 胎内感覚の音と光 ~イスタンブールとアンカラのモスク~

Update:

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ジャミイ(モスク)を訪ねると既に数人の男たちがメッカの方向を指して、立ったりひざまずいたり、両手を耳に当てたり床に伸ばしたりしている。とても単純な動作の繰り返しで、全く自分勝手な礼拝のリズムだ。しばらく彼らの行為を詳細に観察した後、私は予め買ってきた綿のイスラム帽を取り出して身支度を整え、男たちの後方についた。

不謹慎ながらイスラム教礼拝の行為を暫く物真似しているうちに、ある種の覚醒効果が表れてきた。射し込む光のせいだけではない。ジャミイ内の独特の異臭や、僅かな反響音のせいかもしれない。座禅で言う半眼とまではいかないが、虚ろに開かれた目に映る景色は、斜め上の天井から壁へ、明るい光の窓から光を反射する床の絨毯へと移動し、これを何回も繰り返す。 最初の緊張感がほぐれて徐々に筋肉や心が弛緩していく。 宇宙に通じる祈りのドームは、いつしか安らかな母親の胎内を感じさせる。ウーム、何とも麻薬的な世界。そしてまた、直ぐその気になりやすい単純な自分に呆れてしまう。

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私がジャミイの光にことのほか興味をひかれるのは、ここに西洋と東洋、または欧米を日本という単純な比較文化論で語ることのできない不思議な魅力があるからだ。イスラムの光は、ちょうど西と東に橋を架けるように折衷的であり、それから逃れて全く独創的でもある。例えばジャミイの高窓から射し込む光は、一条のスポットライトのようでもあり、また巨大な天蓋の一部に触れてミラーボールのような撹拌現象さえおこす。床の白い大理石や敷き詰められた絨毯、更に薄く張られた池の水さえも、上からの自然光を反射して、室内に横や紗から煽る光を取り入れる効果を狙っている。夜間礼拝用のイスラム風シャンデリアでさえ、無数の輝く惑星を従えた宇宙の再現だ。

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日本人の現代生活が和洋折衷を飛び越えて無国籍化しつつあるが、この界隈には、そんな時代を先取りした新感覚の光がたくさんある。「気配を創るための光」は、「何ルクスの光?」とは無縁の世界だ。つまり光は直接的に感覚を刺戟するようになる。


面 出 探偵A 探偵B 探偵C
あかりの味/雰囲気や気配のよさ 5 5 4 5
あかりの量/適光適所・明るさ感 5 4 5 5
あかりの値段/照明設備のコストパフォーマンス 5 4 5 4
あかりの個性/照明デザインの新しさ 4 5 5 4
あかりのサービス/保守や光のオペレーション 4 3 4 4
合 計 23 21 23 22
総合評価 ★★★★
(21.80点)

1項目5点が最高、合計25点満点。★は5つが満点


あかりのミシュランは、雑誌「室内」に連載されました。
面出 薫+照明探偵団/文  淺川 敏/写真

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