街歩き・サロン

「渋谷」@照明探偵団事務局

第52回研究会サロン@照明探偵団事務局

2016.09.01  岩永光樹

8月の渋谷街歩きのレビューを開催。各自の意見をまとめ、内容の充実した資料を持ち寄り発表しました。

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「カオスさ」が評価されたスクランブル交差点のパノラマ写真

今回のサロンは8月5日に行われた「渋谷街歩き」の調査結果を各班が発表しました。今回の街歩きでは各班の班長が全員ニューフェイスという新しいスタイルでサロンも一層盛り上がりをみせました。

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一班の綿密な調査レポート
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発表を盛り上げた「お店に誘われる度」という新しい観点
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和やかな雰囲気のサロンの風景

一班は「谷を彩る光を探す」というスローガンを掲げ、パルコ文化圏を調査していました。一班の英雄はパルコファサード、MODIのモニター、QFRONTのモニター、appleのファサードと象徴的な店構えをした建物のファサードに票が集まりました。一方犯罪者はというとファッションビルのまぶしい看板灯やランプが切れていた街路灯など、照明効果が不適切なものに
票が集まりました。一班は色温度、演色性評価指数、照度を綿密に記録していてみなを驚かせました。調査の感想では変わりゆく渋谷の街並みに期待をよせつつ「渋谷らしさ」が残ることを希望する声もあがりました。
二班は渋谷スクランブル交差点をパノラマ写真でおさめ、渋谷の「カオス」をあえてポジティブに評価しました。スクランブル交差点・センター街を調査した二班は英雄にQFRONTのモニター、スターバックスのサイン、野郎ラーメンのやわらかい明るさの看板、八百屋の灯り、FOREVER21にBershkaとやはり上品だったり、情緒のあるファサードやサインに票が集まりました。逆に向かい合ったビルの壁面を照らしてしまうほどの明るさのサイネージや煌々と光るドラッグストアなど節度の無いファサードやサインを犯罪者として選びました。BIGECHOの店内へとつづく光階段には「歌番組のセットのようで気分があがる!」というコメントも寄せられました。
東急文化圏を調査した三班は落ち着いた明るさの文化村ホールを「住宅街への配慮か?」、「光で主張しないのは自信のあらわれでは?」と推測しました。白すぎて調和がとれていないカメラショップのファサード、歩道に刺すようにまぶしいH&Mの看板灯が犯罪者と評価され、静かに凛と存在している東急本店の看板や広告の有無で使い分けができる街路灯が英雄として選ばれました。ラーメン屋の置き形の看板を照らすための床置きフラッドライトの照射がずれていた点に関しては「渋谷らしいストーリー性を感じる。とても魅力的な犯罪者だ」と興味深い議論も繰り広げられました。
風俗・ホテル街を調査した四班は「誘われる度」と「渋谷らしさ度」というふたつの独自の観点を新たに取り入れ、英雄と犯罪者を選定しました。英雄には千代田稲荷神社に色味をあわせた隣接するホテルやホテルアラモンドのレトロなサイン、喫茶ライオンのあえてライトアップされていないファサードが選ばれました。犯罪者にはユーロスペースの調整されていない看板用スポットライトや、コスパが悪い道玄坂の内照式看板などが選ばれ、クラブアジアのエントランスにあった一灯だけ緑色をしたランプには「色合いがあわない」、「この場にあわない」、「メンテナンスしていない怠惰さのあらわれ」などの厳しいコメントが寄せられました。調査の感想では「面白かったのは班員それぞれ人柄が垣間見れる観点や評価の違い。それが一番の発見!」と街歩き自体のおもしろさを表現したコメントもでました。
終わりには初参加メンバーから「街路灯の大切さを思い知った」、「渋谷という街を照明という視点でみれて新鮮だった!」、「苦手だった街の雑多感がおもしろく思えた」などの貴重なコメントもいただきました。団員のさまざまな意見や感想が飛び交う中でやはり一番耳にしたのは再開発が終わりを迎える2026年の渋谷の街並みへの期待でした。海外の観光客からも注目殿高い渋谷という街の魅力を再認識する調査となったのかもしれません。 (岩永光樹)

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