2026.03.19 東 悟子
2026年3月6日に開催された照明探偵団の「新宿街歩き」を受け、1班から3班までの参加者が新宿の照明環境(光の英雄と犯罪者)について発表を行うサロンが開催されました。今回の街歩きのテーマは「光のレイヤーで紐解く、新宿の過去・現在・未来」であり、エリアごとに異なる光の密度と色彩が、新宿のアイデンティティをいかに形成しているかが考察されました。
新宿街歩きの報告会をLPAオフィスで開催しました。新宿街歩きは東口の歌舞伎町を中心に歩いた1班、都庁を中心に歩いた2班、南口から東口を通って西口のんべい横丁と広範囲を歩いた3班と3つの班に分かれて行いました。レビューではエリアごとの光の特徴が報告されました。
歌舞伎町・新宿三丁目エリアを巡った1班は歌舞伎町一番街や東急歌舞伎町タワーなど「目立ちたい」という欲求が溢れるネオンやサインを観察。サインで十分明るい中、さらにまぶしい街灯やLEDのぎらぎら感の強い照明は「犯罪者」と指摘されました。また、周囲が明るすぎるためか逆にかなり暗く感じる歌舞伎町公園が、街に緩急を与えている点にも言及されました。
一方で、花園神社は喧騒から逃れる避難所のように明るさが抑えられ、レトロな伊勢丹の光とともに、街の静的なレイヤーを感じさせました。ゴールデン街の怪しげな光や思い出横丁の提灯は、思わずカメラを構えたくなる「英雄」として高く評価されました。
2班は都庁広場からNSビル、新宿中央公園周辺の光環境を報告。都庁のプロジェクションマッピングは高層ビル街のアクセント(英雄)とされた一方、残業者の窓の光があればもっと良いという声や逆にその光が邪魔になっている、ショーが業務への支障(犯罪者)になっているのではないかという懸念も聞かれました。
NSビルでは、EVホールやブリッジ下面の高輝度な白色LEDが痛いほどまぶしく、色温度のバラツキとともに犯罪者とされました。さらに、改修工事でウォールウォッシャーからダウンライトに変更された点も残念だとの声が多く聞かれました。
対照的に、新宿中央公園への横断通路の落ち着いた電球色や、カフェ(SHUKNOVA)の居心地の良い照明は、仕事疲れを癒やす英雄とされました。新宿アイランドではパティオの優しい光が評価されたものの、初期の光の演出が失われスポットライトがグレアを生んでいる現状が惜しまれました。
3班からは新宿駅周辺の報告。南口周辺では、昔から変わらない光のグラデーションの美しさが英雄として再評価されました。一方、大型家電量販店やドン・キホーテの巨大LEDディスプレイは「痛いほど眩しい」「暴力的」な犯罪者として厳しく指摘されました。特に、昔ながらの思い出横丁の非常に優しく魅力的な光を体験した直後に浴びる巨大ディスプレイの現代的で支配的な光は、「あまりにも暴力的」だと表現されました。
また、夜空にひときわ目立つNTTドコモ代々木ビルのカラフルな光が、周辺のビル群に映り込んでいる様子も新宿ならではの風景として切り取られていました。
今回はプロジェクションマッピングの制作の仕事をされている繁竹雄志さんにプロジェクションマッピングの歴史や進化などの解説もしていただきました。
各班の発表を通じ、商業主義的な過剰な光(犯罪者)と、路地裏や神社の静寂、公園の落ち着いた憩いの光(英雄)が混在する新宿の多面性が明確に浮き彫りになりました。高層ビル群から昭和の面影を残す路地裏まで、より快適に過ごせる照明環境のあり方を考えさせられる、非常に充実したサロンのレポートとなりました。(東悟子)












