街歩き・サロン

第43回照明探偵団街歩き 「住宅街のあかり~二子玉川~」

2012年4月24日 

昨年の東日本大震災後の3 月にオープンした二子玉ライズを中心に発展を続ける二子玉川駅。乗降者数も2010 年度から約15% 増加し、ますますその多様性が期待される街。今回はその街を「住宅のあかり」を切り口に歩いてきました。

住宅街のあかり~二子玉川~
まず、2011年3月にオープンした二子玉川ライズを歩き、照明の観察。
住宅街のあかり~二子玉川~
駅から公園へとぬけるパッセージ。人通りもまだまばらなので、明るさだけが目立つ印象。
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駅西側。低い色温度で統一されているマンションだが、道路灯の広さとのアンバランスが目立つ。

企画の主旨

住宅街のあかり~二子玉川~
二子玉川駅に集合して、主旨説明

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店舗からのあかりで心地よい空間となっている。

住宅街のあかり~二子玉川~
駅の東側に位置するライズレジデンシャル。住宅の窓からは暖かい色のあかりがもれている。青色LEDの多用が目立つ。

住宅街のあかり~二子玉川~
通路にしては明るすぎるのではという意見も。

住宅街のあかり~二子玉川~
人気のない公園で過剰な光を放つ街路灯。

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眩しい割には足元がそれほど明るく照らされていない。

住宅街のあかり~二子玉川~
強烈な眩しさが住宅に光害をもたらしている。

住宅街のあかり~二子玉川~
突然の雷雨にみわわれ、調査を中断。早めに懇親会をスタート。

二子玉川は、駅を挟んで東側に広がる都内最大の再開発地帯と, 西側に広がる従来の住宅街・ショッピングセンター街の新旧二つの顔をもつ、今注目のエリア。今回の街歩きは参加者25 名を4 チームに分け、2チームづつ、東と西を担当して行いました。とくに住宅のあかりに焦点をあて、快適な住宅街のあかりとはどのような光環境をいうのか、新旧の住宅を比較、検証しました。

二子玉川ライズから出発

二子玉川ライズとは、東急田園都市線と大井町線が交差する二子玉川駅から、二子玉川公園(仮称) まで総開発面積約11.2ha の広大な再開発地区。ランドスケープの照明デザインは、東海林弘靖氏が担当され、2011 年の環境省主催「省エネ・照明デザインアワード」施設部門賞を獲得。「暮れ」「宵」「真夜」の3つのシーンを設定することで、時間のうつろいを表現し、CO2削減と心地よさとを両立、時間の移り変わりと、商業施設から住宅空間への移行を、光で演出していました。計画当初メタルハライドランプで計画されていたところを、省エネ法の改正に伴い、ほぼLEDへと設計変更が行われ、それが功をそうして、今回の受賞となったようです。商業空間は節電されていましたが、店舗のウィンドーから漏れてくる明かりで、通路やパブリックスペースは充分な明るさが感じられ、落ち着き洗練された印象を与えていたように思います。(東悟子)

二子玉川東側

二子玉川東側は現在もまだ再開発工事が行われている地区です。そのため駅からRise タワーレジデンスにつながる予定の通路は、レジデンス周りしかできておらず、何もない空間にしては明るすぎるのではないかと感じました。ただ、全体が完成し、人の往来がもっと多くなると違った印象になるのかもしれません。ところどころに青色LED が使用されていました。レジデンス照明は色温度が低い光の方が温かみを感じますが、ポイント的に青色を使用し、このエリアの特徴を出していました。現在完成しているエリアでは放電灯、蛍光灯などの従来光源とLED照明が混在しているような状態でしたが、どんどん進化していくLED 照明も出てくる中、これから完成するエリアがどういった照明器具を使用していくか興味深いところだと思います。

震災直後にオープンしたショッピングセンターは、アトリウムの上から通路を照らしている照明器具が半分消灯しており、今も節電点灯が行われていました。

照らされているところは700lx くらい、照らされていないところは70lx と多少照度差がでていましたが、歩くのには問題のない範囲でした。全点灯したときにどういった表情の違いが出るか気になるところです。(瀬川佐知子)

二子玉川西側

駅出口付近の天の川のような天井照明のあるアトリウムを抜けると、玉川通りに面して高島屋など大型のショッピングセンターがあり、さらに奥に進むと昔から残る閑静な住宅街が広がっています。UR都市機構管理の住宅、シティーコートの細い路地では駅から離れるに連れ、高さやタイプが異なる様々な街路灯が並んでおり、照度は街路灯の下でおよそ15lx、中間で5lx 程度となっています。駅からの帰路としては安全に歩くだけの十分な明るさは確保されているように感じました。ボラード照明など基本的に低い位置の照明は温かみのある電球色の光で計画されていて、全体的に落ち着いた雰囲気となっています。

谷川緑道はその名の通り花や緑が多く自然豊かな通りです。夜間はというと・・散歩道にしては多少明る過ぎるのでは?と感じるポール灯が煌々と輝いており、周囲の景観も比較的暗いため灯具だけが目立ってしまっている状態です。おそらく近隣の住宅への光害も予想される為、現状の全方向照射タイプではなく灯具の眩しさは抑えて下方向だけに効率良く光を落とせればより魅力的な緑道になるのではないかと思いました。一方、通りの分岐点に設置されているポール灯にはソーラーパネルが搭載されており災害時の対策も考えられているようで、さすがは緑道の造成に力を入れている世田谷区といったところでしょうか。(池田俊一)

調査開始から1 時間が経過したあたりから小雨が降りだし、あっという間に豪雨に。しばらくは調査を続けましたが、あまりにひどい落雷で中止を余儀なくされました。東側を充分にみることができなかったのが心残りです。

懇親会では、街歩き中に話題にのぼった青色LEDの多用について、青い色が人にもたらす影響の解説があり、光と色とが及ぼす精神活動への影響は、照明設計を行う上で重要な検討要素であることを実感しました。
(東悟子)

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