アニュアルフォーラム

第5回 シンガポールフォーラム 2006

Transnational Tanteidan Forum 2006 in Singapore開催
2006年11月23日 @ URA Centre, Singapore

Transnational Tanteidan Forum 2006 in Singapore

transnational.tanteidan_05_01
transnational.tanteidan_05_02
transnational.tanteidan_05_03
transnational.tanteidan_05_04
transnational.tanteidan_05_05
transnational.tanteidan_05_06

2001年に東京で始まったフォーラムも今回で5回目を迎えます。第5回フォーラムの会場は、北緯一度に位置するトロピカルアイランド・シンガポールで行われました。世界に広がる照明探偵団各支部からメンバーが集まり、年に一度顔を合わせて話し合う貴重な場です。

ファサード・ライティング

今回のフォーラムテーマは”ファサード・ライティング”。建築の顔とも言えるファサードは、昼の見え方はもちろんのこと、夜に照らされた表情によって、その魅力を増すこともあれば半減してしまうこともあります。建築、ひいては都市の顔をつくるファサードがそれぞれの街でどのような夜の景色をつくっているのか、というのがテーマです。

トップバッターはLPAシンガポールの所員でもあるMs. Toh Yah Li。シンガポールをエリアごとに紹介していきます。CBDなど水辺近くの高層ビル群のファサードがつくる夜景の美しさがシンガポールの特徴の一つですが、HDBと呼ばれる公営住宅の窓からこぼれるあかりがつくる景色もシンガポールらしさを現しています。

続いてハンブルグからはMr. Christof FielstetteとMs. Ulrike Brandi、二人の照明デザイナーによる発表です。City Hallなど歴史的な石のファサードを持つ建物がライトアップされた様子や、水際に位置する都市ならではの水と光の関係が紹介されました。

今回初めて発表があったのがベオグラード。プレゼンテーターはこれまでストックホルムについて発表していたMs. Aleksandra Stratimirovicですが、実は彼女はもともとベオグラードの出身。現在はストックホルムに住んでいるものの、ベオグラードと行き来していて現地の建築家やデザイナーの知り合いも多く、最近ではベオグラードでの照明探偵団活動も積極的に行っています。そうした背景での初のプレゼンテーションでしたが、紹介される画像は内戦が繰り返された都市とは思えない程整然としていました。暗い闇もありますが、主要な建物は必要以上に白く煌々と照らされています。今後この都市がどのように変化していくのかが楽しみです。

コペンハーゲンからはMs. Katja Bulow。歴史的建造物の保全はもちろんのこと、ファサードとサインに関する決まりごともあって、夜が長いスカンジナビアの街の美しさを保つ工夫が窺えます。

東京からは面出団長のプレゼンテーション。商業、住宅、オフィスの3タイプに分けて、ファサードをつくる光について検証しました。銀座、表参道、秋葉原、新宿、浅草・・・やはり他のどの都市よりも東京の街に溢れる光の量には圧倒されます。

パネルディスカッションではシンガポール国立大学のDr. Erwin Virayがコーディネーター役を務めてくれました。

ヨーロッパから参加しているパネラーたちは、何よりシンガポールに溢れる昼光の多さに驚いた様子です。北欧では「いかにして光を取り入れるか」ということが常に課題となりますが、シンガポールはその逆で「いかにして光をカットするか」。都市が位置する緯度によって、光との付き合い方は随分と違ってくるようです。

光の英雄と犯罪者を探せ!

今回はじめての試みとして、フォーラム開催に合わせて現地で2日間のワークショップが行われ、“光の英雄と犯罪者を探せ!”をテーマにシンガポールを5つのエリアに分けて街を歩きました。

新興住宅街Toa Payoh、メインストリートOrchard、民俗色が濃く混沌としたBugis、魅力的な景色が川沿いに広がるSingapore River、赤いランタンが通りを彩りいつも活気あるChinatown。

シンガポールという小さな国の中にそれぞれ個性的なエリアが点在し、照明探偵団にとってもネタは尽きません。ワークショップの翌日は調査してきた内容をチームごとに、大急ぎでパネルにまとめました。良い光=英雄、悪い光=犯罪者とそれぞれの主観から解説して展示パネルの完成です。

展示会“LIGHTING UP OUR CITY CENTRE”

URA Centreでは今回のフォーラム開催時期に、LPAが提案したシンガポールの都市照明に対する基本計画 “Lighting Master Plan for Singapore’s City Centre” を基にした展覧会”Lighting up our City Centre” が行われました。(会期:2006年11月22日~2007年2月28日)

シンガポールの都市開発局URA (The Urban Redevelopment Authority) が主催するもので、ひとつの国で現在進行中の照明計画をテーマにした、これまでに無いタイプの展示会です。シンガポールを4つの代表的なエリア(Orchard Road, Singapore River, Bras Basah.Bugis, Central Business District(CBD) and Marina Bay)に分けて、提案に沿って行われた展示は具体的で、一般の来場者にも非常にわかりやすい構成でした。会場の一部には照明探偵団の活動を紹介するコーナーも設けられ、シンガポールの人たちにも活動を知ってもらうきっかけとなりました。

2007年の活動

1999年に発足した世界照明探偵団ですが、じわじわと各地に広がり始めています。新たにベオグラード、バルセロナ、ベルリン、北京、などから「ぜひ照明探偵団の一員になりたい!」という声が聞こえてきています。
2007年の第6回フォーラムは12月はじめにコペンハーゲンで開催が予定されています。これからの活動にもぜひ注目して下さい。

(田沼 彩子)

おすすめの投稿