アニュアルフォーラム

第15回 世界照明探偵団フォーラム in 深圳

世界照明探偵団フォーラム in 深圳

“深圳夜景 2030”
目覚ましい発展を見せる中国の最先端都市深圳は、照明技術やデザインの分野でも世界中の注目を集めています。驚異的な速度で建設される超高層ビル群。キャッシュレスや100%電力化を達成しつつあるバスやタクシー。
照明ではいくつもの高層ビルを一斉オペレーションする大迫力のメディアファサードなど、想像を絶する夜景演出は留まるところを知りません。
いったい深圳の夜景は今後どのように変化していくのでしょうか?
第15 回を迎えた世界照明探偵団フォーラム(TNT Forum)はこの都市の10 年後、2030 年の夜景を考えるためのプラットフォームになることを目指しました。
予想を超える学生や地元参加者の積極的な取り組みにより、未来に向けた様々な深圳夜景への提案が語られました。

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実施概要

■開催日時:
2019 年5 月16 日(木)~ 5 月19 日(土)
■主催:
照明探偵団
■共催:
China Academy of Urban Planning & Design Shenzhen (CAUPD)
■協力:
China Illuminating Engineering Society (CIES)
Urban Management Bureau of Shenzhen Municipality (UMBSZ)
International Association of Lighting Designers (IALD) Great China
Shenzhen Illuminating Engineering Society (SZIES)
Harbin Institute of Technology (HIT) Shenzhen
■協賛:
Shenzhen Goldlamp Lighting Engineering Co., Ltd
Shenzhen Minkave Technology Co., Ltd.
Leyard Lighting Co., Ltd.
Shenzhen Golden Lighting Teconology Co., Ltd.
iGuziini Trading Co., Ltd
Aero Light Co., Ltd.
VF/A++ogjtomg Scoemce & Tecjmp;pgu Co., Ltd.
Roled Opto Electoronics (China) Co., Ltd.
VAS Lighting Co., Ltd.
Guangzhou Yajiang Photoelectric Eauipment Co., Ltd.

コンテンツ & タイムテーブル

①街歩き & ワークショップ
6つの班に分かれそれぞれの担当エリアを調査(5/17)
翌日班毎に街歩きのレビューを行い2030 年の深圳夜景のプロポーザルを作成(5/18)
② プレゼンテーション & 講評
・参加者による6 つのエリアの調査報告と深圳夜景2030 プロポーザルの発表(5/19)
・照明探偵団メンバーによる講評
③トークイベント
フォーラムテーマ「深圳夜景2030」を基調としたパネルディスカッションを開催(5/19)
④パーティー
イベントにご協力いただいた方を招き、パーティーを開催
・Welcome Party(5/16)
・Farewell Party(5/19)

イベントタイムテーブル

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街歩きエリア

深圳の特徴的な以下の6 つのエリアを選び、街歩きを実施。
Team A Shennan Road 深圳で一番初めに開発が始まったエリア
Team B Huaqiang Area  電器街
Team C CBD Area    公官庁エリア
Team D Shenzhen Bay  ベイエリア
Team E OCT Area    商業&住宅が複合的に集まっているエリア
Team F Shuiwei Village 伝統的漁村

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イベント詳細

①オリエンテーション 5 月17 日 @ CAUPD

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フォーラム最初のプログラムのオリエンテーションでは、3 日間にわたるプログラム詳細や照明探偵団とそのコアメンバーの紹介、街歩きの手法の説明などが行われました。
またChina Academy of Urban Planning & Design Shenzhen の梁氏より、深圳市の夜間景観計画の解説がありました。長期、中期で検討されている計画を聞くことができ今回のテーマの2030 年の深圳夜景もより創造しやすくなったように思います。
その後は学生を中心とした総勢90 名の参加者を6 班に分け、班ごとに自己紹介を行い、街歩き担当エリアの特徴や予想される状況を話しあいました。
初めは慣れない英語でのコミュニケーションで硬くなっていた参加者も、探偵団コアメンバーから多くの事を吸収したいという思いからなのか、時間が立つにつれ積極的になり、いいアイスブレークになりました。

②街歩き 5 月17 日

自己紹介やエリアレビューを終えたチームから、街歩きエリアへと出発。
班毎に指定されたエリアを照明探偵団のコアメンバーを中心に、既存の光環境のいい点と悪い点を話し合いながら街歩きを行いました。
夜間景観をその都市の繁栄と発展の指標として捉えると、深圳は中華圏で現在進行形の奇跡の1 つだと言えます。
今回街歩きに選ばれたエリアは、深圳市が小さな村から高層ビルジャングルに至るまでの発展の軌跡を表す6 つのエリアが選ばれました。これらのエリアはどこも伝統的なアイデンティティーを保持しながら挑戦的な都市照明計画も行っています。
この街歩きを通して現在の深圳の光環境を考察し、2030 年がどうあるべきかの議論を交わしました。

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③グループディスカッション 5 月18 日 @ CAUPD

チーム毎に集まり前日街歩きしたエリアの写真を見ながら、そのエリアの光の英雄と犯罪者は何かを話し合いました。またなぜそれらは英雄または犯罪者なのかを考え、それを一言で表すキーワードを検討し、まとめていく作業を行いました。
班ごとにディスカッションのスタイルは様々でしたが、どのチームも積極的で熱い議論を戦わせていたようです。悪い点もただ悪いと糾弾するだけでなく、どうすればよくなるのかという改善方法にまで議論が及んでいました。
さらにそのエリアの2030 年の姿をプロポーザルする為のディスカッションも行われました。
話合いの結果は2 枚の3×6判のプレゼンテーションボードにまとめられ、翌日の発表会場で掲示されます。
どのチームも2030 年深圳夜景プロポーザルを数枚の絵に起こしていました。
発表内容の検討は夜遅くまで続き、準備に余念がありませんでした。

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④プレゼンテーション 5月19 日 @ ハルビン工科大学

3 日間のワークショップの総仕上げとなるプレゼンテーションがハルビン工科大学で行われました。
各チーム15 分間で担当エリアの現状の光環境を説明し、2030 年の深圳夜景へのプロポーザルを行います。
またチームの発表後にはそのチームのコアメンバーが講評を行い、プロポーザルに対する意見や感想を述べて終了となります。
プロポーザルは、暗さが残り、夜の星空が見える憩いの夜間景観を提案するチームもあれば、世界の最先端をいく深圳らしく、あるゆる技術を駆使した全く新しい照明の可能性を探るチームもありました。
様々な提案を聞いた参加者はそれぞれに未来の深圳夜景を想像し、これから自分たちがどのように照明デザインに取り組んでいくべきかを考えたのではないでしょうか。再度夜景について深く考えるいいきっかけになったプレゼンテーションでした。

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④プレゼンテーション 街歩き報告
Team A : Shennan Road 深圳最初に開発が始まったエリア
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深圳で2 番目3 番目に高い超高層ビルを包含する「深圳のはじまり」と言われるエリア。メディアファサードやRGB の投光器で煌々と照らされたビル群は、建築の持つ特徴を覆ってしまい犯罪者としてあげら
れました。
たくさんの市民で賑わう劇場前広場は、人々がおしゃべりやダンス、バドミントン、エクササイズなど思い思いの活動を楽しんでいましたが、広場への照明は周囲のファサードからの環境光のみでした。
英雄には電球色と昼光色を使い分け、建築の特徴を生かしたファサード照明があげられました。

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④プレゼンテーション プレゼンテーションパネル & プロポーザル
Team A : Shennan Road

“静かな通りに活力を注入し、驚きを生み出す”
Shennan Road にあるグランドシアターへの提案では、照明とスマホを組み合わせたインタラクティブな“人中心”を原則とし、劇場スペースを内側から外側まで広げグランドシアタースクエアとし、都市のオープンステージが提案されました。
A班の” 深圳夜景 2030″ のプロポーザルでは、街は人々が住む場所であるということが大前提で作成されました。
夜にすべての建物の正面を明るくせず、都市のランドマーク的な建物だけを強調することが必要だとしました。
他の建物のファサードは暗くする必要がありる一方、照らされた建物のファサードは、よりインタラクティブで芸術的で楽しいものであるべきで、それが深圳の歴史と文化の出発点を示すことになる、と締めくくりました。

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④プレゼンテーション 街歩き報告
Team B : Huaqiang Area 電器街
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Huaqiang はかつて深圳一の電気街として栄えていましたが、今はあまり代わり映えしないショッピングモールが立ち並ぶ商業エリア。
電器街の名残はあまりみられず特筆すべき特徴のないエリアでしたが、幅〇〇メートルの遊歩道が××メーター続き、改善すれば夜でも人が車を気にせずゆっくり過ごせる可能性の高いエリアです。
英雄と上がったのは少しの改善ででいくらでも快適な空間に変貌できそうなポテンシャル。犯罪者は無計画で無尽蔵についている看板照明やファサード照明、またメンテナンスが行き届いていないベンチ下のライン照明があげられました。
深圳一の最先端エリアへ返り咲くための改良点が多く提案されました。

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④プレゼンテーション プレゼンテーションパネル & プロポーザル
Team B : Huaqiang Area

“サプライズエレクトロニックストリート:光と影の未来を体験”

照明の統一感の欠如、利用されていないインタラクティブ照明、過度の看板照明、ライン照明、および店舗照明によって引き起こされるグレア問題など、いくつかの問題となる照明デザインが存在。
B班は2030 年の深圳夜景を想像する際に、街路灯をインタラクティブに利用し、時間と空間を活用することを検討しました。
例えとして、既存の正方形のピアノを3Dマッピングと組み合わせて使用し、多感覚の照明体験を提案。
将来の飛躍的な技術の進歩に期待して、Huaqiang Northが技術最先端エリアの称号を持ち続けると同時に体験型エンターテイメントの魅力を提供する場所になることを提案しました。

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④プレゼンテーション 街歩き報告
Team C : CBD Area  公官庁エリア
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Team C はCBD エリアを担当。
街歩きはCBDエリアの中心で行われている壮大なライトショー見学からスタート。高層の複合ビルのファサードには大型の照明器具が設置されており、ここ30 年間の深圳市の発展を物語っていました。
公共スペースの照明は明るさが足りておらず、統一感も欠けていました。
現代美術館と子ども宮殿の正面の広場には、照明を追加したほうがいいという意見で一致。照明はそのエリアを使う人々を暖かく招くものであるべきとの意見でした。
各建物をつなぐような照明を追加することで、CBD エリアは1 つのコミュニティとして統合されると結ばれました。

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④プレゼンテーション プレゼンテーションパネル & プロポーザル
Team C : CBD Area

“天の川から星を降らせ、星のテントに散りばめる”

将来的には、私たちはもっと人々の照明に対する欲求に注意を向け、歩行者目線の照明デザインにするべきです。市民広場が昼間の行政地区から夜間は市民の憩いの場になるために、公共スペースの機能照明を改善する必要があります。
子ども宮殿の前の広場は明るさが十分でなく、特筆すべき照明はありません。広場は建物からの漏れ光がベース照明として一定の効果はあるものの十分ではないので、班からの提案では子ども達の空間には星を使うべきだとあがり、星のテントが提案されました。また長い階段も安全性のため照明が足されました。
現代美術館のランドスケープの照明はシンプルすぎて、街路灯はまぶしすぎるとの指摘がありました。また照明が不足していて、完全に暗い通りもあります。水盤やベンチ、木へのアップライトなどの多彩な照明を追加することを提案しました。

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④プレゼンテーション 街歩き報告
Team D : Shenzhen Bay  ベイエリア
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深圳の中で最も急速に開発が進み、未来的な景観が生まれている深圳湾エリアを調査。また隣接した大沙河川公園とMixC ショッピングモールエリアも調査範囲でした。
ショッピングモールエリアでは、多くのライトアートが見られ、無機質な都市景観に彩を与えています。深圳湾ウォーターフロントに面したタレント公園では、多くの挑戦的な照明手法が見られましたが、全体的に無計画な印象があります。
眩しい光や歩行の安全に不十分な光、また光害やエネルギーの無駄となる様な照明手法が指摘され、照明デザイン的に多くの改善の余地があります。
それに対し、大沙河川公園では目的にかなった計画的な照明デザインが見られ、夜間住民に対し快適で落ち着きのある場を提供しているようでした。

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④プレゼンテーション プレゼンテーションパネル & プロポーザル
Team D : Shenzhen Bay

” 星空を街に戻す”

我々は、2030 年に深圳湾の夜景が、今よりも美しく、芸術的でコマーシャル的でないものになる事を望んでいます。未来の深圳湾の夜景は、都市のスカイライン、自生するマングローブ林や、飛来する多くの渡り鳥と言った大切な自然環境、また人々とバランスの取れたものであって欲しい。
これらを実現するには、以下の提案が2030 年に向けて実施されるべきであると考え提案しました。
– 都市の夜景スカイラインの鑑賞ポイントを再計画する。(最も美しく、印象的な鑑賞ポイント)
– 最低限の照明を使い、最も美しい夜景を創る。
– ファサード照明を一般にも開放し、双方向のコンテンツを創造する。
– 環境にやさしい照明。(ミニマムな光の強さや、照明器具の数、夜空に光害のない照明、 高効率な照明器具、眩しさの無い照明)

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④プレゼンテーション 街歩き報告
Team E : OCT Area 深セン市中心部の華僑城(OCT)

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深圳市中心、南山来に位置する華僑城(OCT)エリアは、緑豊かな街並みにオシャレなレストランやデザイン事務所などが集まり観光客も注目するハイセンスなエリア。急速な発展が進む深圳で昔ながらの暗さが残る貴重な場所です。
ここのやや薄暗い照明は、とても静かで平和で、そして懐かしくゆったりとした雰囲気を作り出しています。
この「暗い」環境はエリア全体で保持すべきものだと考え、このエリアのテーマを「rousty night( 錆の夜)」としました。
「錆」は美しい夜、昔の夜、暖かい黄色の夜、ゆっくりした夜、思い出の夜、一人きりの夜など複数の意味を持っています。この穏やかな雰囲気を壊さないように、より安全で快適な照明の将来像を探りました。

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④プレゼンテーション プレゼンテーションパネル & プロポーザル
Team E : OCT Area

“Illuminating the street furniture that the public loves, Outside Living Room”

このエリアは、広大な敷地に住宅・オフィス・商業施設・レストランやバーが混在し、夜も楽しめる場所になっています。しかし照明はほとんど10 年前に設置されたもので、灯具の老朽化の問題があり、夜は暗くなっている場所が多く見られます。
“暗さ”と“文化”の個性を維持しつつ、安全性と快適性を確保するために、「Function Lighting」、「SpotLighting」と「Fun Lighting」という3 つの照明手法を提案しました。
「暗い」環境を維持し、道路機能照明の基準を下げ、より人間的な暗い環境を提供し、照明使って屋外のリビングルームを作り、鮮やかな光と影の効果を作り出し、見捨てられた角に注意を払う。 そして最後に街の「暗い」場所をぬけると出会える一枚の「絵葉書」のようなアイコニックな景色を創ります。

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④プレゼンテーション 街歩き報告

Team F : Shuiwei Village 古くから残るエリア

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現代化が進む深圳市内で失われつつある40 年前風景を今に残すShuiwei Village は、活力に満ちたエリアで地方から出てきた夢見る若者に隠れ家的場所を提供するの最初の拠点となっています。
Shuiwei Village の現在の夜間照明の全体的な印象は、この地域の特性を反映しており、商業用街路照明は有機的な生活感と独特の美的感覚を生み出しています。
1368 文化地区は前衛的で、創造的であり、そのままの状態で保全する価値があります。
しかし、Shimen Village 入り口の照明のグレアやCulturalSquare のハイビームの照明や道路の照明の欠如など、まだまだ改善が必要な箇所もあるとの指摘もありました。

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④プレゼンテーション プレゼンテーションパネル

Team F : Shuiwei Village 古くから残るエリア

2030 年の水辺の風景

2030 年のShuiwei Village は、コマーシャルストリートと1368 カルチュラルストリートの照明は保全されるべきであり、よりオープンマインドでインタラクティブ、共生的で、技術的にも特徴的であるべきであると主張。
人を中心とした洗練されたデザインのコンセプトとは、路面の照明を改善し、光源のまぶしさを細かく制御し、夜景における伝統と現代の融合と共生を可能にし、完璧なバランスを見出すことに重きを置くべきである、とプロポーザルを締めくくりました。

⑤パネルディスカッション

深圳夜景2030 というテーマでパネリスト7 名でディスカッションを行いました。

パネリスト:Liang Shuming: 中国都市計画研究院 照明主事/Xu Dongliang:  東亮国際照明デザイン(北京)センター代表/Yang Wei: ハルビン工業大学建築学院副学長/ 面出薫:照明デザイナー、日本/Jan Ejehed: 照明デザイナー、ストックホルム/Gustavo Aviles: 照明デザイナー、メキシコシティー/Lisbeth Skinbjerg Kristensen: 照明デザイナー、コペンハーゲン

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各パネリストのコメント

面出:
深圳は、とても進んだテクノロジーと光の都市計画を持つ美しい夜景都市。テクノロジーに支えられた美しいメディアファサードが印象的だが、この光の変化は周辺住民の生活に影響を及ぼしている。中国は「Green development, Green lighting」を推進しているが、今後テクノロジーの発展とともに深圳の都市照明がさらに環境に良い形で発展することを信じている。今回の街歩きで発見した英雄を更に発展させ、犯罪者を減らすことにより、深圳都市照明の更なる発展と適正な光環境を期待する。

Ejehed:
深圳は活力があり若々しい都市。一方でいくつかの場所は私には明るすぎと感じた。それは「夜が夜でない」、「毎日がクリスマス」のようだ。まずは動きのないスタティックな光のシーンを設定すべき。そして今後の発展とともに、街はよりダイナミックで変化に富む必要があり、地区ごとに光を変化させたり、よりインタラクティブな光を増やす必要があるだろう。

Kristensen:
他の国々と比べ、光の構成がとても変化に富んだ街だと感じる。そして深圳の夜景は刻々と多様な変化をみせる。私は常に光と建築を関連付けて考える。深圳の未来の光は、歩行者が建物(目的地)を見つけやすいようになると良いと思う。都市全体としての光を考えると、どのファサードをより明るくすべきか、そうでないか、時間の流れに沿って明るさや動きのあるシーンを設定したり、場所ごとに適切な光を創造したり、都市のファンクションを区別するために光を活用すると良いと思う。

Aviles:
深圳の若者の目には炎と情熱が宿っている。それが深圳を短期間でここまで発展した街にした理由なのだと思った。深圳湾沿いの歩道や周辺環境の照明デザインはとてもバランスがとれており、よく管理されている。しかし同時に、光害などの問題も発生している。
将来は市民のニーズを理解し、光によって彼らとの関係性を改善し、テクノロジーによって市民がより個々にパーソナライズされた光の体験ができるようにすべきだ。

Yang:
光のデザインにおいて、梁教授が言う「個人と全体」を考慮に入れることは、人と街と環境という関係を考える上でとても重要になってくる。良い照明デザインは時代や人々によって変化するが、個人的には光の存在を感じさせず、私の子供を連れて行きたくなるような場所が、良い光環境だと思う。
未来の深圳だが、まずはテクノロジーが深圳の代名詞となる。テクノロジーを通して、歩行者に優しい光、実験的な試みを推進すべき。
そうした試みを通し、市民の要望が明らかになるだろう。次に、目まぐるしく変化する光のスピードを落としたり、お年寄りに優しく、市民が自ら深圳の街を作る機会を増やし、都市の利便性や多様化する条件を考慮に入れた光のデザインを考えていくべきである。

Xu Dongliang:
「余分な光を減らし、発光する素材を使う」ことが、照明業界で話題になっている。
光には感動、快適、安定という3 つの要素がある。プロのデザイナーは快適さと安定をまず考慮に入れたうえで、感動的なライティングショーを作ろうとし、それが足枷となっている。
2030 年の深圳の光は、テクノロジーと美に根差したものであるべきだと思う。景観照明は基本的に美を追求したデザインに回帰すべきだ。深圳は優れたデザインの街なので、光のデザインが建築のデザインに良い影響を与えるかもしれない。未来の光は建築をより際立たせ、街全体がよりダイナミックになるべきだ。

Liang :
私が最初に手掛けた深圳の光のプロジェクトは「深圳特別経済地区道路照明計画(2000-2010)」だった。それは基礎の実用的な照明のニーズを満たすことから始まったが、この照明という限られたトピックを深圳の街全体の発展と関連づけた。
過去40 年の深圳の急発展は、特に光の都市計画とそれが実現したことにより、注目すべき結果を残した。少し前まで光のデザインと言えば、都市の印象に貢献することにフォーカスしていた。しかし未来は我々は市民のニーズや歩行者の目線、そして彼らの要求をテクノロジーや芸術を通し反映すべきだ。
50 周年を迎える2030 年には、深圳はイノベーションを保ちつつ、より成熟した都市となるだろう。様々な年代の市民を考慮し、自然と調和した光環境をつくることは、都市の先駆者としての究極の目標だ。都市の照明の質を改善し、計画に基づいた政策を遵守し、計画、デザイン、管理の質を更に高めていくべき。
2030 年の深圳の夜景が私たちすべてが待ち望むようなよりよいものとなっていることを確信している。

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