街歩き・サロン

第42回照明探偵団街歩き 「東京駅エキナカ」

2011年11月14日 

照明探偵団街歩き 「東京駅エキナカ」
銀の鈴に集合し、街歩きのオリエンテーション。待ち合わせ場所の銀の図すは全消灯しており、目立たない印象

照明探偵団街歩き 「東京駅エキナカ」
過剰なダウンライト

照明探偵団街歩き 「東京駅エキナカ」
コントラストが効いていて、雰囲気がよい_商品棚200lux_直下170lux_通路V120lux

照明探偵団街歩き 「東京駅エキナカ」
商品棚300-500lux_3000Kで統一感があり雰囲気がよい

照明探偵団街歩き 「東京駅エキナカ」
待合室の照明は快適であるかを検証。

照明探偵団街歩き 「東京駅エキナカ」
通路の照度を計測。

今年最後の街歩きは東京の玄関口「東京駅」。一日100万人以上が利用している構内につくられたショッピングエリア「エキナカ」を歩き、人を引き寄せるあかりを調査してきました。

企画の主旨

2001年、大宮に「エキナカ」と呼ばれるショッピングエリアの出現以来、近年続々と「エキナカ」は誕生しています。

東京駅では2007年に「グランスタ」のオープンし、2010年3月「ecute」、12月「グランスタダイニング」、2011年3月「京葉ストリート」と立て続けにオープン。 その他、東京駅構内には「元祖・エキナカ」ともいえる「東京銘品館」があります。今回の街歩きでは、これら6つのエキナカの照明を比較することにより、照明の果たしている役割と、震災以降の節電?消灯の影響ついて検証しました。

調査方法

今回は照度や色温度の記録はもちろん、記入表を全員に配布して快適性・明るさ感・色温度に対しての5段階評価を集め、感覚的な評価の定量も行いました。さらに、節電が続いている状態を評価することで、この状態で問題のない明るさなのか、必要かつ十分な明るさとはどういうものなのか、ということに関して各自で熟考する良い機会になりました。この点についてはサロンでさらに議論を深めてまとめていきたいと思います。

調査開始!

集合場所は東京駅の待ち合わせスポットとして親しまれている「銀の鈴」前。

節電により上下に設置されているLEDのスポットライトは全消灯されていたのですが、待ち合わせ場所というランドマークとしても、ここは数台で鈴を照らしてあげた方がよいなと感じるスタートでした。

今回は人通りが特に多いエキナカという場所で、“興味深い光環境を探してはさっと照度を計り、ぱちぱちと写真を撮りそして即座に立ち去る!”と言った鉄則の基、我ながら団員としての動きが身についてきたなと実感した調査となりました。
(井本有衣子)

調査結果

6ヵ所回ってみて特に感じたのは3つ。まず、多様な要素が混在している事。それらが小さなところに詰め込まれている事。そして、それらの要素がなるべくケンカしないよう気を遣いあっている事でした。

一つ一つのエリアでは、贈答菓子系・小物系・飲食店系といった具合で大まかな分類がされてそれぞれのまとまりができています。しかし、例えば贈答菓子の中だけでも、洋菓子あり和菓子ありクラシックなものありモダンなものありで、見せ方も見せたい色味も異なり、それぞれのショーケースから見えてくるものは全く違います。

このような多様な店舗がエキナカという小さな空間に所狭しと並んだ結果、すぐ隣どうしに色温度の違うショーケースが並んだり、スポットライトの光が隣まで明るくしてしまったり、というような状況が起こっています。また、天高が低くて狭い通路のベースライトも直接入ってくるため、それぞれの店舗が自分の商品に合った照明手法を100%採用するには程遠い状況といえるでしょう。しかし、今回の調査ではそんな中でもなるべく騒がしい光にならないように、商品の魅力を見せるため以外の無駄な装飾はせず、エリアの雰囲気を壊さないように気を配って器具選びや調整を行っているように感じられました。共通のコードがあるのか自然とそうなっているのかはわかりませんが、その気の遣い方は下町の路地の雰囲気と似ているのかもしれません。

各店舗の心配りはそのままに共通の通路部分の照明をもっと落ち着いたものにすれば、東京駅を通るたびに毎回立ち寄りたくなるような居心地を作り出せる可能性を感じました。
(三宅 博行)

照明探偵団街歩き 「東京駅エキナカ」

感想

「集い」という年間テーマにのっとった東京駅エキナカの調査は、公共空間としての駅、各エリアでコンセプトの異なる商業空間としての駅、その2つがからみあい、そして震災の後というタイミングで、非常に興味深い調査でした。面出団長と同じ班だったので、なかなか他ではきけないような話も聞けてためになりました。このような経験ができたことは非常に大きいです。ありがとうございました。 
(高橋祐司)

エキナカはお店が密集しているにも関わらず独自の照明設計をしており、また節電の影響もあってそれぞれが特徴的な明るさと雰囲気を持っていたため、団員同士の議論も非常に濃い内容となりました。特に節電については、【より効率的で心地よい節電とは何か】にフォーカスを当てた非常に有意義な議論が出来、大変勉強になりました。企画に協力して下さった団員の皆様、SQUADの皆様には改めて感謝いたします。ありがとうございました。
(松山 篤史)

今回の街歩きで思ったことは、自分が気にならないような照明でも他の人にとっては気になったり、節電の手法も疑問点が違ったりなどが面白かったです。貴重な経験をさせて頂いたことに感謝しています。ありがとうございました。
(高橋秀寿)

今回、同じ駅の中にある複数のエキナカを比較することで、<心地いい光とは何か>を考えることができて有意義な調査でした。照明手法自体はどこも珍しいものではありませんでしたが、空間全体を考えて丁寧に光を重ねていくか、それを考慮せず単に照明器具を配するのでは、できあがった空間の完成度が全然違うということを改めて認識することができました。
(菅原千稲)

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