2015.10.03 古川智也+坂口真一+田村聡+玉野有花+岩永光樹+東悟子
光と水の都市大阪。大阪は新たな都市の魅力として、この2つのキーワードに関連した数々のプロジェクトを行ってきている。なにわの光の魅力と課題は何か。関東からも10名の団員が参加し東西の団員集まっての街歩きとなった。
ぜひ、大阪で街歩きがしたい。そんな言葉から今回の企画はスタートしました。大阪らしい光はなんだろう、大阪の光の英雄は?大阪が取り組んでいる光の街づくりはどんなだろう?そしてなにより、大阪の人にも街歩きを体験してほしい。東京の人が大阪の夜をみたらどんな感じ?そんなコンセプトで今回の街歩きは実現しました。東京からは10名、そして地元大阪から28名の方が参加して、金曜日で人が溢れかえる大阪の街を歩きました。
(坂口真一)
■オリエンテーション
オリエンテーションの様子
護岸のライトアップを説明する田中団員
川から見ると大阪の光の在り方がよく観察できる
大阪の夜景と言えばこのグリコ看板
中之島バンクスのカフェを貸しきって開かれたオリエンテーション。東京の街歩きにはなかなか参加することが難しい照明探偵団関西メンバーも集まり、会場は熱気に溢れていました。面出団長の挨拶を皮切りに、田中謙太郎さんによる大阪が取り組んでいる「大阪光のまちづくり計画」の解説、大阪の照明デザイナー長町さんの街歩きルートの説明があり、これから出会であろう未知なる光の事件に心が躍りました。
街歩きは関西在住チームと関東在住チームの2班に分け実施。それぞれを面出団長と長町さんがリーダーになり引率。関西チームは面出団長の意見を聞きながら、関東チームは長町さんの大阪の解説を聞きながら歩くという趣向にして、それぞれの光の感じ方に違いが出るかも比較してみることにしました。
(岩永光樹)
■堂島大橋~天満橋
まず堂島大橋の袂から遊覧船にて中之島沿いを上流に向かい進みました。橋にはそれぞれに工夫された美しいライトアップが施されており、「水都」の表現を堪能できました。高速道路の高架橋の柱など、魅せるのが難しそうな箇所も、きれいな光があてられていました。私の一番のお気に入りは、波打つ水面を照らしていたところで、揺らぎが非常に心地よかったです。川から眺めるライトアップ、臨場感たっぷりで最高でした!
(田村聡)
■道頓堀界隈
遊覧船を降り、タクシーで御堂筋を南下、道頓堀へ。大阪を代表するグリコのネオン看板はリニューアルされ、LEDが導入されました。…が、ここで賛否両論、関東メンバーは「大阪らしい!」、関西在住メンバーは「前のほうがよかった」という意見が多く聞かれました。
道頓堀川沿いはどの店も川に表を向けており、川と人との関係が近く感じられました。川の至る所に集う灯りが施され、川べりの賑わいを創出していました。
法善寺ではガス灯を発見。伝統的な灯りの傍ら、明るいスポットライトが残念でした。横丁や路地では、赤提灯が良い雰囲気を作り出していたように感じます。
(玉野有花)
■新世界と飛田新地
大阪のシンボル「通天閣」は、演色性の高いカラフルなLEDの光が高度に点灯制御され、小気味良く変化する4面の広告と相まって、光の英雄でした。ただ、脚部天井に復刻された、花園とクジャクの絵画の照明では、光源が写り込んでいるのが気になりました。一方、飛田新地エリアの街路灯と看板照明は、フォルム・色温度・配灯が統一されており、オレンジ色の光でゾーニングされた光景は、他の都市では見られない特別なものでした。
(古川智也)
さまざまな看板が夜の賑わいを作っている
長町さんの解説を聞きながらの街歩き
どの店舗も川を向いて建っており、水と人とが近い関係にある
通天閣
■懇親会ーそれぞれの英雄と犯罪者
懇親会は大阪の近代建築を代表する芝川ビルのテラスで開催。外の気持ちいい空間での懇親会はざっくばらんに話すにはとてもいい環境でした。各チーム英雄と犯罪者5つを選び発表。関東と関西チームに分けたのがよかったのか、でてきた英雄と犯罪者は全く違うものでした。関東チームの英雄No.1はグリコ看板。アイコニックな看板はやはりなにわのあかりを表す象徴として選ばれたようでした。犯罪者No.1は輝度の高い防犯灯。一方関西チームの英雄No.1は飛田新地の統一された看板や行灯。犯罪者No.1は眩しい防犯灯でした。
犯罪者のワースト1が東西共通して防犯灯だったのが、日本中どこにいってもLED化されて眩しくなってしまった防犯灯の問題点を浮き彫りにしてると感じます。移動距離が長く、盛りだくさんの街歩きとなりましたが、地元の人も見方が変わった、新しい発見があったなど、うれしいコメントを多く聞けてすばらしい会になりました。 (東悟子)