街歩き・サロン

第73 回街歩き: 麻布台ヒルズ&虎ノ門ヒルズ

最新スポット麻布台ヒルズ~虎ノ門ヒルズの夜間景観を観察
2024.0 5.10 坂口真一 + 小谷弥+ 小口尚子+ 中山由子

昨年9月開催の街歩きから8か月。久しぶりの街歩きは今年一番の注目エリアの麻布台ヒルズと虎ノ門ヒルズステーションタワー。最新スポットを43名の大所帯で街歩きしました。

東京の最新スポット麻布台ヒルズと虎ノ門ヒルズステーションタワーと2 か所の街歩き企画。
見るところ満載でほとんどの班は麻布台ヒルズ中心の街歩きとなってしまい、虎ノ門ヒルズステーションタワーは時間切れで速歩きで通り抜けるだけなってしまったようです。
 見どころ沢山の2 つのエリアを歩きたい団員も多かったようで、今回は40 名を超える参加となりました。4 つの班に分かれて歩きましたが、似たようなコースとなってしまいました。

■ 1 班

1 班は、麻布台ヒルズをメインで調査。麻布台ヒルズ最初の建物ガーデンプラザ入り口では「奥ゆかしいウェルカムマット」として、自動ドアにみ埋め込まれた照明が満場一致の英雄。従来は天井面に存在するダウンライトでエントランスの照度を確保するかと思いますが、扉と一体化させることで扉にも影が出ず、綺麗なエントランスとなっていました。この手法を活用すれば誘導灯設備等の干渉の心配がなく、床面照度をしっかりとれます。
 ガーデンプラザを抜け外に出ると、ランドスケープの照明はぐっと抑えてあり、お店の照明につい吸い寄せられてしまいます。その中でも目をひくのは折り紙のような天井面を持つ建物のエントランスで、天井の凸凹を自然な感じで浮きあがらせている照明でした。しかし中に入ると傾斜天井に光束が高いダウンライトが設置されているためとても眩しくなっていました。
有線系の天井デザインの意図とダウンライトの丸い形が喧嘩している印象を強く受けました。
また、色温度の異なる照明器具を使用しており、どういう意図なのかという議論になりました。
 次に、天井が赤く染まるほど赤色詐欺をしているスーパーを通り抜け、曲線に合わせた間接照明とグレアレスダウンライトで織りなされる品の良い素敵な空間を調査して麻布台ヒルズの調査は終了。
 その後、残り時間少ない中、虎ノ門ヒルズステーションタワーを通り抜けついでに調査。外装部の軒下にシンボリックな映像を映し出していて、付近から目視できるランドマーク的な存在になっていました。遠景( 頂部、高層部)、中景( 飛び出したボリュームの部分)、近景( デジタルアート部分) で違った照明の顔を持ち、建築の良さをしっかり引き出していて、見ていて面白い建物でした。 ( 小谷弥)

■ 2 班

このスポットライトは何を照らしているのか

 2 班は麻布台ヒルズから森JP タワーを抜けて中央広場から桜庭通りと街歩きしました。新しい麻布台ヒルズには英雄ばかりでは??と思っていましたが、いくつかの犯罪者も発見することができ、久しぶりの大人数の街歩きは懐かしく、新鮮な気持ちで歩くことができました。
 まず、みんなが関心をもったのがNOA ビル!外のちょっと不気味な感じと対比する入り口の照明はHERO と評価する方が多かったのがちょっと意外でした。
 次に森JP タワー入り口には英雄と犯罪者が交錯。外壁の明かりは上部からの間接光と前面からのスポットライトで高照度と均一度を保っており高評価だった反面、立体文字の影が伸び、間接照明ってやはり難しいと思いました。
 中央広場にでると、どこを照らしているんだろうという照明が!!これは是非、設置した方に何を照らしているのか?その意図は聞いてみたかった!!
 桜庭通で印象的だったのは植栽のライトアップ!ここは丁寧にライトアップされている感じがしました。そしてやっぱりディオールとカルティエの色の違いが金と銀でとても印象的で素晴らしかったです!
 いろんな表情をみることができた麻布台ヒルズ周辺でしたがもう少しゆっくり時間をかけて歩いてみるともっといろんな発見ができるかもしれません。そしてやっぱりどこでも東京タワーは一番目立ちました。(坂口真一)

■ 3 班

橋から見える景色 高層は色温度が高く、低層は低い

3 班は麻布台ヒルズから虎ノ門ヒルズステーションタワーにかけて調査しました。
 レジデンス付近の橋から見える高層のJP タワーは、上層部に高さを強調する縦のシンプルなライン照明が施されており、対して低層の商業施設は、暖かみのある色温度で建物全体が柔らかくライトアップされ、景観としてこの2 つのバランスがちょうどよく、英雄となりました。
 対して、視点場となった橋の手すり照明が他に比べて白く唐突で違和感があり、せっかくの麻布台ヒルズの世界観がここで途切れてしまう印象があり犯罪者となりました。
 タワープラザ中央広場の大屋根はどの角度から見てもグレアがなく、大きなキャノピーの独特な構造が照明によって美しく表現されているという意見に対して、建物内の色温度よりも高めの設定になっているのが不調和に感じる等、賛否両論が飛び交うインパクトのある空間となっていました。
 虎ノ門ヒルズステーションタワーは、タワーの屋外エントランスの天井に動きのある照明演出が施されており、視点を上に誘導させることでステーションタワーのスケール感を感じることができると好印象。また屋内に入った時に最初に目に入るアトリウムの天井スリット内の照明は、幾何学的な躍動感のある天井を光の反射や煌めきで近未来的な印象にみせているという意見がある一方で、演出の為とは言え見る角度によっては横から発光しているのがとても眩しく感じるという意見もありました。
 虎ノ門ヒルズ界隈は縦に拡がる直線的なフォルムや計画が多く照明も都会的でシャープな印象に対して、麻布台ヒルズは横に拡がる流れのある計画でライトアップは華美にならずレジデンスも色温度に気を使っていて、街全体が優しい印象を受けました。対照的な街の計画を同時に調査することができ、とても興味深い街歩きになりました。(小口尚子)

■ 4 班

4 班は神谷町駅を出発し、増上寺を経由して麻布台ヒルズへ向かいました。その道中で特に注目を集めたのが、増上寺大殿の正面側から見渡す「増上寺、東京タワー、高層ビル群が連なる景観」でした。まさに、東京らしい混沌とした景観を象徴していました。私たちがこの東京らしさに気づくことができたのは、闇夜のキャンバス上に異なる時代の建造物の光が浮かび上がっていたためであり、忙しく動き回る昼間には見落としていた日常の一部であるように思えます。班員達からは「増上寺がライトアップを
していないからこそ、東京タワーの光がより一層際立っている」、「東京タワーの光が増上寺を夕日のように照らしている」という意見がでました。東京の都市夜景とは、異なる時代と用途の建造物が共存し、互いの存在を引き立て合うことで生まれるものだと改めて実感しました。
 その後、麻布台ヒルズへ到着し、最先端の照明計画を堪能しつつも、私たちは再び東京タワーの光に感銘を受けました。夜の麻布台ヒルズでは、ラグジュアリーブランドの店舗が各々光り輝いており、特にCartier のゴールド色と東京タワーの電球色の調和が目を引きました。さらに、増上寺では遠目だった森JP タワーを間近で見上げると、ファサードのスリットを光らせる間接照明の美しさにも目が奪われました。窓明かりが織りなす光のグラデーションからは、都会の息吹や人々の暮らしの躍動を感じること
ができます。東京の都市夜景はまるで一つの巨大な芸術作品のようであり、その構成要素として私たちも存在していると思えました。
 今回の街歩きでは、東京タワーの光は都市のシンボルとしての存在感を示し、その光が周囲の建造物や街並みを美しく彩っていることを確認できました。そして、増上寺や麻布台ヒルズの景観は、東京の街並みの多様性や活気、そして歴史の厚みを学ぶ機会を与えてくれるものでした。(中山由子)

増上寺,東京タワー,高層ビル群が連なる景観

 街歩き初めての団員が参加者の半数近くを占めた会で、楽しんでいただけるか、私も緊張しましたが、それぞれ街歩き中の意見交換や議論も活発に行われたようで一安心。街歩き後の懇親会でも楽しまれた様子が見て取れ、幸先の良い街歩きとなりました。次回の街歩きは夏に武蔵小杉の予定です。是非ご参加下さい。(東悟子)

おすすめの投稿