TOKYO NIGHTSCAPE 2050 〜21世紀の東京夜景〜
日程:2004年10月13日~11月8日
場所:松屋銀座7階・デザインギャラリー1953
2050年の東京夜景
2050年の東京の夜は暗くなっているのか、はたまた明るく輝きを放っているのか。様々な推測が言葉・模型・映像を駆使して表現された展示会が行われました。
実は今回の展示会は、1998年に東京・五反田のデザインセンターで行われた『2050TOKYO夜景展』の内容を新たな切り口で表現したもの。前回の展示会で建築家、デザイナー、評論家、写真家など分野を越えて参加した119人のプロフェッショナルたち=予言者の方々に作成頂いた色紙やインタビューした素材を元に再編集して行われました。
前回の展示会から早6年。6年前に考えた2050年の予想図が完全に違うものになってしまうことは無いにしても、21世紀に突入して2050年がよりリアルな手の届く未来に迫ってきたように思います。
2050年のHOME・STREET・CITY
2050年の人々の生活を示す模型として、住宅HOME・街路STREET・街CITYという3種類が武蔵野美術大学・面出ゼミの学生の手によって作られました。照明器具は無く発光面が点在する住宅、街路灯の無い街、いくつもの層となって輝く街、など多少の願望と飛躍した想像を含みつつも実現の可能性が随所に見られる都市像が描かれました。
[HOME]
- 照明器具は見当たらない
- キャンドルライトの装飾的な照明器具のみが生き残る
- 床・壁・天井・テーブルトップなどが大胆に面発光する
- 発光面は照明機能のみならずTVや新聞などの情報を伝える
- 太陽光を採り入れるための大きな調光制御ガラススクリーン
- 自由に空間の輝きかたを操作する
[STREET]
- 道から街路灯の姿が消えうせる
- 車が輝き、歩行者が輝く
- 道は照らされずに発光する
- 人と車の通行レベルは完全に分離する
- 車線が輝き、車の運転はかなり自動制御化される
- 緑化は進み街路樹や草木がO2をたっぷり排出する
[CITY]
- 街全体はボオ~っと暗い
- 商業集積と24時間業務中心のみ異様に輝いている
- 幹線道路と交通システムのラインが浮き立つ
- 皇居のような緑地帯が増える
- 粒子のような輝く人や家々が点在する
- レイヤー①地図、②興奮/商業、③輝線/道、④緑、⑤粒子/住宅
光はどこへ向かうのか
壁面いっぱいに並んだ予言者の方々の言葉を拾っていくと、おぼろげながらも2050年の東京夜景が見えてきます。
- わずかなこと・ほのかなこと・よわいこと・おぼつかないことが大切。月の明かりがわかる程度の夜の都会であって欲しい。(松岡 正剛)
- 光る個体が闊歩するのだ。(島田 雅彦)
- 空間を照らす照明から、局所的、個人的な光に変化する。粒子化した光が森の中に点在する風景。(隈 研吾)
- 透明感を増した均質な社会になっていく。身体も建築もデジタルな社会になり、ブラウン管越しにみる映像の風景のような半透明に近い世界が想像される。現実でありながら一方で夢の中にいるような世界が強まっていく。(伊東 豊雄)
- 「明るくても暗い」離散的な光のアノニマスが成立する。光は音楽(光楽)のようになっていく。ブラックホールのような光を吸収するマイナスの電灯の出現が待たれる。(原 広司)
全てが暗闇に覆われてしまう訳では無いけれども、決して均一に明るさが分布している、という景色ではない。必要とされる明るさが都市に点在して、ところによってはとても強く発光している。その光が規則的に制御されつつも、人間の根本が求める灯火のようなあかりのあり方もどこかで求められ続けている。そんな景色を私は想像しています。さて2050年、あなたはどんな光があって欲しいですか?