街歩き・サロン

第14回照明探偵団街歩き 日本科学未来館編

2002年5月17日

街歩き2002:日本科学未来館編
街歩き2002:日本科学未来館編

今回の街歩きは、 LPAが照明担当した日本科学未来館を皮切りに、最後はヴィーナスフォートまで、お台場をターゲットとして行われました。なぜか、雨の日が多いといわれる街歩き… 残念ながらこの日も生憎の雨となっていしましたが、総勢16名もの参加者が集まり、決行されました。
集合場所である日本未来科学館では、館内は午後5時の閉館時間を過ぎていたため見られませんでしたが、面出団長から外観照明についての説明がありました。科学館のアトリウム外壁面のガラスリブ端部には、蛍をイメージした LEDが光源として仕込まれています。このLEDは、その場の風力によって光源の輝度が変化して発光する仕組みになっており、静物である建築に見飽きない表情の変化をもたらすようになっていました。また、ここ未来館付近は、 ‘ 95年に青島前都知事の決定により、幻に終わってしまった「東京フロンティア計画」(世界都市博覧会)の計画地でもありました。団長からは、様々な建築家が参加して、博覧会という束の間の「まち」をつくろうとしたこと、実現はされなかったがその経験は今でも役立っている、などということが語られました。

そして、日本科学未来館から‘ゆりかもめ’に乗って国際展示場前のシンボルプロムナードへ。ここでは、キーワードとして「低色温度・低照度・低位置」があげられ、低い所の光を上手く使おうとした試み、都市軸を意識した軸線照明の実践を垣間見ることができました。また歩行者を意識して、シンボルプロムナード交差点では床埋め込みの光ファイバーや LEDが、人を飽きさせないように15分間隔でオペレーションされているという話が聞かれました。この15分間というのは、ラスベガスのライトショーでも使われているように、歩行者を惹きつけていられるギリギリな時間単位のようです。ときには15分といわず、もっと心と時間の余裕をもって、立ち止まってのんびり過ごしてみたいものですね。

最後には、一同、懇親会場のあるヴィーナスフォートを目指しつつ、降りしきる雨の中を夢の大橋を見ていきました。大橋を渡る直前には、残念ながら点灯していませんでしたが、建築家の渡辺誠さんが ‘ 97年に北米照明学会賞を受賞した「 FIBER WAVE」がありました。これは幅150mm、高さ4.5mのしなるファイバーポールの先端に、太陽電池とLEDが付属し、それが風にそよぎ太陽エネルギーによって発光するという、非常に繊細で美しいエコロジーなアートです。ただ、ちょっと残念だったのはその足元。通行人がむやみにアートを傷つけないための安全照明なのでしょうが、メタルハライドランプが丸見えで、作品をバーンと照射していました。これではせっかくの繊細なアートが、丸潰れになってしまいそうな感じでした。「おしゃれは足元から」とはよく言われることですが、いい作品だからこそ、そのフィニッシュまで気を使ってほしいと思いました。

煌々とライトアップされている夢の大橋は、シンボルプロムナードから歩いてくると以上に明るく、お祭りを彷彿させるようなポール灯の足元では36ルクス、橋の中央付近でも28ルクスの明るさがありました。大橋を渡ったところで、一同いよいよ体も冷えてきて、ヴィーナスフォートへ。懇親会では学生も多く、将来の話に花を咲かせ、それぞれ盛り上がっていたようでした。

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