2013年9月9日
スカイバスツアーのレビュー
今年2回目となるサロンは、スカイバスツアーのレビュー。班に分かれての街歩きではなかったので、発表は個人個人となりました。
街歩き当日に出された課題の回答を、各々で持ち寄りました。少ない参加者でカジュアルな発表となったのですが、全員が意見を言える場になり、充実した時間となりました。
まず、スカイバス前列ですべての道程を1秒1コマ3000枚撮影した画像を、10分間の動画のように編集したものを鑑賞しました。動画とはちょっと違う独特な画像が面白く、参加者一同大絶賛。そのスライドを見ながら、当日のことを思い出し、場面場面で各自が感じたことを言い合いました。
『いつもと違う目線から東京の街を見る』という今回の企画は、街に潜む問題点を浮き彫りに。
配光がきちんとされておらず、意味のないところを眩しく照らしているスポットライト、空を煌々と照らしている看板用の投光器、人通りが少ない歩道を高いところから照らしているポール灯など、問題点を間近に見ることができたという感想が多くきかれました。屋根のないバスから撮影された写真を改めてみると、どれだけ無駄な光が空に飛ばされているかが、雲に反射している光の量ではっきりわかります。
豊洲の新しいマンション群の写真からは、温かい灯りがもれてくる家がずいぶんと増えてきており、暮らしている人の照明に対する興味を反映してきているのではないかという意見もあがりました。
その他、入ってみたくなる魅力的なファサード照明の店と、あまり入りたくない店とを、銀座の写真で比較して見せてくれる方もいました。
サロンに参加された方々は、きちんと写真やデータ、感想を整えてこられるので、街歩きの時には気づけなかったり、言葉に置き換えていなかったものを、きちんと整理できるとてもいい機会になります。やはり街歩きを行うだけでなく、サロンと2つセットで行っていくことに意義があると、改めて実感できたサロンになりました。
今年の街歩きとサロンはこの回が最後になります。12月に行う予定になっている照明探偵団年間活動報告会では、サロンの内容も含め、2013年に行った活動を発表いたします。世界照明探偵団フォーラムなどの、なかなか参加頂けないイベントも紹介しますので、是非ご参加ください。
(東悟子)
参加者からの感想
初めて探偵団のイベントに参加し、サロンでは「夜空への漏れ光」をテーマに報告させていただきました。
上方光束を抑えることは、エネルギー節減・生態系への影響・夜空の明るさ(星の見え方)などの観点から重要な意味をもちますが、まだそのことが一般には十分に認知されていないように感じています。バスツアー当日は低い雲が垂れこめ、夜空への漏れ光の観察には絶交の条件(?)でした。大型観覧車のイルミネーションを反射してカラフルに染まった雲、高層ビル屋上の壁をライトアップする上向き照明からの漏れ光…。お台場からは、湾を挟んで都心部上空の雲全体が明るく照らされていることが観察できました。改めて認識したことは、全体的な明るさに加えて、数ヶ所のスポット的な明るさが見られることです。特定の施設が使用している強烈な上方光が、夜空の明るさに大きく寄与していると思われます。
このイベントに参加したことで、光害啓発の重要性を改めて感じることができました。
(越智信彰)