2015.05.29 古川智也 + 田村聡+ 坂口真一 + 山本雅文
新宿コマ劇場周辺が新しいビルに建て替わり、セントラルロードも一新された歌舞伎町。新しいビルの出現で歌舞伎町にも変化があったのか。再開発地区を中心にその周りも街歩きしてきました。
新宿東口からでて少し歩くと日本を代表する歓楽街歌舞伎町へでます。ネオンが眩しい印象の歌舞伎町ですが、2008 年にコマ劇場が閉鎖され、その跡地に今年新しい顔となった東宝ビルがオープンしました。そのオープンに伴い、歌舞伎町の表情に変化はあったのか。東宝ビル周辺と一人ではなかなか踏み込めないディープな新宿までを街歩きしてきました。
■ 1 班:セントラルロードエリア
1班は、新宿コマ劇場跡地の再開発プロジェクトとして建設・整備された、新宿東宝ビルとセントラルロードを中心に、一番街、花道通り周辺を調査しました。セントラルロード入口に新設された青色LE
Dのカギ型ポール灯は、ミニマルなデザインと爽やかなスカイブルーの光によって認識しやすく、生まれ変わろうとする歌舞伎町を象徴する存在でした。新宿東宝ビルの妻面に仕込まれたLED照明は、ポール灯と同期演出されて美しく、光の効果で実際よりも高く感じられました。
表通りの各店舗のサイン照明はLED化が進んでおり、カラフルな光や高速点滅を繰り返す光が刺激的で、歩行者の視線を如何に引くか競っていました。ネオン管の光をレトロに感じさせる光環境は、量的には過大ですが、高揚させる光として許容されると思いました。一方、5000 KのLED街路灯のグレア、シネマ館の光沢のある壁面での反射グレア、周囲に比べて明るすぎるエレベータ照明等がありました。歌舞伎町は日本の活力を示す街の一つであり、今後もさらに省エネでエキサイティングな光の溢れる街であって欲しいと思います。(古川 智也)
■ 2 班:セントラルロードエリア
新宿コマ劇場の跡地に建てられた新宿東宝ビル。ビルによりどのように歌舞伎町が変わったのかを見てみたい…と思い提案したところ、今回の街歩きが実現しました。2 班も1 班と同様、一番街およびセントラルロードを中心に歩きました。セントラルロードから見えるゴジラは迫力があり、入口の青いモニュメントとビルの光が一体感を持っていて好評でした。対照的にビル内は落ち着いた光でまとめられていて、うまく使い分けている印象を受けました。しかし外に出ると、やはり「ザ・歌舞伎町」という色温度の高いきらびやかな光も健在で、眩しくて犯罪者だという人もいましたが、これはこれで良いのではと評価する人もいて、意見が分かれました。また、ミステリアスな光で満ち溢れた裏通りや、歌舞伎町の光を支えてきたであろう電気店も見ることができました。あいにくの雨の中でしたが、特別な光で満ち溢れている街を、照明探偵団の皆さんと巡ることができて非常に充実した街歩きでした。(田村 聡)
セントラルロード入口のカギ型ポール灯と新宿東宝ビル両方とも青色で光っており、統一した印象を感じられる
地上52 mに設置された巨大なゴジラ。ゴジラが吠えると同時に東宝ビルのファサード照明も変化していた
随所に見られた無料案内所。カラフルな色を使ったサイン照明が多かった
歌舞伎町の光を支えてきた電気店。昔ながらのシンプルな看板照明が設置されている
新宿東宝ビル内のオシャレな照明。壁面は反射グレアが生じている
HUMAX( 旧地球座) のサイン照明。波形状のネオンサインはレトロな雰囲気を醸し出している
英雄or 犯罪者!? 良くも悪くも歌舞伎町・・・
歌舞伎町のサイン照明
新宿東宝ビル内の照度値を測定
■3班:ゴールデン街・区役所通りエリア眠らない街歌舞伎町。今回の街歩きはあいにくの空模様でしたがまさにそんな雰囲気を感じることができる街歩きでした。昭和の感じが色濃く残るゴールデン街は色温度の低い明かりや、なんとなく統一されたように見えるサインはとても落ち着いてるように感じました。ゴールデン街そばの遊歩道は街灯をLED 化していました。とてもグレアが強くまぶしいものでしたが、安全を優先させた結果なのでしょう。ただ光源を取替えたようにしか感じられませんでした。ネオン街の歌舞伎町の明かりは、良くも悪くも歌舞伎町。この町を主張する意味ではすべてが英雄かもしれません。全体的に、それぞれの光の主張がとても強い街だなと感じました。(坂口 真一)
■4班:ゴールデン街・区役所通りエリア
4 班はゴールデン街→歓楽街→繁華街の順番に歩きました。ゴールデン街へ向かう道中にまばゆいポール灯があったものの、街そのものは昭和の香りが色濃く残る灯りに満たされていました。歓楽街はホテルが建ち並ぶ特異な環境でしたが、建物にも客の目を引くための工夫が随所にみられました。繁華街ではカラフルで大きなネオンに道行く人々が包まれ、にぎやかで活気のある街並みを彩っていました。ゴールデン街を含め、いずれの通りもポール灯の光源はLED でした。防犯のためとはいえ、必要以上の照度のある場所や、LED の輝度が高い照明が多く、眩しさを軽減させる工夫が感じられませんでした。調査した3 つの場所はそれぞれが得意な個性のある灯りを放ち、人々をひきつけていました。にぎわいが感じられましたが、どこか異様で怖い一面もあると感じられました。(山本 雅文)
高層ビルから歌舞伎町の街明りを調査
靖国通りからゴールデン街へ向う小路。寂しい夜道を明るくする為なのか、LED 街路灯のグレアが強い
ゴールデン街の落ち着いた街並み。昭和の感じが色濃く残っている