街歩き・サロン

第73回サロン: 立川街歩きレビュー

2025.05.27 野村桃江 + 東悟子

4月に開催した立川街歩きの報告会を開催。佃のLPAオフィスに集まりお弁当を食べながらの談義。今後の活動についても話し合われた。

お弁当を食べながらのカジュアルなサロン

2025年4月に東京都立川で行った街歩きのレビューをLPAオフィスで開催しました。立川という同じ駅から徒歩圏内であっても、エリアごとに個性があり、それぞれ異なる魅力や課題を抱えていることがわかりました。
立川駅北口にある大型商業施設GREEN SPRINGSでは、空間全体が丁寧に設計されてたようです。特に印象的だったのが入口正面階段の照明。青い光が流れる水のように階段を照らし、上から見下ろしたときには洞窟のような包まれた空間に感じられ、幻想的な雰囲気を演出していたとのこと。さらに、RGBの照明によって地面に色が重なり合うように投影されるポール灯など、視認性だけではなく「体験」としてのあかりが工夫されていたとの意見が聞かれ高評価でした。

しかし、GREEN SPRINGS内の一部店舗では白色で高照度の照明が使われていたようで、エリア全体の暖かいトーンと調和していないことも指摘されていました。
GREEN SPRINGS近くのモノレール下ではいくつかの課題もあげられました。アート作品への照明が強すぎて、逆に作品の細部が見えづらくなっていたり、LED化された案内板が眩しすぎて読み取りにくかったりという犯罪者がいたようです。

立川駅南口の歩道橋の手すり照明は統一感がなく、連続する構造であるにもかかわらず、場所によっては明るさや色味が異なっていたようです。南側はグレア(まぶしさ)に配慮された設計だったのに対し、駅に近い方では光源の位置や角度が適切でないとの意見も。
街全体を比較すると、駅北口側は照明が整理されていて落ち着いた印象なのに対し、南口側は飲食店、遊戯施設が密集しており、看板や店舗照明が派手でバラバラな印象だったようです。中には「治安が不安」という声もありました。

今回の街歩きを通じて、GREEN SPRINGSのように計画された照明は、人を惹きつけ、長く滞在したくなる空間をつくる一方で、光が多すぎたり不統一だったりすると、逆にその場所の魅力を下げてしまうこともあると感じました。ただし、魅力的な夜間景観になっているにもかかわらず、GREEN SPRINGSは人がまばらで、逆に雑多な南口側が人でにぎわっていたのを聞くと、照明だけでは人のにぎわいは作れないのだと感じました。

多様な光の使い方に触れることができ、都市照明の奥深さを学べる貴重な体験となりました。
サロンは街歩きが終ったあと班全員の意見を再集約させて、他の班と共有する場です。街歩きに参加できない方もサロンはオンラインでもご参加いただけますので、是非お気軽にご参加下さい。(野村 桃江)

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