街歩き・サロン

第78回街歩き: 新宿

光のレイヤーで紐解く、新宿の過去・現在・未来
2026.03.05 坂口真一 + 發田隆治+俵田明

新宿という街が持つ、多様な顔(超高層ビルの近未来感、歴史ある神社の静寂、昭和の面影を残す路地裏)を、照明環境の観点から観察・比較。同じ「夜の新宿」でありながら、エリアごとに異なる「光の密度」と「色彩」が、都市のアイデンティティをいかに形成しているかを体感します。

2025年度最後の街歩きは日本最大のターミナル駅新宿。人でごった返した金曜日夜の開催となりました。広い新宿を、西口歌舞伎町周辺、都庁周辺、南口~西口と3つのエリアに分け、街歩き。人を呼び込むたくさんの光を発見した会となりました。

照明デザイナー角舘さんの解説を聞きながらの街歩き

■1班:新宿駅西口エリア
1班は、巨大ターミナルである新宿のおもに歌舞伎町を中心に、この街をよく知る照明デザイナーの角舘政英さんご案内のもと、都市を形作る「光」のあり方を観察しました。

犯罪者はやっぱり歩行者の目に直接入る眩しさ(グレア)を放つ街灯照明です。不必要に明るすぎる看板や、光源がむき出しの無機質な投光器も見受けられました。明るすぎる看板ですが、新宿歌舞伎町という街ではこれもステータスでこれがないと歌舞伎町という感じがしないのかもしれません。逆に看板がついていないと寂しく感じます。

こんなギラギラした街にも英雄が!新宿区役所の光の原点であるようなガス灯?ゴールデン街のある意味落ち着いた昭和感残る雰囲気、ちょっと照らされているゴジラの爪も私は英雄に感じました・・。ゴジラの爪が街を照らしている!!

新宿は、商業的な喧騒と洗練された都市計画が混在し様々な光の表情がみられる街です。
良い照明とは「すべてを明るく見せること」ではなく、必要な場所に適切な質と量の光を配置することだと改めて感じた気がします。

ギラギラしたザ・歌舞伎町という通り、神社周辺、ゴールデン街、それぞれ個性をもった光があります。新宿は駅周辺の開発がこれからますます進み、数年後に街歩きをするとまた違った表情が見れるのではと思います。(坂口真一)

都庁プロジェクションマッピング

■2班:東京都庁周辺
2班は新宿都庁から調査を開始し、都庁広場でプロジェクションマッピングを鑑賞しました。見上げの角度では都庁内の照明と重なり視認性が低下するため、少し離れて見る方が良いという意見がありました。

その後、新宿NSビルのアトリウム空間へ移動。この建物は1982年に竣工し、2011年に照明改修されています。建築照明として学ぶことの多かった竣工当時の光は今はもう見ることができないのが残念です。現在のEVホールの内照照明は輝度が高く、強いまぶしさを感じる点が課題として挙げられました。

都庁から新宿中央公園へ向かう横断通路では、門構え上部が照らされ、周囲のビル群と調和した落ち着いた光環境が形成されていました。公園内のSHUKNOVAでは照明の統制が取れ、空間に統一感があり来訪者を引き込む魅力がありました。施設内のスターバックスでは、ライティングトラックとスポットライトにより、明るさと居心地の良さが両立されていました。

新宿アイランドでは、光の塔の柔らかく優しい光と水面への反射が印象的でした。一方、パティオはLED化により光が中央に印象的に集められていた以前とは異なる雰囲気となっていました。今回の調査は建築照明の継承について考える有意義な機会となりました。(發田隆治)

南東ガード下 安心感のある空間

■3班:新宿南口~西口
新宿の夜を歩いた記録として、見たままを素直に記します。我々第3班は新南口のサザンテラスからスタートし、駅南東、旧アルタ前を通過。そして線路下をくぐって思い出横丁、西口側へと巡りました。新南口の光は陰影を保ちながら人を迎え入れ、ベンチ下やデッキ上では3〜4 lx程度の柔らかな暗さが足元に溜まり、安心と静けさを同時に感じさせます。

高島屋東側軒下の通りは4000Kの統一感の下で300~500 lxでも店舗や買い物客の表情を明瞭に浮かび上がらせていました。

南東ガード下は過去の湿った薄暗さから一変してあか抜け、光の良き仕業による安心感がそこにはあり、ドンキ前はLEDディスプレイの影響で810 lx / 7111 K、鋭く青白い輝きが目を射るようで、周囲の色を奪ってしまいます。武蔵野通りでは270 lx / 3096 Kの落ち着いた暖色が、ビル壁の質感を柔らかく照らし、歩行者の影を長く引き伸ばしていました。ヨドバシカメラ軒下は1011 lx、店内は2355 lxと圧倒的な明るさで、旧アルタ方面の暗部30 lxと強い対比が見られました。

思い出横丁は991 lx / 3072 K、昭和レトロな暖色が木造の壁や暖簾を包み込み、光が和やかさを演出。ただ、横丁から出たとたんに松屋前の強い光が一瞬にして我々を現実へ引き戻してしまいました。

西口歩道橋上に上がると、小田急HALCの壁面にあたるアップライトが新宿らしく、賑やかで騒がしい雰囲気を作り出すと共に、新宿西口のランドマークの役を果たしているよう。またビックカメラの赤、小田急の青が高彩度で空間に深みを与えていました。

色温度の適度な混在、局所的なグレア、温かな提灯や不揃いな電球の共存──これらはこの街新宿の現在の生の光環境であり、良いものも、改善の余地も、すべてが新宿の今の夜の表情としてそこにありました。(俵田明)

エキサイティングな光、我こそはと競うように光の量を足していっているギラギラした光、昭和感残る懐かしい光、人々がくつろげるよう配慮された穏やかな公園やカフェのあかり、新宿にはありとあらゆる光の現象を見ることができました。この様々な夜の表情が観光客を呼び寄せる新宿の魅力の一つにつながっているのかもしれません。
今後も駅周辺の開発が進み5年後、10年後には全く違う表情になっているかと思います。探偵団も今後も新宿の夜のウォッチャーとなって、調査し続けたいと思います。(東悟子)

街歩き後の懇親会では、それぞれの班から英雄と犯罪者が発表される

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