Transnational Tanteidan Forum 2007 in Copenhagen
日時:2007年12月4日
場所:The Royal Academy of Fine Arts, School of Architecture, Auditorium 2
街歩きの前、市庁舎前での集合写真
フォーラム会場には200名を越える人が集まった
面出団長のプレゼンテーション
パネルディスカッションの様子
フォーラム後に行われたレセプション
照明探偵団の活動を紹介するパネル展示
ルイジアナ美術館のカフェにて打ち合わせ
2002年に東京から始まった世界照明探偵団フォーラムも今回で6回目を数えました。クリスマスイルミネーションが街に灯り始めた、12月のコペンハーゲンが今回の会場です。
3日間の日程でフォーラムの他、コアメンバーの運営会議や街歩き、郊外へのエクスカーションなどのプログラムをこなしました。
今回のフォーラムのテーマは“The Lighting of Public Spaces: PARKS, PLAZAS, and PROMENADES”。これまで様々なパブリックスペースの照明を取り上げてきましたが、今回はその最終章といった位置付けです。東京からは面出団長がプレゼンテーションを行い、その他ニューヨーク、ハンブルグ、シンガポール、ストックホルム、ベオグラード、そして今回新たに加わったベルギーのメンバーも含めて7都市からの発表がありました。
午後2時。フォーラム前に会場の外に出ると、足元に低い太陽がもたらす建物の長い影が伸びて、自分が北欧にいることを実感します。会場にはコペンハーゲンの他、近隣ヨーロッパからの参加者も含めて200名を超える参加者が集まり、盛況となりました。
東京のプレゼンテーションを組み立てるのに、まず大きな疑問として持ち上がったのが、果たして東京の公園で夜の景色として皆に伝えたくなるようなものがあるのだろうか?ということ。プロムナード(人が歩くために計画された通り)はどうだろう?プラザに至っては、人が集まり憩う場所など東京のどこにあるのだろうか?明らかに欧米の都市計画とはその内容を異にする東京の街の成り立ちから、その照明環境を調査・分析しました。
私たちがまず注目したのが渋谷のスクランブル交差点。駅前に直結して複数の大型スクリーンが常に明滅を繰り返し、その下で多くの人が行き来し交差する様は、まさに東京のプラザと呼べるものなのでは無いだろうか。また、六本木ヒルズや東京ミッドタウンなど、新しく開発される複合施設にも必ず憩いの場が設けられており、都市の中に意図的に作られた場所ではあるけれど、これもプラザには違いないだろうと考えました。一方で神社仏閣には必ず広場があり、古くから祝祭空間として使われてきたことなど考えると伝統的プラザと言えます。お祭りの提灯が境内に連なる様子は、どこか袖看板が続く繁華街の照明環境に通じるものがあり、将来のプロムナードを考えるヒントが隠されているかもしれません。
他の都市からのプレゼンテーションも、ニューヨークのたくさんの公園のバリエーションやベオグラードの想像以上に煌々と白く照らされたプロムナードなど、多くの写真から世界のパブリックスペースの今を垣間見ることができました。
フォーラム前日には地元の探偵団メンバーも参加して、メインストリート・ストロイエなどを中心に街歩き。真冬の街歩きは東京でも経験していますが、やはり凍て付くコペンハーゲンの寒さは別格。おまけにこの日は雨風も加勢して、やや過酷な街歩きとなりました。
当然ながら窓辺に灯るあかりや、ツリーのイルミネーションはどれも温かな白熱系が主流で、自然と人が求めるあかりがそこにあるだけなのだということを感じました。
今回のフォーラムには北京やベルリンからの新しいメンバーも参加するなど、年々世界への広がりを見せています。2008年は9月にセルビアの首都・ベオグラードでの開催が予定されています。TANTEIDANを合言葉に、世界へ広がる照明のフィールドワークに是非これからも注目して下さい!
(田沼 彩子)