2002年10月9日
みなさんは東京に「ちんちん電車」が未だに現役で走っていることをご存知ですか?今回の街歩きは昭和の情緒あふれる都電荒川線に乗って三ノ輪商店街の「生活のあかり」を探索してきました。
唯一の都電として愛されている「都電荒川線」。始発の早稲田駅に集合した我々は早速“ちんちん電車”に乗り込みました。どこまで乗っても 160 円というリーズナブルさ。しかもあまり知られていないのですがなんと貸切まで可能というまさに地域密着型の電車です。終点の三ノ輪橋まで池袋、大塚、王子といった市街地も通り、ゆっくりと走る電車の窓から眺める東京の夜景も良いものです。約 50 分の都電の旅を満喫し三ノ輪橋のひとつ手前の荒川一中前を下車し、いよいよ今回の目的である商店街“ジョイフル三ノ輪”を目指します。とここまでは良いのですがどこかいつもと様子が違います。この日は面出団長がどうしても所用があり出席できないとということで今回の街歩きは団長不在です。多少の不安は残りますが、いざ出発です。一歩商店街に足を踏み入れるとまさに昭和にタイムスリップしたような感覚に陥ります。アーケード街のメインストリートは 3 灯が 1 ユニットの水銀灯とナトリウムランプで構成された器具で照らされていて、中央の水平面照度は平均で約 300lx 程です。また、この器具結構きちんと作られていて歩いていてもまぶしくないように考慮されていました。商店街を形成する肝心商店はというと各店舗とも実に個性的というか、エネルギッシュというか・・・。飲食店、八百屋さん、お肉屋さん、魚屋さん、薬局、和菓子屋さん等々、各商店のファサードは全く統一感のない照明が混在していました。特に団員の皆さんが興味を持ったのは、まるで電気屋さんのような魚屋さん、そしてハロゲンランプをこれでもかと使ったお惣菜屋さんです。魚屋さんには魚を新鮮に見せるため?に様々な種類の照明がダクトから吊るされていました。一方お惣菜屋さんの方はというとこれでもかというくらいのハロゲンランプが店頭に吊り下げられて、惣菜の陳列棚の照度は 3000lx を超えていました。およそ照明手法など関係ないといった様子なのですがアーケードの中にいると違和感や不快感は思ったほどなく、むしろ懐かしい感じがしてくるから不思議です。団員の皆さんも興味津々で色々な場所でシャッターを押していました。
商店街から一歩裏の路地に入ればいわゆる赤提灯がいくつもあり、路地を照らすのは古ぼけたかさに裸電球という最もシンプルな照明、この二つのほのぼのとしたあかりはなんともいえず味のある光でした。そこに野良猫が歩いていたりして雰囲気をさらに盛り上げます。アーケードのあかり同様こういう夜景は我々日本人の原風景なのかもしれませんね。でもそれは明かりだけの力でそう感じるのではなく、そこで生活している人々の息遣いとの相乗効果が我々にそう感じさせるのだと思いました。
今回は照明探偵団版「ぶらり途中下車の旅」のような街歩きとなりましたが、皆さんも都電荒川線に乗ってどこか懐かしい三ノ輪の町を訪れてみてはどうですか?